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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4582号】伝道のともしび

2005年7月9日

地方伝道の喜び

室戸教会牧師 土肥 聡

室戸教会は、雄大な海、真っ青の空という恵まれた自然の中に立っている。室戸と言えば、すぐに台風が連想される。昨年には台風の高波により堤防が破壊されて、尊い命が奪われた災害が起こった。しかし、自然の厳しさだけでなく、教会を取り巻いている状況もますます厳しさを増している。合併話が出てこないほど町は疲弊しきっている。一言で言えばお先真っ暗。
その町にある教会の伝道の困難も数えると切りがない。教会の戸を叩いて訪ねてくる人は滅多にいないし、若者もいない。しかし、教会は五五年間室戸の地にしっかりと立ち続けてきた。多くの祈りと献身、伝道の労苦がなければ、とっくに教会は消えていたにちがいない。また、この小さい群れが今まで導かれるために、周りから暖かい支えの手が添えられてきた。四国教区の互助による謝儀援助を二一年に亘って受けることによって、牧師が腰を据えて伝道に専念することができた。それに加え、香長伝道圏という教会の交わりがあった。高知県東部から徳島県南部に点在する一二教会が協力しながら伝道を進めている。そこから経済的な支援を含めて具体的に支えられてきた。しかし、今、教会は、経済的に自立して伝道を進めている。それは、目に見えて教勢が上向いたとか、経済的に恵まれたからではなく、信仰の決断をもって自立へと一歩踏み出したとき、すべて必要が満たされたからである。その経験は、わたしたちの教会をさらに伝道へと押し出す原動力となったように思える。
今、室戸教会は、香長伝道圏の応援の中で「中芸」という教会のない地域で開拓伝道を進めている。毎週日曜日、午後には室戸から車で三〇分離れたその地に出かけて行って礼拝を守っている。夏には多くの奉仕者を得て、三五〇〇軒にトラクトを配布している。神の民が起こされるように祈りつつ伝道を進めている。もう一つの祈りの課題は老朽化した会堂を建て直すことである。五月に隣接地に一二四坪の土地を得、その費用を完済した。三年後にこの地の伝道拠点となる新会堂の完成を望み見て、みんなで祈っている。会員一九名の群れにとって途方もない業であるが、すべてを成し遂げられる主に委ねて進んでいこうと願っている。
わたしが神学校時代、夏期伝道実習に香長伝道圏へ派遣されたとき、この地の伝道者が生き生きと働いている姿を見せられて、赴任希望を地方教会と定めた。室戸教会に遣わされて、はや一六年目を迎えた。教勢や教会の置かれた状況は相変わらず厳しい中にあって、多くの神様のみ業を見させていただいた。地方伝道の喜びは、小さな出来事の中に生ける神のみ業が見えてくることである。昨年のクリスマスには今まで妻の信仰に反対であった方が思いがけなく洗礼を受け、教会は大きな喜びに溢れた。十年ぶりの洗礼式であった。そのようなみ業に大いに励まされ、現在に至っている。
地方伝道に特別な方策があるわけではない。どんな状況であっても、まことの神を神として礼拝し、御言葉に生かされること、牧師は御言葉を通して、福音の喜びを説き明かすことが、何よりも大切である。小さい町では、キリスト者であることはだれからも周知の事実であり、信仰を隠すことは不可能である。礼拝から始まる信仰の生活は、そのまま周りへの証しとなる。御言葉によって生かされるその姿が、キリストを指し示すのである。その証しが用いられて、聖書に関心を持つ人も出てきている。室戸岬には暗い海を照らす灯台が立っている。教会もたゆまず福音の光を大きく照らす世の灯台としての使命に生きる群れでありたいと願っている。

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