8月12日から14日にかけて「第4回夏期研修会(合同開催第7回Cコースの会)」が東京神学大学を会場にして開催された。この研修会は、日本伝道会から伝道推進室に引き継がれたもので、教規第3条6項による者(いわゆるCコースならびにその受験者)と准允5年までの教師を対象にして行われた研修会である。
これまでの経緯は、Cコースで教師を目指す者と教師となった者の研修と交流を出発点としていたが、一時頓挫し、再開に際して、教師育成をも目的に加えて、「夏期研修会」と称して開催を続けて来たものである。
また、これまでのテーマは、「説教」「教会」「葬儀」に焦点を当てて、教会の現場で新任教師が悩みを抱える課題を取り扱ってきた。今年は、「伝道者、牧会者として立つために」と題して「牧会」をテーマに研修会が行われた。
講演に当たった講師、講演題は以下のとおりである。石橋秀雄(教団総会議長)「贖罪信仰に立つ伝道者」、小泉健(東京神学大学准教授)「牧会とは何か」、高橋力(東北教区巡回教師)「永遠のお取り仕切り」、朴憲郁(東京神学大学教授)「牧会とアイデンティティ」、深谷松男(金沢大学名誉教授・法学者)「教会法と世俗法」「法的解決と牧会的解決」、小林眞(遠州教会牧師)「忘れられない役員たち」であった。
その他に朝と夜に礼拝を守り、チャプレンとして小島誠志(久万教会牧師)、大隅啓三(隠退教師)の両教師に奮闘してもらった。このことは、リトリートの側面をこの研修会の目的の一つとしているので大切にされている。暑さと雷雨の中での開催であったが、参加者は19名で、今回は、Cコース受験者が3名、Cコース出身者が7名、そして、准允後5年までの者が8名であった(聴講者が1名加わった)。
「牧会とは何か」を講演した小泉准教授は、「牧会は、神の言葉を伝え、…神の牧会へと目を開かせることである」と牧会の中心点を示した。また、深谷氏の講演の中では、教会法の独自性としてキリストの支配を挙げ、御言葉を正しく聞き、御言葉によって教会は統治され、キリストから命じられた責務を果たし、神の栄光に仕えることを学んだ。更に、朴教授の講演では、「アイデンティティ」を「私とは何か」という側面から捉え、神の栄光を現わす器としての自己形成について学んだ。
これらのことを踏まえて、研修会の後半では、「ケース・スタディ」という時間を設け、参加者が抱えている牧会の課題を出し合ってもらった。礼拝の中での子供が騒ぐことについてどう対処したら良いか、役員会形成についての諸課題、また、教会に無心に来る人たちに対する対応についてなど、多様な課題が出された。それを学んだことを土台として、牧会上の具体的な道筋を見出す学びの時間であったが、残念ながら、十分な方向性を見つけるまでには至らなかった。
今後の課題として浮かび上がってきたことの一つは、Cコース受験者の「教会実習(神学校での夏期伝道実習のようなもの)」の場がないことで、このような場を設けてほしいとの声に答えていきたいと考えている。
(宮本義弘報)