バングラデシュに寺子屋を贈ろう
「バングラデシュに寺子屋を贈ろう」とアジアキリスト教教育基金(ACEF)が設立されて19年。75校の小学校(うち2校職業訓練校)を建て、生徒1万2千人、教師300人を擁する成果を生んで来た。 金融危機はここにも影響を与えており、活動資金は年間4、000万円前後と、ここ数年横ばいが続いている。06年、事務局長に就任した中川英明さんは、「学校の数を増やすというより、既存の学校を維持し、質を高める」ことに重点を置かざるを得なくなった。 大学在学中に受洗した中川さんは、学生時代から「国際協力の仕事に就く」ことを志し、大学院終了後、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に就職し、ベトナム、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スリランカなど海外5カ国で13年勤務した。難民の帰還業務に携わる中で、「戦争とはごく普通の人がやるもんだ」という感慨を抱いたという。 中川さんによると、バングラデシュの5年間の小学校を卒業出来る生徒は半数ほど。学校運営の実務は、キリスト者NGOのBDPが行っているが、貧困の中でも、教師の殆どに女性を採用することによって、女性の地位向上に大きな効果を上げていることに、中川さんは手ごたえを感じている。 ACEFのもう一つの目標、「アジアに使命と責任を持つキリスト者青年の育成」では、年に2回、バングラデシュへのスタディ・ツアーを続けている。祈りの時を過ごし、キリスト教に出会うことによって、目標に向かっての種が蒔かれ、芽が育ちつつある。 ACEFを支える会員は29団体・1、350人で、会費は年間予算の2割強にしかならず、予算の大半は、教会、キリスト教主義学校の献金に依存している。「7、000円あれば、小学校の1クラス(30人)を1カ月維持出来る。ACEFの運動を広く知って頂きたい」というのが、中川さんの切なる願いだ。