組織的犯罪処罰法改正に抗議し、同法の廃止を求める声明
「剣を打ち直して鋤とし 槍を打ち直して鎌とする。」(旧約聖書イザヤ書2章4節)
去る6月15日、多くの反対の意見が表明されている中、十分な審議の時間を持つことなく、参院本会議において組織的犯罪処罰法改正案を可決したことに対し強く抗議します。
同改正において新設される「テロ等準備罪」の実質的な内容は、過去三度廃案となった「共謀罪」そのものです。そもそも同改正自体、憲法第31条に謳われている罪刑法定主義に反しています。また、その内容については、処罰の対象者が極めてあいまいで、一般人が処罰の対象となる可能性を排除することはできません。
さらに、この改正により、いわゆる「監視社会」体制作りが進められることが懸念されるほか、個人の内心の自由の侵害が現実のものとなること、また、市民の自主的で自由な活動が委縮してしまうことが予想されます。
日本基督教団は第二次世界大戦中に治安維持法違反とされる宗教弾圧事件を経験しました(1942年6月、1943年4月)。旧ホーリネス系教会の牧師130名ほどが検挙され、その教会が解散させられるという苦難の出来事を忘れることはできません。
日本基督教団は戦争遂行に協力をしてしまった過去の罪を主なる神の前に悔い改めつつ、日本が、「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」との聖書の教えに学び、世界の国々相互の信頼関係を構築し、積極的に平和を実現していくための不断の努力と取り組みを続けることを強く願います。
日本基督教団創立記念の日(1941年6月24日)、および、ホーリネス系教会弾圧の出来事を覚える日(1942年6月26日)を前に、組織的犯罪処罰法改正に反対し、同法の廃止を強く求めます。
2017年6月15日
日本基督教団
総会議長 石 橋 秀 雄