【4611号】伝道のともしび

奥中山の地

奥中山教会牧師 江戸 清

岩手県北部、青森県に近い所に位置し、標高四五〇㍍ある過疎化の進んでいる町に教会はある。小学校も今年度から三校が一つに統合された。近くにある第三セクターの運営による奥中山高原駅は、無人駅にはならないが、小さな駅である。隣の駅は、無人駅である。昨年この駅で、実際にあった出来事をもとにして、映画が作られた。映画『待合室』である。待合室にいつしか置かれたノートに、旅人が心の思いを綴り、そのノートに、駅前で酒店を営む女性が返事を書き込み続けたことが発端となって、旅人たちとの心の交流が始まるというストーリーだ。映画の撮影時、その駅の待合室のベンチに、奥中山教会の古い長椅子が使われた。地元で先行上映され、私も見たのであるが、ストーリーからすると、田舎の厳しい冬の状況の中での心暖まるエピソードが盛り込まれた映画であったが、今の時代にあっているのかは、分からない。しかし、私がこの映画を見て、感じたことは、私たちの教会は、この待合室のベンチのように、下で支え、安らぎの場、祈りの場として存在することで良いのではないかと思ったのである。今、奥中山の地下をJRの新幹線が高速で通過している。新幹線が開通して、東北本線は、特急も急行も、見ることが無くなった。その様な中で、隣の無人駅がロケ地となったことを嬉しく思う。
奥中山は、「明治~昭和」という時代にかけて、軍馬の育成が行われたところとして知られている。地元では、それを誇りにする人もいる。また、戦後、食糧増産の国策の下、満州などからの引き揚げ者が入植した地でもある。奥中山の教会の始まりは、開拓団の団長をはじめとする数名の開拓者が、クリスチャンであったことによる。開拓当初は、掘っ立て小屋から始まったと聞く。その様な先人の労苦があって今がある。今は、軍馬にかわって、酪農が営まれている。また高原野菜が作られている。平和になったしるしとして受け止めている。
今、奥中山教会は、知的障がい者施設「カナンの園」の利用者や職員が、礼拝出席の八~九割をしめている。教会の付属施設ではないが、深い交わりの中に置かれている。
私たちが集う礼拝は、子どもから大人までが、毎週一緒に守る公同礼拝である。みんなで礼拝の当番を行っている。私が赴任して、最初に驚いたのが、司会者も、教会員が持ち回りで行っていることであった。時には、聖書朗読に介助を必要とする時もあるが、皆が助け合い、出来る奉仕をしている。礼拝の中では、ハプニングは毎週のように起きるが、しかしそれを超える恵みをいつも戴いている。祈りの内容に、心躍らされることはしばしばである。祈りを聞いて、如何に自分が、形式に縛られているか思うことがある。
また第一の日曜日以外は、毎週、礼拝の中で、持ち回りで個人、家族、グループホーム単位で「讃美証し」が行われている。以前、この様なことがあった。グループホームのテーマソング『水戸黄門』(人生らくありゃ~)が歌われた。今まで私が経験したことのないことである。毎週の礼拝がどのようになるか、開けてみなければ、分からないのが、奥中山教会の礼拝の特徴だ。
話し下手なこの私が、「型」「枠」にはまったおきまりの説教をしている。でも、こんな私でも、ここにいることを赦されていると感じている。
そして皆の笑顔に助けられ生きる希望を与えられている。

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