ここ数年、キリスト教会にかぎらず、宗教法人格のある宗教団体に厚生労働省の所管である「日本年金機構」から「厚生年金加入」の実態調査が実施されていると、日本宗教連盟を通じて報告されています。しかしその調査は、いささか実態に即したものではなく、半ば強制的な方法が用いられていることが問題化しました。
本問題の発端は、「厚生年金法」第6条第2と「健康保険法」第3条第3項2号に記載されている「法人の事業所であって常時従業員を使用するもの」が、強制適用事業所に当るか否かの判断に因ります。しかしながら、まさにこの点が一般企業と相いれないところです。宗教法人教会の教師は、(主任教師は法人の代表役員となります)教会の指導者としての報酬(謝儀)は受けますが、給与として、法人事業所としての宗教団体から支払われるわけではありません。また、企業のような定年制度をもっていません。したがって、厚生年金に加入しても、年金を受給する期間が極めて限られます。最近では、一般の企業を定年停職してから献身して教師になる人も少なくありません。こういった宗教団体特有の実態についての理解がないままに、機械的に厚生年金(ひいては健康保険とセットになった社会保険への)加入促進が半ば強制的に実施されています。
今春には、厚生年金に加入していないと機械的に導き出した「宗教法人格のある宗教団体」への実態調査(アンケート)が実施される予定です。各宗教法人教会においては、慎重にお答え願いたいと思います。今回の調査は強制調査ではありません。任意調査です。不明な点があれば、教団事務局にご連絡ください。
教団の法人教会の多くは教区が「事業所」となって、社会保険に加入しています。法人教会単独で加入しているところもあります。どの程度実態を理解して調査が実施されるか分かりませんが、厚生年金に何らかの仕方で加入している場合は「加入している」とお答えください。
(道家紀一報/日本基督教団総務幹事)