日本における社会福祉の根拠となるものは日本国憲法第25条です。「① すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
また『福祉六法』と呼ばれる法が定められており、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法があります。それに老人保健法と社会福祉法を加えて『福祉八法』と呼ぶこともありますが、憲法に基づいて社会福祉を支えるものとなっています。社会福祉事業は、社会福祉法2条で定められている事業のことを言いますが、その内容は多岐にわたり、細部にいたるまで触れられています。
ところがそのような中でも、社会福祉事業にすべての人々が満足しているわけではありません。様々な分野に目が届き、行政の支援もあるが、それが必要なレベルに達していなかったり、制度は整っていても心がこもっていなかったり。個別の福祉内容や個別の施設について、いつも不満が存在します。その不満がたとえ全体の中では少数であっても、その制度や施設を利用する人々にとっては重大なことなのですから、社会福祉事業にたずさわる者にとっては、日々改善の努力をしていくことが課題です。
日本基督教団は、社会活動基本方針に『教会と社会福祉事業との相互理解と協力を推進する』と謳い、12月第1日曜日を「キリスト教社会事業を覚えて祈る日」と定めています。十分に光の当たっていないところには、さらに光を当てようとしているわたしたちの仲間がいます。継続が大事な福祉を、心をこめてこれからも続けようと努力している仲間がいます。特に心のこもった福祉を実践しようと心がけている仲間がいます。
わたしたちの日本社会に社会福祉が体系的に入ってきたのは、プロテスタントのキリスト教が伝えられてからでした。また、心のこもった福祉を実践しようと心がけてきたのも、キリスト教社会福祉事業でした。
祈りをあわせて、支えたいと願っています。
2009年12月6日
第36総会期日本基督教団社会委員会委員 釜土達雄