「こんにちは」と言いつつ五人の子ども達が園長室にやってくる。毎年春になると、卒業する子ども達と園長が会食するのである。「Aちゃんも来たよ」と言いつつ、女の子がAちゃんをソファーに座らせている。Aちゃんが座ると隣の男の子がAちゃんのカバンからお弁当を出してあげる。用意が出来たので、感謝のお祈りをして食べ始めるのであった。子ども達はいつもと違う園長室でのお弁当で、なんとなく興奮している。おしゃべりばかりしてお弁当が進まない。それでいてAちゃんには食べることを促すのであった。
幼稚園には障がい児が七人おり、共に園生活をしている。園児達はこれらの子ども達を自然に受け止めており、いつも二、三人の親衛隊がいて、何かと世話をしてあげているのである。ある時、転園してきた子どもが、障がい児をみて思わず「ヤーダ」と言った。その子は初めて接したのである。しかし、その後園生活をしているうちに、彼も親衛隊の一人になっていった。統合教育の深い恵みを示めされるのであった。
障がい児が一緒だという理由で入園を敬遠する保護者が多い。キリスト教主義の幼稚園は園児数も少なく、経営には頭を痛めながらも、しかし統合教育を推進しているのである。教団には全国教会幼稚園連絡会という組織があり、孤軍奮闘する教会幼稚園が連絡を取り、学習をし、使命を深めている。分け隔てせず、共に生きる子ども達の成長を祝福したい。
(教団総会書記 鈴木伸治)