平和を願い続けて
柴田もゆる
被爆六〇年を迎えた今年、五月の教区総会で議員提案の「あらゆる米軍基地の強化に反対し、米軍基地撤廃の取り組みを推進する件」が可決され、「基地問題」特別委員会が新たに設置された。以前から米軍岩国基地をめぐる取り組みはあったのだが、二〇〇八年の「岩国基地沖合移設事業」完成を前に、在日米軍再編に伴う厚木基地駐留の空母艦載機部隊の移駐先として岩国が急浮上し、NLP(夜間離発着訓練)の実施基地となる可能性が高まったことが、主な提案理由の一つであった。
「基地問題」と言うと、ある人々は「それは社会問題であって、教会が取り組むべき事柄ではない」と考えるかも知れない。確かに「社会問題」という一面もあろうが、基地を抱える町には具体的な住民の生活があり、それが否応なく基地の影響を受ける。経済効果という宣伝とは裏腹に、影響の多くは騒音、事故の危険、米兵による犯罪被害など、住民の生活を脅かすものだ。基地を抱える町に建てられた教会が、その町に住む人々に負わされた事柄を共に担って歩もうとしているのである。
西中国教区は六〇年前のヒロシマの経験をふまえ、「平和聖日」制定を発議し、それが今日の教団の歩みに根付いている。そして今、ヒロシマ、呉、イワクニを抱える教区として、この地に生きる人々を取り巻く事柄と向き合いながら歩みたいと願っている。そして、そのことから沖縄教区との連帯も可能になっていくのだと思わされている。(西中国教区総会副議長)