【4701号】宣教師からの声 番外編

 

生徒らを心に刻んで -ラッセル校長の40年-

野々村 昇 (活水学院院長)

 

長崎東山手の丘に登る道は「オランダ坂」と呼びならわされている。明治初期、この辺りは居留地に指定されており、外国人たちが行き交ったからである。坂の途中にある活水女子大学の正門を通って石段を登りきると、急に眺望が開け、右手には芝生の校庭と赤い屋根の校舎、左手には谷一つ隔ててグラバー園とその先の海が目に飛びこむ。

校庭の入り口に3本の楠が聳え立つ。枝葉が生い茂り、まるで登校する者を両手広げて歓迎しているかのようだ。

この楠は創立者によって植えられたと伝えられており、そのことは校歌にもうたわれている。創立から126年経った2005年の12月、私たちはこの楠の傍らに、活水学院に遣わされた歴代宣教師を記念する碑を建立した。そこに名を刻まれた宣教師は76名。全員が女性である。石碑には次の銘文が添えられた。

1879年、遥かアメリカより太平洋をわたって二人の宣教師が長崎に赴いた。二人は直ちにキリスト教を基盤とする女性の学校を開いた。活水学院の創設である。以来126年間、学院は幾多の試練にも挫かれることなく、初心を貫き、使命を果たし、今日を迎えている。この間、神の召しに応じて学院に奉職した宣教師は76名。かれらの祈りと献身は学院の根底を支えた。神を敬い人を愛する精神に発するかれらの教育は、指導力と高潔な心情をそなえた女性を数多く育てた。今われわれは、歴代の宣教師とかれらを派遣し支えた人々に対し深甚の敬意と感謝を覚えつつ、この記念の碑を建立する。

いかに美しいことか

山々を行き巡り、良い知らせを伝える者の足は

(イザヤ書527)」

活水学院の創立者エリザベス・ラッセル宣教師と協力者ジーン・ギール宣教師を送り出したのは、アメリカ・メソジスト教会の婦人外国伝道協会である。派遣を要請したのは、すでに1873年から長崎で宣教活動をしていたJ・C・デヴィソン宣教師である。

二人が長崎での教育活動を開始したのは、長崎到着のわずか8日後。生徒は一人だけであった。生徒も教師も互いの国語がわからない。ただ表情でコミュニケートするばかりであった、とラッセル師は記している。しかし、日を追って二人の日本語は上達し、日本語で聖書が読めるほどになる。生徒数も徐々に増加し、3年後には40名を越す人数になった。この時点で二人は校舎の新築を思い立つ。60名の寮生、40名の通学生を教育するのに十分な広さをもつ壮麗な学舎が東山手の丘に建った。その1年ぐらい前には「活水」という校名も定まっていた。ヨハネによる福音書4章に由来する。

日本の義務教育制度は1873年から始まったが、就学率はきわめて低かった。女子の就学率はさらに低かった。例えば1882年の場合、男子6699%に対し、女子は3304%である。長崎も同様である。そのような状況であるから、活水のような女子を対象とする学校の発展は、女子への学校教育の普及にも貢献したということになる。

それだけではない。いくつもの点で活水は先駆性を発揮した。例えば音楽教育。公立の学校が規程上は音楽(「唱歌」と呼ばれた)をカリキュラムに設定していながら、「当分これを欠く」として実施を見合わせていたときに、早くも活水では本格的に音楽教育が実践されていた。この音楽を含むリベラルアーツ的な内容構成は今も活水学院の底流を成している。

また、1893年、津波によって身寄りを失った女児を引き受けて養育する施設「活水女園」を開設して、児童福祉活動に取り組んだことも銘記しておきたい。

来日してから40年間、長崎の活水学院一筋に勤められたラッセル師。その豊穣な活動を貫く基本姿勢を表す言葉が、活水学院大チャペルの前面に掲げられている。

If you could see it, you

would find the girlhood

of
Japan written on my

heart.

心に刻むほどに徹底して生徒を愛し隣人を愛する、この姿勢をこそ私たちはラッセル師から学び受けまた次代に受け渡していかねばならないと、この言葉と向き合うたびに思わされる。

 

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