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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【5040号】クリスマスメッセージ(1面)

2025年12月13日

福音を人々に届く言葉で
ヨハネによる福音書1章1〜5節

東中野教会牧師
浦上 充

 いくつになっても、クリスマスが近づいてくると心がウキウキしてくるのは、私だけではないと思います。
 なぜなら、クリスマスの恵みとは、私たちキリスト者だけに与えられたものではなく、この世界のすべての者に与えられているものだからです。
 クリスマスの恵みは、すべての壁を乗り越えて、この世界の隅々に行き渡っていきます。
 アドヴェントが始まり、今年もクリスマスへの旅が始まりました。私たちも、この恵みをしっかりと伝えていきたいと思っています。
 しかし一方で、私たちの前にはとても厳しい現実が横たわっています。揺れ動く世界の中にあって、多く人々の絶望の声とため息が聞こえます。
 先の見えない戦争の日々、休戦協定が守られず繰り返される虐殺、愛する人を失い絶望の底にたたずむ人、愛の冷え切った家庭で、たったひとりで食事をしている人。
 教会では、「見えるものではなく、見えないものに目を注いで生きていきましょう」と語られますが、目の前にいる人すら大切にできなくなった世界で、私たちはどのように神の愛を語っていけばよいのでしょうか。
 今、このような時代だからこそ、目の前にいる一人一人のことを大切にすることを通して、「目には見えない世界」にある本当に大切なものを指し示していく必要があると感じています。

言(ことば)として来られた方

 よくクリスマスに読まれるヨハネによる福音書の冒頭には、次のように記されています。
 「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は言によって成った。言によらずに成ったものは何一つなかった。言の内に成ったものは、命であった。この命は人の光であった」(1〜4節、聖書協会共同訳)。
 創世記に記されている天地創造の神秘を端的に示している言葉ですが、ここに福音記者ヨハネの思いがあふれています。
 ここに「言(ことば)は神であった」と記されている通り、「言(ことば)」は、神そのものでした。つまり、天地創造とは、単に、神が「言(ことば)という手段」によってこの世を創造されたということではなく、「言(ことば)」である神ご自身が、この世界の隅々にまで行き渡ってすべてを創り、命を与え、私たちをその光で照らすのであると、ヨハネは伝えようとしているのです。
 クリスマスの時、この「言(ことば)」は肉体をとって私たちのもとに来てくださいました。
 つまり、それまで掴むことも触れることもできなかった「言(ことば)」が、手に触れることのできる存在として私たちのもとに来てくださったのです。ここにクリスマスの恵みがあります。
 ここに、どこまでも私たちを愛し、御国へと招いてくださる神の愛が示されています。

「きよしこのよる」、漢字で書けますか?

 私たちもまた、教会や学校、施設や町の中で、「言葉」を通してキリストの愛を語る者です。では、私たちはどのような言葉で、神の愛を伝えているのでしょうか。どのような言葉でクリスマスの恵みを伝えているのでしょうか。私たちが語っている言葉は、本当に目の前にいる人々に届く言葉になっているのでしょうか。
 私が牧会をしている東中野教会は、初代牧師由木康、二代目牧師北村宗次と、日本における賛美歌の創作や賛美歌の翻訳を大切にしてきた教会です。彼ら以外にも、これまで小泉功や佐藤泰平、塩田尚史など多くの賛美歌作家がこの教会に集まっていました。また私も、現在、讃美歌委員会委員長の任を担っています。
 つい最近、教会に来てくれた高校生たちに「うちの教会の初代牧師である由木康は、きよしこの夜というクリスマスの賛美歌を翻訳された方です」と紹介した際、驚くような質問が返ってきました。彼は、とてもまじめな顔で聞いてきました。「きよしって演歌歌手の歌ですか」。
 私は、「そっちの『きよし』じゃない」と言葉を返すこともできず、ただあっけにとられてしまいました。もちろんこれは、説明をしっかりと聞いていなかったから出てきた質問でしたが、そもそも、現代では「きよし」という言葉を聞いても、すぐに漢字に変換できないのです。皆さんは、「きよしこの夜」の「きよし」という言葉を漢字で書けるでしょうか。また、どのような意味なのかを説明できるでしょうか(正確には、Holy Nightの訳である「聖(きよし)この夜」となります)。

 

人々に届く言葉で

 この出来事を通して、讃美歌委員会に与えられている一つの大きな使命に対して改めて襟を正しました。それは「賛美歌を時代に合わせて改訂していく」という使命です。由木先生からも、「きよしこの夜」も時代に合わせて改訂していくように、という大きな宿題が与えられています。しかし、何度頭をひねってもこれ以上の良い訳が出てこないというのも事実です。
 一方で、書店や出版社が店を閉じ、本を読まなくなった日本人の語彙力が低下している現実を垣間見て、改めて、私たちが慣れ親しんでいる賛美歌の歌詞も、すでに伝わらない言葉になっているのではないかと考えさせられました。
 讃美歌委員会は、日本基督教団が成立する以前(1900年頃)に、日本の主要なプロテスタント教派(日本基督教会、組合教会、メソヂスト教会、浸礼教会、基督教会)が賛美歌集の出版と改訂を行う団体として組織され、日本基督教団の成立を機に新たに教団内に組織された(1943年)という歴史を持っています。それから80年以上(旧讃美歌委員会から通算125年間)、新しい賛美歌集を生み出し続け、日本基督教団だけでなく、教派を越えて多くの教会と礼拝を支え続けてきました。
 今、私たちは、この世に生きる人々に届く言葉を持っているのでしょうか。理解できる言葉で語りかけているのでしょうか。主イエスは、生ける神の言として私たちのもとに来てくださいました。その「言(ことば)」とは、一部の人だけに語られたものではありません。この世のすべての人に与えられたものです。
 クリスマスの恵みを、今、目の前にいる人々に伝わる言葉で語り続けていきたいと願います。

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