2050年度予測に基づき、教団財政の危機的状況を共有
第8回常議員会が、10月23〜24日、教団会議室で常議員全員が出席して行われた。
議事日程の承認の中で、機構改定についての議題がないことを受けて、「前進させていく手だてを考えるべき」との意見があった。雲然俊美議長は、三役で話し合った結果、提案するような事柄を出せない状況であることを報告した。
書記報告の中で黒田若雄書記が、出版局ステアリングコミッティについて、経営改善に向けて必要な協議を行う場として継続することを報告した。この報告に対して、責任役員会が責任をもって経営改善を進めるべきとの意見があった。
総幹事報告において網中彰子総幹事が、2022年度諸教会概況について報告した。「2030年度問題」(現住陪餐会員半減、教会伝道所の経常収入3分の2)の予想よりも減少傾向が加速度的に進んでいることを告げ、2050年度までの教団負担金の仮定値を提示し、2050年度には、現住陪餐会員2万6000人、各個教会伝道所の経常収入が60億3700万円となり、教団財政が危機的状況になるとの予測を語った。
この予測を受けての対策、機構改定に対する意見が問われ、網中総幹事は、各個教会が礼拝を喜びの内に捧げて行くことの大切さを述べると共に、機構改定の形は、財政の減少により「こうせざるを得ない」という形でうかびあがって行くとの見解を述べた。
質疑の中で、「世界平和統一家庭連合」に対する政府の解散命令請求について、「カルト問題キリスト教連絡会」が請求を支持する内容の声明を準備し、日本基督教団が「賛同教会」として名を連ねようとしていることに対して疑義が出された。特に、豊岡教会から常議員会に、「信教の自由」の観点からの声明を出すことを求める要望書が届いたこととの兼ね合いから協議がなされた。連絡会の声明には、政教分離の問題が抜けており、丁寧に扱うことを求める意見や、この声明が教団の意志と取られてしまいかねないことを危惧する意見があった。
雲然議長は、連絡会の声明は、豊岡教会の要望書が求めるものとは内容的に違った側面からのものであり、問題ないと判断したことを告げた。また、宣教委員会報告の中で、連絡会の代表世話人を務める岸憲秀委員長が、声明について、「被害者に寄り添って行くという視点から出されたもの」と述べた。
伝道資金小委員会の報告では、藤盛勇紀委員長が、伝道交付金の申請額が350万円超過し、一律8%減額したことを報告した。また、大阪教区、九州教区からの要望書を委員会で検討したことを告げ、「委員会としても問題点があると考えており、本制度が伝道推進になるために、この委員会以外の検討する場を設けることも視野に入れて提案する」と述べた。
秋季検定試験の合格者(正教師22名、補教師1名)を全会一致で承認した。
(新報編集部報)
協議会
「教団財政の現状と課題」
一日目の議事終了後に「教団財政の現状と課題」と題して協議会が開かれた。最初に宇田真予算決算委員長が発題を行った。発題の要点は①第39総会期に示された今後の財政の課題、②2014年度以降の財務の状況、③現状である。
①では第39総会期の予決委員会の作業委員会の検討によって、教団機構を変えないと20年度以降財政の破綻を来すだろうと結論付けられたことを振り返った。
②によると14年以降ほぼ毎年経常会計に差損が生じていたが20年度以降はコロナ禍による活動の停止・縮小によって差益が生じている。一方で収益事業会計はコロナ禍の影響で会議室使用料の減少により差損が続いている。また会館室料、法人税・消費税の未収金により預金が減少している。
③によると23年度当初の流動資産は1億300万余りで、事業活動支出の半分に満たない危険ラインに近づいている。また今後対面での活動が増えると差損の発生と次期繰越金の減少が予想されること、出版局の運転資金のために定期預金と教団所有の不動産を担保に多額の借入れが発生している現状が説明された。
発題を受け雲然俊美議長は財政適正化のための提案を4点述べた。
①常議員会と総会開催方法見直し。常議員会の陪席者はオンライン参加。②委員会は極力オンラインで行い、予算内で活動すること。③各常設委員会が連携して一体性をもって活動する。今の教団には各委員会が個別に活動できる体力はない。また常議員会が出版局に文書伝道の方針を示していく。④NCC等他団体との分担金の均等化を求める。
出席者からは出版局に関して踏み込んだ発言が相次いだ。「教団が出版局を維持できる限界線はどこか」との質問に宇田委員長は「もう限界に来ている」と応じた。また「出版局の〝店仕舞い”には1.5〜2億円かかるという試算もある。現状そのお金は無く自転車操業でも続けるしかない」という発言も出た。
(米山恭平報)
財務関連
出版局の運転資金借入を可決
二日目、財務関連議案を扱った。「2024年度教団歳入歳出予算に関する件」では、宇田真予算決算委員長が予算案を報告。経常会計では、事業活動収入、教区負担金について、依然コロナの影響があることを鑑み、コロナ以前比3%減で2億2140万6000円であり、収入合計は2億7773万8000円となるとした。
事業活動支出について、常議員会費951万5000円は、2024年度に教団総会が開催され、新しい常議員会が組織されることも踏まえて微増、常設委員会費717万1500円は、コロナ以前比で70%、ただし、前年度はコロナ以前比60%であったので微増となり、各委員会の活動が再開されつつあることが考慮されているとした。また、他団体分担金、NCC分担金を64万円減額、584万円とし、支出合計は2億7337万3500円であると報告した。
議場から、常議員会費を予算内に収めるべく開催方法を検討し、教規が定める定期会(年2回)のみ対面とし、臨時会はオンラインとする等の形を模索すべきという意見、委員会活動の見直しの推進にとって、予算の見直しも同時に必要になるのではないかという意見があった。
その後、「予算は、予算編成方針を提示した上で立てるべき」と指摘し、教団の予算編成の在り方を問う声があった。雲然俊美議長は、「教団では、先に編成方針を明確にして予算を立てる形を取っていない。今後そのような在り方を三役で相談しながら検討したい」と答えた。
また、幹事の予算管理について問う声があり、黒田若雄書記が、委員会の中での幹事の役割や、予算に対する責任のあり方が曖昧になっている現実があることを説明した他、服部能幸監査は、幹事会の中で管理・確認が行われていることを説明した。その後、採決の結果、議案を可決した。
出版局借入れに関する件では、出版局の運転資金として教団が銀行から2000万円の新規借入をすることを可決した。毎年この時期に、運転資金を借入しており、これまでは総幹事報告を承認するという形を取って来たが、今回、はじめて議題として協議することとなった。協議の中で、賞与を削る等の努力を求める意見があり、雲然議長は、事務局と同様の給与体系で、出版局だけ異なる対応をすることは避けるべきであること等を説明した。
この議案と共に、常議員会において、出版局の将来検討の協議を進めることとする議案を可決した。議決後、雲然議長は、「今年中に常任常議員会を開催し、2月の常議員会で報告が出来るようにしたい。また、常任常議員会の際に、教団機構改定の進め方について相談することも議題としたい」と述べた。
(小林信人報)