テキストに真剣に向き合い、喜びを見出し、語り出すように
2018年春季教師検定試験が、2月20~22日、キリスト教会館、早稲田奉仕園を会場として行われた。初日、筆記試験、2~3日目、面接試験が行われた。補教師58名、正教師21名、転入4名が受験した。今回、受験生が多く与えられた。伝道者が不足している厳しい現実にあって、主が日本基督教団の教師としてこれだけ多くの伝道者を立ててくださっていることに感謝した。試験の結果、補教師合格44名、継続6名、不合格8名、正教師合格19名、不合格2名となり、転入4名も認められた。
教師検定試験は伝道者としての召命を問う試験である。筆記試験、面接試験を通して、伝道者としての召しが問われた。
そこで問われるのが、伝道者が語る言葉であった。福音を聴く魂の奥底まで届く、明晰で、鋭く、慰めに満ちた福音を語っているかが問われた。そのために、伝道者として基本的な神学を身に着けることが求められた。
試験科目は全て基本的な神学を身に着けているかどうかを問うものであった。単なる知識としてではなく、自分の中で咀嚼し、自分の言葉で表現出来る程に身に着いているかが問われた。しかし、多くの受験生が、基本的な神学が身に着いていない結果が現れた。「旧新約釈義・説教」はテキストの掘り下げが不十分であり、説教の聴き手の現実が見えていなかった。「旧約・新約聖書神学」は日々聖書に親しんでいるかどうかが問われたが、不十分であった。「教会史」は教会史において起きた出来事を今日の教会と深く結びつけて理解しようとしていなかった。「組織神学」は組織神学的思考が身に着いていなかった。「教憲教規」は教会の具体的な問題を教憲、教規、宗教法人法に則って、どのような手順で進めて行くのかが身に着いていなかった。
伝道者が身に着けるべき神学は多岐に亘っている。それだけに、忙しい牧会・伝道の中にあっても日々神学を学び続ける姿勢が問われる。主はこの日本に、私どもを伝道者として召し、福音を待っている多くの魂に豊かな福音を語ることを求めておられる。
面接試験は全体面接と個別面接が行われた。全体面接では委員長が日本基督教団の教師として立てられることの意味を「教憲教規」に則って説明した。教団はイエス・キリストを首と仰ぐ公同教会であって、教団の定める信仰告白を奉じ、教憲および教規の定めるところにしたがって主の体たる公同教会の権能を行使する。そのために、教団の教師は神に召され正規の手続きを経て献身した者である。正教師は按手礼を領した者、補教師は伝道の准允を受けた者であり、聖礼典は按手礼を領した教師がつかさどる。
個別面接では、教団の教師として主によって立てられている召命が問われた。自分の言葉で明確に召命を語ることが出来ているかどうかが問われたが、明晰に語ることの出来なかった受験生もいた。公同教会と合同教会とを混同している受験生もいた。
この数年の傾向として、他教派からの転入志願者が増えている。そこでも、何故、教団の教師となるのかが問われたが、その召命が不十分な志願者もいた。試験終了後、Cコース受験志願者認定面接を行い、3名の志願者があった。それぞれが職を持ちながら伝道者としての召命を受け、Cコースの受験に臨もうとしている。3名とも明確な召命を与えられ試験に臨もうとしていた。主が様々な場所で様々な人を伝道者として召してくださっておられる、主の御業に触れ、畏れと感謝を覚えた。 (井ノ川勝報)
講評
2018年度春季教師検定試験が2月20日から22日にかけて行われました。
春の試験は補教師の受験が主となりますが、今回の試験は教団会議室だけでは間に合わないほど多くの受験者が与えられました。教会に仕える者がたくさん与えられることは本当に嬉しいことです。
提出試験としての説教について言えば、聖書の説明に終始し、説教者がテキストから受け止めた福音が説教者自身の言葉で語り尽くされていない説教が多くありました。与えられたテキストに真剣に向き合い、喜びを見出し、語り出す作業を、今後も大切にしていただきたく思います。またそれぞれの試験の結果につきましても、主の御旨であると信じ、受け止めていただきたく願うものです。
第40総会期 教師検定委員長 服部 修
2018年春季・補教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法 (60分)(A,B,CⅢ)
次の2題に答えてください。
1.日本基督教団は教師を「正教師」「補教師」と分けています。その違いを、教憲および教規より必要な条項およびその内容を明示し説明してください。
2.宗教法人である教会は何によって運営されなければならないでしょうか。宗教法人の目的を明らかにしながら、必要な条項およびその内容を明示し説明してください。
旧約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の3つの語句について2つを選んで説明してください。
1.除酵祭の規定
2.逃れの町
3.第二神殿
新約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の3題のうち2題を選んで新約聖書のテキストをいくつか挙げつつ、答えてください。
1.新約聖書において「 平和」はどのような意味を持つか、論じてください。
2.律法に対するイエスの態度について、論じてください。
3.先在のキリスト論について、論じてください。