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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4942・43号】寄せ場からの声に聞く
新型コロナウイルス感染拡大の渦中で

2021年1月30日

「コロナ対策班」を設置して

釜ヶ崎 《大阪》

釜ヶ崎では、2020年12月28日から2021年1月3日にかけて、第51回目になる釜ヶ崎越冬闘争が、第51回釜ヶ崎越冬闘争実行委員会によって行われました。連日に渡って、パトロールや炊き出し、団結もちつき大会(1月2日)等が行われ、泊まる所のない労働者のためには、寝場所が設置されました。今回の越冬闘争は、新型コロナウイルスの感染が続く中で行われるということもあって、新たに「コロナ対策班」が設置され、越冬闘争中に出会った、新型コロナウイルス感染が疑われる発熱者や体調不良者に出来るだけの対応を取れるようにしました。

一昨年4月24日に閉鎖されたあいりん総合センター(以下、センターと略す)周辺では、常時、30名程の労働者が、ダンボール等で寝泊まりを続けています。このセンター前でも、釜ヶ崎センター開放行動によって、2020年12月29日から2021年1月4日まで、センター前にテントを設置しての寝場所の提供、映画上映会、団結もちつき大会(1月4日)等の越冬闘争が行われました。

昨年4月22日、大阪府は、今、釜ヶ崎の再開発の流れの中で予定されているセンターの取り壊しの工事に早く着手したいために、センター周辺に常時居続けている労働者を強制的に立ち退かせるために裁判を提訴。この裁判とは別に大阪府は、強制立ち退きを早期に確定させる(仮処分命令を裁判所に出させる)ための裁判も起こしていたのですが、こちらの方は、昨年12月1日に大阪府の訴えを裁判所が却下したため、強制立ち退きは、しばらくの期間は、法的には出来ないことになったわけです。

新型コロナウイルスの感染終息にいまだ目途が付かない中で強制立ち退き裁判を起こした大阪府の意図は、何とか「経済活動は維持したい」ということなのでしょうが、今はとにかく、新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、一人一人の生命を守るということに大阪府は全力を尽くすべきだと思います。「あなたがたは神(=生命を守る)と富(=経済活動の維持)とに仕えることはできない」と言われたイエスの言葉のリアリティーを改めて痛感します。

(大谷隆夫報/釜ヶ崎医療連絡会代表・関西労働者伝道委員会教務教師)

センター前越冬闘争のスケジュールが書かれている立て看板

センター前越冬闘争のスケジュールが書かれている立て看板
※写真 教団新報より


孤立しない、させない活動

寿 《神奈川》

寿地区は人口5785人、65歳以上3244人高齢化率56%という数字が報告された(横浜市寿福祉プラザ2019年11月1日調査)。現役の日雇い労働者は少ない。このような地域での活動は寿地区高齢者ふれあいサロン・昼食会は中止とし今なお再開のめどはたっていない。

しかし炊き出し(食数平均550食)とパトロール(パトロールで出会う野宿者数約100名)はいつも通り行なっている。野宿を強いられている人たちにとっては炊き出しとパトロールは生命線。せめて週に一回、みんなで「元気だった」とお互いに声を掛け合うことでお互いの安否確認ができる大事な活動である。全国各地からたくさんのマスクや炊き出しに必要な物資カンパも送られてきた。多くの人たちに支えられ、多くの人たちの思いで繋がっているのだとあったかい気持ちになった。

新型コロナウイルス感染の状況の中で仕事を失った人たち、まさかという予想もしなかった状況。絶望の中に居る。そして自殺者も増えている。これから仕事を奪われ、住むところを奪われた人たちは路上にどんどん増えて行くことが予想される。生活保護の申請も急増している。互いに助け合っていかなければと思う。

また新型コロナウイルスの感染による差別は、世界中で起こっているという。何故、何がそうさせるのだろう。このような事態になると人間の本性が現れるといわれる。人が人として絶対やってはいけないことではないか。あまりにも悲しいではないか。それは殺人と同じである。そのためには自己検証をしていかねばならないと思った。そして抗議の声を上げ続けなければならないと思う。

武漢在住の作家・方方(ファンファン)さんは厳しい監視の目をかいくぐり以下のように書いている。「一つの国が文明的かどうかを測る尺度は(中略)たった一つ。それはその国の弱者に対する態度」と。まさしくイエスの指し示す生きかたなのではないだろうか。

(三森妃佐子報/神奈川教区寿地区センター教務教師)

ブルーシートで雨養生し、雑炊を食べる

ブルーシートで雨養生し、雑炊を食べる
※写真 教団新報より


連日の炊き出しを開始

山谷 《東京》

12月29日昼から1月4日朝まで、城北労働福祉センター前の路上を拠点に、2020〜21山谷越年闘争が行われた。コロナの感染者は連日増え続けており、ここに集まってくる仲間の中から1人でも感染者が出たら、炊き出し自体をストップせざるを得ないという緊迫した状況下、越年闘争も朝夕の食事提供と衣類・日用品等の配布のみという、極めて限定的なものになった。人々の密集を避けるため、例年共同作業をしていた食事の準備も、恒例の餅つきも、大晦日の芝居も学習会もなし、大きなテントの中に布団を並べた集団野営も中止して、寝場所のない仲間には各自寝袋や1人用テントを渡すというやり方で凌いだ。

政府が「緊急事態宣言」を出した昨年4月以降、最もコロナ感染の危険にさらされながら医療につながる手立てもなく、東京都の「特別就労事業」(公園・道路等の清掃)の延期で現金収入の道を閉ざされた野宿者・日雇い労働者の命を守るため、私たちは連日の炊き出しをセンター前で開始した。一方で、山谷対策を標榜しながら野宿者には何の手だても講じないばかりか、地下の娯楽室を閉鎖するだけのセンターに対し「仕事を出せ」、「医療・宿泊などの応急援護を行え」など仲間たちの切迫した要求をつきつけ、一部獲得したものもあった。越年闘争もその延長上で行われた。

越年期間中は、東京都が近隣のドヤを使って130人分の宿泊(朝夕のコンビニ弁当付き)を用意したこともあり、センター前に集まる人数はいつもの3分の2くらいと少なかったが、越年明け1月6日の炊き出しにはまた100人を超えるようになった。2度目の「緊急事態宣言」が秒読みとなった4日の交渉に、私たちの前に出てきたセンターの責任者は、今後の見通しについても仲間たちの質問にも何ら明確な回答をせず、早々に引き揚げていった。コロナ禍にめげず、越年闘争を担った仲間をもっと広げ、越冬から春のたたかいに向けて力を結集していきたい。

(松井悠子報/山谷労働者福祉会館活動委員会・ 城西教会員)

センター前の立て看板

センター前の立て看板
※写真 教団新報より


困窮状態の多様化を実感

笹島 《愛知》

愛知県名古屋市は年末年始の期間、野宿状態にあって所持金の少ない(3万5000円以下)人に対して無料宿泊所を開設(入所12月21日〜1月4日)しています。今年はコロナに対応した個室の簡易宿泊所(3食付)が準備されました。今年度の入所は66名で去年の50名を上回りました。

一方私たち民間の支援団体は、名古屋市内の公園にテントを設営、たき火で暖を取り年末年始のこの時期に困窮状態にある人たちへの支援活動を行いました(12月28日〜1月4日)。コロナ禍の今年は必要最低限の支援活動に絞り、食事の提供・医療・生活相談・支援物資、カンパの受け入れ・夜回り・テント内での宿泊・衣類提供・散髪などです。私はささしま共生会(市の中心部で週2回の炊き出し、野宿者のアパート入居の支援を行う)の一員として越冬活動に参加し、夜の食事提供を担当しました。毎回60名ほどの利用がありました。

12年前リーマンショックで多くの人が住まいを追われ野宿状態になり、炊き出しにおしよせたことを思い出します。年末年始関係なく困窮する人たちがあふれました。今回のコロナ禍の下でも同じようなことが起きるかと思っていましたが、2019年の春以降炊き出しや夜回り(夜野宿して寝ている人を尋ね安否確認・支援物資配布を行う)に大きな人数の変化はなく、確かに炊き出しに並ぶ若い方たちが何人かはいますが、2020年度の炊き出し利用者は前年度に比べ若干の減少となっています。区役所で生活保護申請の支援をしているボランティアの方に聞くと、むしろ居宅(住むところのある状態)で生活保護などの相談に来られる方の方が多い、また民間の生活保護施設に入所する人も多いとのことでした。私たち野宿者を支援するグループが行う夜回りや炊き出しといった古典的な支援活動では出会うことのできない居宅で困窮状態の人たちに届く支援も必要だと感じています。

(林正史報/ささしま共生会職員・教団教師)

笹島

※写真 教団新報より

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