1931年にメソジストの学生センターとして東京・信濃町に建てられた「学生キリスト教友愛会(SCF)」。戦後は教団に編入し、日本基督教団の学生センターとして活動を行い青年伝道の一翼を担ってきた。学生紛争などもあり、その歩みは決して平たんではなかったと聞いている。そして30年前に現在の中野に会館を移転し、同時にアジア学院隣接地に「那須セミナーハウス」を建設し、中野と那須塩原の地で活動を行っている。
2月23日、その双方30年の歩みを記念して、歴代の主事・学生主事、理事、那須セミナーハウス主事などを招き夕食会を行った。何よりうれしかったのは、この記念会の実施を望んだのが青年たちであって、「30年の節目に、愛するSCFの先輩方にお会いしたい。自分たちの気持ちを伝えたい。先輩方の想いも聞きたい」と企画立案し実施へとつなげてくれた。
彼らが望んだ「想いの共有と確認」は豊かなもので、参加した30年また50年以上前の同窓生からかつての想いや活動、変わった部分や変わらない想いなどを大いに分かち合うことができた。
大きな変化としては、現在は学生だけでなく社会人も多いことが驚きをもって聞かれ、変わらないこととして、仲間同士で本気で向き合ったこと、笑顔がたくさん生まれたこと、時にはぶつかったこと、奉仕を大切にしてきたこと、教会を知らないメンバーも多く彼らも大切にされていること、その中から多くの受洗者や教職が輩出されてきたこと、一生の親友・信仰の友・伴侶に巡り合ったこと。東京を離れた方からは「日本全国にSCFのような場が欲しい」といった声も聞かれた。
記念礼拝では後藤正敏元主事の説教と共に、歴代の主事・学生主事全員から青年伝道の想いや、SCFでの活動や体験が現在の牧会や学校でのチャプレンとしての働きにも活かされていることなども分かち合われた。目の前にいた青年たちのために魂を燃やした出来事を思い出す中で、何人かの教職が言葉を詰まらせる場面もあった。また、秋山徹総幹事より教団の青年伝道の幻も青年たちに共有され、勇気づけられた者も多くあった。
今回の記念会を通して青年たちは多くを知った。現在までの青年伝道の営みとその実りと困難。バトンをつないできた方々。背後で多くの支えと祈りがあること。日本基督教団唯一の青年センターとして主から託されていること。
これからもキリスト教主義学校と教会との中間的存在として、またその双方との強い信頼関係の中で「すべての若者のためのセンター」として主の委託に応えてゆきたいと願っている。(野田 沢報)