私を用いてください
小林 英子さん
夫の牧師隠退に伴い、54年ぶりに牧師館ではない住居での生活が始まっている。
中高一貫のキリスト教主義学校に入学したのが教会との出会い。中1で近所の教団の教会に通い始め、ほどなくして先輩の勧めもありバプテスト系の教会にて本格的に教会生活を始める。中3で洗礼を受けることになるが、教会を知らない家族には反対された。家族の中では逆異邦人状態だったと表現する。
洗礼を受けるときに、どうすれば生涯信仰を全うできるかを考えたが、牧師になればよいのだと思いつくも、教会の雰囲気としては、女性が牧師になることが歓迎されていないと感じ、それなら牧師の連れ合いだとの結論にたどり着く。神は、中3女子の願いを成就してくださった。
「筑豊の子どもを守る会」という短大サークルの活動で夫と出会い、夫の初任地派遣直前の22歳で結婚。初任地の袋井教会、尾張一宮教会、遠州教会、岩槻教会で教会生活を送る。二人の息子は信仰告白をし、そこで親の務めは終了。自身の洗礼に反対していた家族も、母、父、弟の順でそれぞれ信仰が与えられ洗礼を受けクリスチャンになり、信仰者として皆天に召されていった。感謝である。
この度、母が洗礼を受けた教会で、新しい教会生活も始まった。不思議なお導きだ。
牧師館での54年間、与えられた時間を自由に用いるという感覚は薄く、教会や夫の予定に合わせて自分の時間割を決めていた。それが今、与えられた時間を自由に用いることができるという感覚になり、最近高齢者施設での傾聴ボランティアを始めた。体が動く限り地域貢献のようなことができればと思う。何のとりえもない自分を教会で用いてくださった神さまが、次は教会外でも用いてくださるはずと、楽しみは尽きない。