伝道のための祈りと応援
野村忠規
室戸教会に出かけた。伝道集会の応援の為である。松山から高速で南国まで、そこでコーヒーを一杯。また気持ちを入れ替えて走った。しかし、走っても走っても走っても室戸は遠い。やっと町に入ると、商店街はみなシャッターを下ろしており、ただそこには強い海からの風が通り抜けていた。いやこんな所で牧師は、また教会はどんな気持ちで伝道しておられるのだろうか? 勝手に暗い気持ちになり、教会の前に車を止めた。しかし次の瞬間、これがどんなに愚かな想像であったかを知らされた。なんと教会は隣接地を購入し、伝道をさらに前進させようとしておられたのだ。この事は室戸の町の人々からも驚かれているとの事。教会はこの町の中で、同じ厳しい状況に立たされながらも、今も生きて働き給う神によって新たな幻を与えられ、新しい時代を生み出す共同体がここに立派に形成されていたのである。この事は、室戸の教会の牧師はじめ信徒の方々の、地道な歩みによる実りであることは言うまでもない。しかし、それと共に、この教会の戦いに励まされ、またこの教会と共に戦う地域の、また四国教区の教会の祈りの応援が、このような成果となって現れていることをも改めて知らされた。そう言えば、四国教区の教職、信徒の中で、この地域の伝道を支えるために販売されている「寒天」を食べた事のない人は一人もいないだろう。この伝道の為の祈りと地道な応援、これが私たちの教区の命なのである。
(四国教区総会議長)