聞きやすい説教、一方、深みや力強さを
2月24日から26日にかけて、春季教師検定試験が行われた。今回の検定試験の受験者数は、補教師試験55名、正教師試験18名、計73名であった。
例年、春の検定試験は、キリスト教会館(東京・早稲田)で行われてきたが、耐震工事に伴い、現在使用できないため、信濃町教会(東京教区)を借りて行われた。初めての会場ではあったが、事務局の入念な準備のおかげで、大きな混乱はなく、支障なく行われ、感謝であった。
試験全体の印象は次の通りであった。まず、補教師の提出試験である釈義と説教は、復活の主イエスとトマスの出来事、そしてモーセの召命の出来事が課題箇所とされた。全体的に、聖書を物語るように語る説教が多く、優しい言葉遣いのものが多かった。これは、最近の傾向でもあるが、聞き手に配慮した聞きやすさを目指した説教が増えてきている。
しかしその一方、肝心の説教の深みや力強さという点では、もう一歩踏み込んでほしいものが多かった。テキストを釈義する力、また一つの事柄を神学的に思索する力が、より求められる。
筆記試験の印象は次の通りであった。「教憲教規および諸規則・宗教法人法」の試験は、全体的に非常によくできていた。しっかり準備して臨んだ受験者が多かった結果であろう。しかし一方、旧約聖書神学は、基本的な理解が足りない者が目立った。そして新約聖書神学も、用語を知っていても、その内容の理解が不十分な者が多く、残念であった。
現在、試験の結果、判定が保留となった者たちの再レポート課題の提出、そして採点が行われている。試験の最終結果はそれを経てからとなり、3月25日の教団三役会において報告される。
また今回初めて、教師検定規則3条6号対象者(Cコース受験志願者)の認定面接が行われた。受験志願者の召命の確認や、受験に向けての説明を丁寧に行うことができた。次回の認定面接は、秋季検定試験後に行う予定にしている。
試験終了後から、翌日の27日にかけて、今総会期最後の委員会が開催された。(26日は、信濃町教会。27日は、教団B会議室で行われた)。
渡部和使委員長の開会祈祷から始まり、春季検定試験の合否確認、追試レポートの締め切り日等について話し合われた。
また、次総会期委員会への申し送り事項が検討され、2015年秋季検定試験の釈義・説教の課題箇所、組織神学論文のテーマについて協議され、決定した。最後は、この2年にわたる委員会の働きが、主によって支えられたことに感謝しつつ、服部修委員の祈祷をもって閉会した。(鷹澤 匠報)
講 評
昨年度より補教師検定試験を受ける方々にも課題の説教を2編(旧約と新約各1編ずつ)提出していただくようになりました。御言葉を語る務めのための検定試験であることを考えてのことです。釈義と黙想の弱さが説教に現れている方が少なからずおられました。
パウロは語っています。「遣わされないで、どうして宣べ伝えることができよう」(ローマ10・15)。聖書は身近にあって誰にでも読めるのですが、誰でも「信じるべき言葉」、「救いの言葉」として語れるわけではありません。主に召され遣わされた者が、重い口を開かせられてはじめて宣べ伝えることができるという性質を帯びています。だからこそ聖書を語り続ける教師には召命が必要です。
釈義と黙想は語り手が御言葉に聞き従い一体化していくための大事な作業です。聖霊の助けを祈りつつ、しっかり取組んでください。
第38総会期 教師検定委員長 渡部和使
2015年春季・補教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
(A,B,CⅢ)
次の2題に答えてください。
1.教区の性格と役割について、「教憲教規および諸規則」の当該条項をあげながら、教団および各個教会との関連で述べてください。
2.宗教法人法の規定に基づく法人教会として、所轄官庁の認証を受けなければならない事項について、当該条項をあげて述べてください。
旧約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
1.次の問題に答えてください。
・旧約聖書における「罪の赦し」について
2.次の3題のうちから2題を選んで答えてください。
①シナイ契約が果たした神学的意味について
②知恵文学における人間理解について
③旧約聖書の終末預言について
新約聖書神学(60分)(B,CⅢ)
次の2題を、新約聖書のテキストをいくつか挙げつつ、答えてください。
1.ヨハネによる福音書の終末論について、述べてください。
2.パウロ書簡における教会の理解について、述べてください。