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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4959号】2021年夏、教区のプログラム コロナ禍2年目の夏、それぞれの課題と取り組む

2021年10月9日

《京都教区》 「教会と社会」特設委員会主催 「社会セミナー2021」

日本学術会議の任命問題は、どこが問題?−教会が考えなければいけない大切なことー

8月8日に京都教区「教会と社会」特設委員会主催で開かれた「社会セミナー2021」(於・室町教会)において、関西学院大学神学部の芦名定道教授(元京都大学大学院文学研究科教授)を招いて、上記の表題の集会を開き、「現代史のなかの日本キリスト教−日本学術会議問題と憲法」という題の講演を聞いた。当日は、京都にコロナ感染急拡大のために、会場に参集することは中止せざるを得ず、急遽すべてをズームミーティングで行う集会へと変更した。はじめてのことばかりだったので戸惑いもあったが、これからの集会の持ち方を模索していく上では有益な集会となった。

芦名教授の講演の骨子は、日本学術会議の任命問題の本質はどこにあるのかということであった。この問題は単純ではなく、「学問の自由」への政治介入に他ならないということ。そして、それは日本学術会議という機関の成り立ちに関わる問題であるということだった。この日本学術会議は日本の科学技術の研究成果が、戦時中に軍事転用されてしまったことへの反省に立ち、各分野から学者が集まって、同じ轍を踏まぬよう政府に対しての見張り番的な役割を果たす目的で立ち上げられたとのこと。それが日本学術会議という政府から独立した機関であり、また存在意義であると芦名教授は熱く語った。

今回、菅政権は、これまではしてこなかったその構成メンバー選びに口をはさみ、候補者の中から任命しない者を出した。「学問の自由」は憲法が保障している大切な権利のひとつである。それと同時に「思想・信条の自由」とも直結している。つまり、この問題を放置していれば、私たちの信仰に対しても政治介入がなされかねない。

私たち教会も戦時中、戦争協力をしてしまった苦い歴史を持つ者として、その反省を日本学術会議のように活かして歩みをなしていかなければならないとの思いを強くした。

(川上 信報)


《東中国教区》 宣教部社会委員会主催 講演会

自死、虐待、DVの現状を知る

東中国教区宣教部社会委員会では、7月3日に講演会を行った。新型コロナ感染拡大の状況の中で、孤立し、生活面でも精神面でも追い詰められた若者の自殺が増えているという報道、またステイホームの中で家庭内暴力が増えているという報道に触れ、その現状を知りたいという思いから、テーマは「今、顕在化している自死、子どもへの虐待、家庭でのDVについて」とした。

講師は、『ネグレクト真奈ちゃんはなぜ死んだか』(小学館文庫)などの著書などで知られている杉山春さんにお願いした。杉山さんは以前NHKテレビの「あさイチ」に出演時、賛美歌を歌っていたのでクリスチャンであることを知っていた。また、今回のテーマにぴったりだと社会委員会で話し合い、依頼させてもらった。

新型コロナウイルスの蔓延防止のためズームでの開催となり、43名の参加があった。岡山県外からの参加や県内の児童相談所や養護施設の職員の参加もあった。1時間の講演と30分の質疑応答というプログラムだった。

参加者からの感想を紹介することで、当日の様子をお伝えできればと思う。「虐待のニュースになると、いつも加害者に対しての非難が集中します。杉山さんのお話を聞いて、加害者のバックグラウンドにも様々な事柄があり、報道されないことも多々あるのだと思いました」。

また地域の子育て支援をしている参加者がこんな感想を寄せてくれた。「支援者が親子の課題を見誤ると支援が間違った方向に行ってしまうことが心に残りました。親子、家族の深い部分に何があるのかを想像しながら、慎重に親子とかかわる視点を持つ必要があると思いました。支援を受けられる時より、そこから離れてしまった時の方が深刻度が増している可能性があることを念頭におく必要があると思いました。また、DVや虐待による支配やコントロール下にいる母親や子どもに気づける支援者、地域の大人でありたいと思いました」。

教会が、今、コロナ禍の中にあって自分たちの身を守りつつも、その周りにいる方々、特に自己責任論が前面に押し出されている中で、孤立している方々のニーズにどれだけ具体的に応えていけるか、そのことを改めて考えさせられる機会になったと思う。

(延藤好英報)


《東京教区東支区》 教育部主催 第55回「中高生連合キャンプ」

一つとされている恵みを味わう

東京教区東支区では教育部主催で毎年中高生連合キャンプを計画している。対象は各教会中学1年生から高校3年生。島嶼部(伊豆諸島)の教会がある東支区は、特に夏に集まるキャンプを大切にしてきた。昨年来のコロナ禍にあって、毎年の宿泊を伴う形でのキャンプが適わず、昨年初めてズームを用いてリモートキャンプを開催した。準備から当日に至るまで、洗礼を受け、教会から派遣された青年たちがリーダーとして話し合い、祈り合い、作り上げてきている。

今年も8月15日、14時から16時の日程で第55回東支区中高生連合キャンプをズームにて開催することができた。東京都内は緊急事態宣言が発令され、CSも休会としている教会が多い中、与えられた参加者は5教会41名。うち中高生14名、初参加者も6名与えられた。

内容は開会礼拝、自己紹介などを含めて親睦を深めるゲーム、賛美、最後に閉会礼拝。今年はテーマを「ともだち」、聖書箇所はマタイによる福音書18章18〜20節とし、一つところに集まることが出来なくても、主イエス・キリストにあって一つとされている恵みをプログラム全体を通して味わうことができた。

この連合キャンプで特徴的なのは毎年、プログラムの最後に「卒業式」を行っていることである。高校3年生はキャンパーとして最後になるが、卒業しても来年以降リーダーとしてこのキャンプで一緒に過ごすことが出来るように、思いを込めたTシャツをプレゼントする。このTシャツもリーダーたちがデザインから発注まで行い、寄せ書きをし、プレゼントしている。

ここまで一度も休むことなく、続けられてきた東支区中高生連合キャンプ。各教会からの祈りに押し出され、キャンパーたちがキャンプをきっかけに洗礼へと導かれてきた。またリーダーの信仰の成長の場としても用いられてきた。これからも用いられるように、このキャンプ、中高生、青年たちのことを覚えていただければ幸いである。

(堀川 樹報)


《西中国教区》 宣教委員会社会部主催 「災害対策セミナー」

つながりをつくる教会の役割を考える

各地で起きる自然災害。私たちは自然災害への備えをしているのだろうか。まずは、一人一人、防災への意識を持っていこうとの思いで、7月30日、神石高原町油木コミュニティーセンターにおいて、西中国教区宣教委員会社会部の主催で災害対策セミナー「災害の時、わたしたちにできることは?」を開催した。

セミナーは、広島県神石郡神石高原町を拠点に活動する認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンの皆さんの協力を得て行われた。ピースウィンズ・ジャパンは、世界各地で災害支援や難民支援などを行っている団体である。災害後だけでなく、防災・減災のために今回のような学習会も行っている。

自然災害は、人がコントロールできるものではない。しかし、今回私たちが学んだように、一人一人が学び、備えを行うことで、被害を減らすことができるのだと思う。

今回のセミナーで、多くの学びを得たが、避難所生活の実態の学びが印象に残っている。避難所生活がいかに大変かということを知らされた。報道では見ていたものの、想像以上である。実際にはこんなものではない、まだまだ知らない苦労があるかと思うが、想像することから、防災、減災は始まると思う。それは、災害発生後においても言えることかと思う。

ピースウィンズ・ジャパンが、神石高原町に拠点を移してから、スタッフの方が油木教会の礼拝に出席するようになったそうだ。そのつながりから、今回のセミナーが実現した。災害への備えは、今回学んだこともとても大切だが、何よりもこのような人とのつながりが大切であると改めて思わされている。地域の中にある教会として、常日頃から地域とのつながりをつくることの大切さを思うと共に、つながりを得にくい方々の存在を大切にすることが、教会の役割ではないかと考えさせられる時となった。

(月下星志報)

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