正教師39名、補教師12名、転入1名が受験
神学的に考え、筋道を理解することが課題
試験が行われた。8月30日よりレポート提出による学科試験、9月14、15日の日程で面接試験を実施した。秋の教師検定試験は正教師受験者が中心となる。正教師受験者は39名、補教師受験者はCコース継続者含め12名、転入審査1名の受験者が与えられた。
当初は対面で教師検定試験を予定していた。しかし7月の委員会の段階で新型コロナウイルス罹患者の急増に鑑み、受験者の安全を考慮し、レポートとオンラインでの実施に切り替えることとなった。これで5期続けてのレポートとオンラインの試験となった。
9月14日、オンラインでの面接試験に先立ち、町田さとみ委員による礼拝が捧げられた。「神の賜物と招きとは取り消されない」とみ言葉に励まされ受験者は個人面接に臨むこととなった。オンラインでの面接でも誠実に試験に臨んできたことがうかがえた。神の召しとして教師として立っていきたいとそれぞれの受験者の言葉として聞けたのも感謝である。
一方で試験そのものの結果は、多くの課題を見ることとなった。
提出試験の「説教・釈義」ではコロナ禍にある現況に触れるものも少なくなかったが、そのことが与えられたみ言葉と必ずしも結びつかないものが多かった。自分の思いを込める説教もあるが、会衆に伝えようとする姿勢に欠けた説教も散見された。コロナ禍で鬱々としてきた受験者の状況もうかがえた。「組織神学論文」では、組織神学的論述のできない論文が多かった。組織神学的思考は、そのまま教会形成につながるものであることをわきまえてほしい。
学科試験では「教憲・教規、宗教法人法」で多くの受験者が及第点に達しなかった。特に教憲・教規を巡って、これが教会の法であることが理解できていないことが見受けられた。教憲・教規の解釈を巡って神学的筋道で理解することを意識していただきたい。「旧約聖書神学」「新約聖書神学」でも聖書の表面的なところをなぞる答案、あるいは偏った聖書箇所をあげる傾向があった。「教会史」はキリスト論論争史を踏まえた聖餐理解を問うたが、歴史的なつながりで思考する弱さが見られた。どの試験も伝道・牧会に従事しながら、時間の制約のあるなかでのレポート作成であったことと思う。しかし参考文献に当たることができたことを踏まえ、もう少し丁寧で詳細な論述が期待された。
個人面接では特に信仰告白、および公同教会の理解を尋ねたが、合同教会との区別のつかないなどその理解は相当不足していることがうかがえる。日本基督教団および個々の教会に仕えていく基盤として公同教会および信仰告白の理解は不可欠である。終末信仰同様、公同教会理解の欠如は伝道献身者としての立ち位置を曖昧にしかねない。主の日ごとの務めが、公同教会の信仰に立った業であることを常に思い起こしてほしい。
教師検定試験終了後、Cコース認定面接、第19回教師検定委員会を開催し、春季試験に備えた。
(清藤 淳報)
2022年秋季(レポート試験)・ 正教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法
1.教憲教規における、教会総会と教会役員会の関係について、1000字程度で述べてください。
2.次の2題について、それぞれ500字程度で答えてください。
⑴宗教法人である教会が「公告」を行わなければならない事例について述べてください。
⑵宗教法人である教会が行う「公益事業」について述べてください。
旧約聖書神学
次の2題を、旧約聖書の聖書箇所をいくつか挙げつつ、それぞれ1000字程度で神学的に論じてください。
1.神の名について
2.旧約の苦難の意味について
新約聖書神学
以下の2つの問いについて、必要な聖書箇所を挙げながら論述してください(各問1500字程度)。
1.マルコ福音書における「神の子」について
2.パウロ書簡における「神の子」について
教会史
次の問に答えてください(3000字程度)。
◎古代教会におけるキリスト論論争史を論述し、宗教改革者(ルター、ツヴィングリ、カルヴァン)がそれらのキリスト論をどのように受けとめ、聖餐論において展開したかを述べてください。
講 評
今季の教師検定試験は当初、2年半ぶりに対面で行う計画を立てていた。しかし、7月に再び新型コロナウイルス感染症が拡大し、学科試験はレポート、面接試験はオンラインで行われることとなった。このような形の試験は今回で5回目となった。レポートは神学書を参照することができたので、よくまとめられていた。しかし、神学的に考察する思考力に不足が見られた。面接では、なぜ教団の教師となるのかその召命を問うたが、公同教会、教団信仰告白を踏まえて自らの召命を述べる点に不足が見られた。レポート試験、オンライン面接で、どこまで召命、課題点を問うことができたのか、試験を行う側にも課題がある。
受験生の多くがコロナ禍の中で、教会、伝道所、キリスト教学校へ遣わされ、教会、地区の交わりが十分できない閉塞状況で、伝道、牧会をして来た。誠実に試験に臨む姿に触れ、伝道者として召し、遣わされた主の御業を見、畏れと感謝を覚えた。
第41総会期 教師検定委員長
井ノ川 勝