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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4662号】「退任勧告」関連議案、複雑な議決

2008年11月15日

 

「退任勧告取り下げ」否決、「戒規申立無効確認」僅差可決

未受洗者への配餐の問題や北村慈郎教師に対する教師退任勧告、同教師に対する戒規執行申立の問題に、全国から大きな関心が注がれていたが、これに関する議案第41号から第43号までが三日目に審議された。

これら三議案は、北村慈郎教師への退任勧告に関して、「取り消しを要望」(兵庫教区総会)、「撤回」(神奈川教区総会)、「取り下げ」(東中国教区総会)の決定を内容としている。同趣旨の議案のため、一括して審議された。なお、第43号は分割され、議案の前半のみ審議されることとなった。

各教区議長が議案説明を行った後、賛否それぞれの意見が交互に聞かれた。反対の立場から、持田二郎議員は、教団の教会として教憲・教規を重んずべきであり、教師は教憲・教規を守ることを誓約しているので、北村教師もそれに従うべきと述べた。続いて原田潔議員は、賛成意見の立場から発言し、我々の目指すべきは一致だが、意見の違いもそこにはあり、補教師のため聖餐執行ができず悩む教会も少なくない現実を語り、北村教師の行為は、違反と言っても小さな問題であり、時間をかけて議論すべきだと主張した。

この後、山北宣久議長が発言した。山北議長は、「討論すべきと言われるが、土俵が確立していない所で何を討論するのか。まずは(違法行為を)止めていただきたい。単なる規則違反というだけでなく、教会が教会になるためにどうするかを問うている。教団の『一方的断罪』だという主張があるが、教会が北村牧師を立てたのではなく、教団が教師を立てたのであり、教師に逸脱があれば、教団が責任を問わなければならない」と述べた。

続いて、北村慈郎教師が発言し、「『教会が教会となっていくために』と言うのであれば、そのために、聖書と現実の問題の中で、イエスがどう語りかけているのかを聞きながら、それぞれがやっていくことだ。教憲・教規でただ縛るだけの教会であるなら、それは現実から遊離するだけだ。教会が教会になっていくためには、たとえ逸脱したとしても、その試みをしていくことがなければならない。教団は'87年くらいまでは聖餐についての議論を行っていた。それを継続していくことが重要だ」と述べた。

上田律子議員は、「自分なりに読んできた聖書からすれば、律法を根拠にイエスを亡き者にしようと画策したパリサイ人や律法学者のことが思い起こされ、キリスト教がやってきた宗教裁判の臭いを嗅ぎ取る。注意しやすそうな生徒を狙って厳しく叱る教師のやり方に似ている」と、教師退任勧告を批判した。

最後に北紀吉議員が発言した。「十分な議論無しに未受洗者配餐が行われている。行った後で『十分な議論をしろ』とは欺瞞である。『神奈川教区の意見を聞くこと無しに』と言われるが、紅葉坂が規則変更を申請した時、教区で扱うべきことでないので教団に判断を仰ぐことにし、教団はその申請を認めなかった。これに反するものに対して教団議長が判断を下すのは当然である」。

これらの討論の後、議案第41号から43号が個別に採決され、それぞれ、三五五名中賛成一六一、三五四名中賛成一六七、三五六名中賛成一六一で、いずれの議案も否決された。

議案第44号「教団第35総会期第五回常議員会における「北村慈郎教師に対する戒規申立を行う件」の決議の無効を確認する件」は、柴田もゆる議員の提案の議案であり、ポイントは三点。?戒規施行細則6条との関わりで、教団議長が上告を受理し常議員会が審判委員を選任するのは公正中立を侵害する。?信仰職制委員会の答申によれば、提訴者は限定されており、教団議長も提訴者たり得ない。?教規第35条との関わりで、戒規申立は常議員会の処理事項を越えており、教団議長の発議も違法である。

これに対して、教師委員長の松井睦委員が、教団の常設委員会等において教師としてあり得べからざる行為がなされた場合を例に挙げて、「常議員会は提訴者たり得る」との教師委員会の見解を述べた。続いて藤掛順一議員が、この度の戒規提訴の道筋について、「未受洗者陪餐の問題は、教憲に表されている合同教会としての歩みの根幹にかかわる。ゆえに議長と常議員会が提訴することはその責任である」と述べ、議案の主張に反対した。

最後に浅野直人議員が賛成の立場から発言し、「教団総会が最高の政治機関であり、教憲・教規の解釈についても教団総会の判断が最高である。教規のような規定については、解釈の幅を考えなければならない。とりわけ教師の身分に関する問題に関しては、厳格に考えられるべきである」と述べた。

この議案の採決について、無記名投票の動議が認められ、昼食の休憩を挟んで、午後採決が行われることになった。休憩後、無記名投票が行われ、三二六名中賛成一六七で可決された。

(藤盛勇紀報)

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