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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

2017年 日本基督教団・在日大韓基督教会 平和メッセージ

2017年8月1日

2017年 日本基督教団・在日大韓基督教会 平和メッセージ

日本基督教団総会議長  石橋秀雄

在日大韓基督教会総会長 金 性 済

「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。」(イザヤ書2章4節)

わたしたちは、主イエス・キリストを救い主として、世にあって教会に呼び集められ、そして主イエス・キリストの名によってこの世に、「地の塩」そして「世の光」(マタイ5:13-16)として「平和を実現する」(マタイ5:9)使命を帯びて遣わされている教会であります。この信仰的自覚に立ちつつ、わたしたちは、今遣わされているこの時代の世にあって、国家の政治の道が聖書の指し示す平和の道に反すると判断した時、黙認することなく、預言者の心をもって警鐘の声を挙げずにはおれないのです。日本基督教団と在日大韓基督教会は、以上のような信仰的立場を共有しながら、1984年2月に和解と協力の宣教協約を締結し、今日に至るまで、福音伝道に協力し合いながら世の平和に仕え歩んでまいりました。

しかしながら、過去四半世紀の日本の政治の流れを振り返るとき、わたしたちは大きな危惧を抱かずにおれません。旧日本軍「慰安婦」問題への日本の国家的関与を認めた、1993年の河野談話、また日本の戦争責任に関する1995年の村山談話以降、第一次安倍政権が2006年に誕生しました。そして2012年以降、第二次、第三次安倍政権のもとで、特定秘密保護法制定(2013年12月6日)、集団自衛権容認の閣議決定(2014年7月1日)、安保法制の確立(2015年9月19日)に至り、今日では憲法第9条をはじめとする改憲の動きを一層強めています。さらに、戦前に国民の内心の自由、表現の自由、集会結社の自由を脅かす弾圧装置として機能した治安維持法と酷似する「テロ等準備罪」(共謀罪)法案を成立(6月15日)させ、それは施行(7月11日)されることになりました。これら一連の政治の動きを通して、基本的人権と平和主義の理念に立つ現行憲法に支えられてきたこの日本は今、自由と人権を尊重する民主主義と平和主義、そして国家権力の暴走を防ぐ立憲主義を崩壊させつつあると、わたしたちは認識し、強い危機意識を覚えると共に、そのような動きに断固反対します。

今日本が自公連立政権の、多数議席の横暴によって歯止めがかからないまま突き進む危険な政治に対して、わたしたちは聖書の指し示す愛と平和の福音に立脚しつつ、断固として反対を表明します。さらに、自由と人権を保障する平和憲法に基づく民主主義国家と戦争を放棄する平和外交の道を強く訴えずにおれません。なぜなら、わたしたちキリスト者は、聖書のみ言葉に促され、この世界にあって、「見張り」(エゼキエル書3:17;33:2)の使命を帯びて、正義と平和を証しする証人として平和の主イエス・キリストに遣わされているからです。

2009年よりこの日本に広がり始めたヘイトスピーチに対して、わたしたちは2015年11月に「マイノリティ問題と宣教」国際会議を東京で開催しました。その結果、去る4月8日に、東京新宿西早稲田に「マイノリティ宣教センター」を、世界の諸教会に支援されながら、日本のキリスト教諸教団・諸団体と共に開設するに至りました。わたしたちは今後、このセンターを通して、日本の諸教会と共に、そしてさらに欧米諸国において人種差別と難民排斥と闘うキリスト教会とつながりあって、和解と共生平和の天幕を広げるような宣教的取組を推進していく所存であります。

さらに、わたしたちは、不安定化した朝鮮半島を中心とする北東アジアにおいて、いたずらに緊張を煽る政治主張やメディアに踊らされることなく、冷静な目をもった対話的な平和外交の道を切望します。そのためにまず、日韓のキリスト教会の間において、和解と平和をめざす誠実な歴史認識の共有と相互交流と宣教協力の道を、いっそう力強く推進してゆく所存であります。

和解と協力の宣教協約に結ばれた日本基督教団と在日大韓基督教会に、「向こう岸に渡ろう」(マルコ4:35)と呼びかけられた主イエス・キリストが、この嵐の時代の世に宣教の船出をする両教会を守り、導き、そして貴くお用いくださることを信じつつ、平和の向こう岸に向かって帆を広げ進み続けていくことを、わたしたちはここに決意するものであります。

「主よ、われらを守り、導き、お用いくださり、あなたと共に平和のために働くものとなさしめたまえ。アーメン」

2017年8月

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