2026年 在日大韓基督教会・日本基督教団
平和メッセージ
我らの救いの神よ
あなたは義によって
恐るべき業によって答えます。
遠い海、地の果てに至るすべてが信頼する方。
強い力によって山々を固く据え
大いなる力を身に帯び
大海のどよめき、波のどよめき
そして諸国の民の騒ぎを鎮める方。
世界の果てに住む者はあなたのしるしを見て畏れ
朝と夕べの始まる所に
あなたは喜びの歌を響かせてくださいます。
詩編65編6節〜9節
(聖書協会共同訳)
〈隣人を自分のように愛しなさい〉
ヘイトクライムのひとつである排外主義は、現政権(2025年現在)において、その様相を国家的レベルで増幅していると言えます。2025年度末で在留外国人数は400万人を超えています。その多くはアジア地域からの移住者です。また海外からの観光客も増えています。この国の暮らしは、様々な背景を持った人びとによって彩られています。しかし、その彩りを単色に塗りつぶす力は一層強くなり、「外国人」を排除しようとする現政権の心中が透けて見えるような出入国管理及び難民認定法改悪は、排外主義を人びとの心の中に植えつけようとする意図が垣間見られます。さらに国旗損壊罪は、誤謬の上にある国旗が排外主義を心の奥に刻印する役割を果たすでしょう。このような世にあって、主イエス・キリストが最も大切だと諭した掟である「隣人を自分のように愛しなさい」(マルコ12:31)を強く我が身に刻むのみです。
〈コリアン・ジェノサイド〉
明治維新以降、日本の近代化はアジア地域の植民地化の中で進められてきました。日清戦争で台湾・澎湖諸島を植民地とし、その後も日露戦争で植民地支配の範囲を広め、1910年に朝鮮を併合し、1931年の満州事件により大日本帝国軍は事実上、中国地域を軍事支配してゆきます。この過程において、日本は植民地支配を一層強め、アジア地域の人びとを国力増産のため、日本国内へ向けて強制動員を強化してゆきました。これらの歴史的流れの中で、関東大震災における朝鮮、中国の人びと等が国家機関の積極的なデマ流布とそれに呼応した自警団によって関東各地で虐殺されました。第二次世界大戦では多くの植民地の女性が日本軍慰安婦(性奴隷)として連れ出されました。あるいは、1942年の長生炭鉱水没事故により、183名の命が奪われました。その多くが朝鮮人労働者でした。犠牲者の遺骨は海底に置き去りにされたままです。戦後になっても、なおこの植民地支配の傷跡は深く、決して消えることはありません。
わたしたちは、これらの歴史的事実の前に立って植民地主義を検証し、二度と悲劇を繰り返さず、主の平和を求めて未来への扉を共に開いてゆけることを祈り願います。
〈情報過多時代〉
もはや人間の処理能力を超えた情報があふれかえる世界で、わたしたちは正しさを見つけようともがいています。真偽を確かめる間もなく次の情報に飲み込まれます。新しそうに見えるものが次々と提出され、それを獲得しなければならないと思わされます。
このような性急な流れの中で「事実」に対するファクトチェックを怠り、「言論の自由」の名の下でSNSが与える情報を処理して、ただただ「意見」を述べるようなあり方が蔓延しています。そのような中にあって、他者を傷つけることの想像力を十分に持てる個人・教会・社会とならなければなりません。AIを利用したデマとフェイク情報により、外国人をはじめとする個人の尊厳とプライバシーが侵害され、さらには性暴力へと繋がっていくのです。
AIは特定の分野では功を奏するかもしれませんが、これを安定的に運用するために膨大な電力が必要となり、そのために私たちの未来は別の犠牲を払うことになるかもしれません。このままでは、膨大な電力供給のためと称した原発稼働推進の動きが加速してしまいます。神がわたしたちに与えた知を謙虚に用いねばなりません。
〈戦争への道〉
世界中で戦争が絶えることがありません。ある日突然、他国を攻撃することに徐々に慣れてしまっている世に、強い危惧と恐怖を覚えます。攻撃の先で多くの無辜の人びとの命が奪われ、暮らしを破壊されているのです。しかし、これは平和憲法を持つわたしたちにとって、対岸の火事のようなことではありません。この国は、戦争の出来る国へと、あからさまに動こうとしています。
現政権は高支持率を背景に憲法改正を明言しています。国家の暴走を抑止する憲法から「国民」を拘束する憲法へと、憲法のあり方を根幹から変えようとする姿勢は、平和憲法の象徴である9条のなし崩し的な解釈変更と言える、殺傷能力のある武器輸出の決定からもうかがい知れます。あるいは、国家情報局を内閣に設置しようとする動きは、戦争に反対する声を封じ込めることを容易にします。
今こそ、断固として戦争に反対する道を平和の主と共に歩まねばなりません。
〈祈り — それでも、わたしたちは生きる〉
主よ、傲慢なわたしたちは、あたかもこの世界を支配できる者のように振る舞い、隣人を蹴落とし、友を谷底に突き落とし、仕方ないとうそぶいて、あなたを欺いて生きる者です。しかし、それでもわたしたちは、「あなたのしるし」(詩編65:9)の前であなたによって生かされた命を生きる者です。どうぞ愚かな私たちに、あなたの美しい喜びの歌を響かせてください。
わたしたちは、あなたの美しい歌を共に歌い、踊り、食し、笑い、泣き、寄り添い、愛することを求めます。不安な夜を過ごす者たちに、あなたのぬくもりが届くように、わたしたちは祈り願います。あなたが必ず、わたしたちの祈りを聞き入れてくださることを信じる者とさせてください。
2026年 平和聖日
在日大韓基督教会 総会長 張慶泰
日本基督教団 総会議長 雲然俊美






