インスタグラムアイコンツイッターアイコンyoutubeアイコンメールアイコン
日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【5015号】社会福祉施設からの声 ❷(3面)

2024年3月9日

「与える」を通して「受ける」恵み

社会委員会援助団体
桜本教会の路上生活者支援《神奈川県》

 わたしたちが主に行なっているのは、毎週2回のお弁当の配食と、衣料品や歯ブラシやタオルなどの生活用品、毛布や寝袋などの配布です。そのための物資や資金は、全国各地の教会や、桜本教会の取り組みを知ってお支えくださっている、大勢の方がたからの寄付によって支えられています。
 お弁当は、日曜日と木曜日の午前10時からお配りしています。準備は7時半から。毎週欠かさず参加しているのは6、7名で、他教会などから、定期的に来てくれるメンバーもいます。
 路上生活者をめぐる環境は、今では法律や制度などの社会状況も変わっているので、この活動が始まった、30年前と同じように語ることはできません。しかし、30年を経た今も、誠に残念なことに、困難な状況がなくなったわけでないのです。
 わたしが赴任してからの2年10か月に限っても、桜本教会で毎回配食しているお弁当の数は、およそ30食から70食へと倍増しています。
 小さな教会にできることは、本当に微力で、無力感に苛まれることもしばしばです。それでも厳しさを増す状況を知らされるたびに、具体的にできることについて共に話し合い、助け合いながら、試行錯誤を続けています。
 川崎で路上生活者支援の活動を行うなかで、日々、痛感させられていることのひとつが、「奉仕すること」「与える」ことを通してわたしたちが受ける「恵み」の大きさです。
 わたしたちは、目の前の人に対して「与えている」つもりでいても、実際には、その何倍も「与えられている」ということが、しばしば起こるのです。
 みなさんに支えられて続けさせて頂いている活動から、最も多くのものを「与えられ」「受けている」のは、食事の用意をし、衣服を並べ、お配りしているわたしたちなのです。
 わたしたちがこの活動を通してお配りしているのは、決して「お弁当」や「衣服」という、「物」だけでは、ないのです。
 そうではなくて、お弁当をお配りするという行為、「出来事」をきっかけとして、配食の列に並んでいる方々との間に生まれる、主によって与えられた、「出会い」「関係性」をこそ、お渡ししたいと祈りつつ、行っているのです。

(下園昌彦報)


世代を超えて集まる「場」として

社会委員会援助団体
太平子どもの家 《北海道》
 

 1978年9月4日、「札幌北部教会員の幼稚園が欲しい」との祈りに応えて非認可幼児園太平子どもの家が開設されました。以来約22年間に220名の園児が卒園しました。この間のべ12名の教師が幼児教育に携わり、地域との密接な関わりの中で、教会員の祈りと支えによって、この宣教の業を進めました。
 1990年には子どもの家を財政的に支え、地域での文化的な活動を広めるために、札幌北部教会員、卒園児保護者や地域の人々を対象に「太平子どもの家後援会」を設立しました。他教会員も入会してくださり、道外からも長年にわたり献金を捧げていただきました。
 また、卒園児と保護者、教師の中から2001年12月までに16名が当教会で受洗するという恵みを与えられています。
 しかしながら、1999年度から少子化傾向と近隣の認可幼稚園・保育園の充実とが相まって、新入園児が激減したため、幼児教育の場としての太平子どもの家は2001年3月末をもって全員卒園とし、働きに一区切りをつけました。
 2001年からは、3歳未満児対象の親子参加の「こあら会」(毎週金曜日、1995年開始)と、ボランティアと子育て中の親や子が自由に集いあう「子育てホット広場」(毎週火曜日)の2つを柱として活動をしてきました。当初「こあら会」は入会待ちも出たほどでしたが、さらに進んだ少子化傾向と公共や幼稚園などの親子サークルの増加に伴い、次第に利用者が少なくなりました。それでも現在、「こあら会」には市内の様々な地域から親子7組が通っています。
 「今後、どのように活動していくのか」、「担い手をどうしていくのか」などの課題はありますが、参加者からの要望もあり、2023年9月から月1回「土曜ほっと広場」を始めました。現役の対象児のほか卒園児親子が多い時では16組集まり、幅広い年代の親子のよき交流の場となっています。この働きはニーズがある限り、続けていきたいと考えています。
 教会の強みの一つは、世代を超えて集まることのできる「場」があるということではないでしょうか。願わくば、すべての教会が、平日も地域のために人々が集まる「場」として用いられますように。
 いただいた福祉施設援助金は子どもの家の活動に感謝して用いました。ありがとうございました。

(小西陽祐報)

教団新報
PageTOP
日本基督教団 
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18-31
Copyright (c) 2007-2024
The United Church of Christ in Japan