21:12 それから、イエスは神殿の境内に入り、そこで売り買いをしていた人々を皆追い出し、両替人の台や鳩を売る者の腰掛けを倒された。
21:13 そして言われた。「こう書いてある。『わたしの家は、祈りの家と呼ばれるべきである。』/ところが、あなたたちは/それを強盗の巣にしている。」
21:14 境内では目の見えない人や足の不自由な人たちがそばに寄って来たので、イエスはこれらの人々をいやされた。
21:15 他方、祭司長たちや、律法学者たちは、イエスがなさった不思議な業を見、境内で子供たちまで叫んで、「ダビデの子にホサナ」と言うのを聞いて腹を立て、
21:16 イエスに言った。「子供たちが何と言っているか、聞こえるか。」イエスは言われた。「聞こえる。あなたたちこそ、『幼子や乳飲み子の口に、あなたは賛美を歌わせた』という言葉をまだ読んだことがないのか。」
さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行き、イエスが指示しておかれた山に登った。そして、イエスに会い、ひれ伏した。しかし、疑う者もいた。イエスは、近寄って来て言われた。「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」
《マタイによる福音書28章16〜20節》
危機の共有、伝道力の回復
日本基督教団は信徒減少による教会消滅の危機、財政破綻の危機を迎えようとしている。
第40回教団総会においてはこの危機を共有し、全教団的取り組みが急務であることを確認する総会となった。
この危機にあって教団の第一の課題は伝道力の回復である。すなわち伝道力の命と力の回復だ。
主イエスの圧倒的な伝道命令に忠実であることこそ「教団の伝道力の命と力の回復」をもたらすと考える。
「さて、十一人の弟子たちはガリラヤに行き、イエスが指示しておかれた山に登った。そして、イエスに会い、ひれ伏した。しかし、疑う者もいた」(マタイ28章16〜17節)。
山は神と人が出会う場だ。モーセがシナイ山に登り、神の言葉が授けられていた時、麓の神の民は、神の臨在に圧倒されて震え上がった。
主イエスの指示に従って山に登った弟子は11人だった。イスカリオテのユダが欠けている。この弟子たちが山に登り復活の主に出会った。すなわち山で、神に出会って震え上がり、主の前にひれ伏し拝む弟子たちの姿が記されている。
この弟子集団はユダ的破れを内にもち、疑う者もいる弟子集団だ。この弟子集団を復活の主が圧倒し、主の伝道命令が、響き渡る。
「だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」(同19節)。
内にユダ的破れを持ち、疑う者もいる弟子たちが、主の伝道命令に圧倒される。
「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」との主の言葉に励まされ、迫害を恐れず、命を捧げて伝道する弟子たちに変えられていく姿が示されている。
驚くべき伝道力の発揮
越谷教会は1884年4月にアンブローズ・D・グリング宣教師が岩槻伝道の後、舟で川を下り、今でも農村地域である地で路傍伝道をはじめ、家を開放した農家で集会を開始。6月には3名がグリング宣教師によって洗礼を受け、越谷の初穂となり、越谷教会が設立される。この歴史を示す資料は、教会の火災で焼失してしまった。
グリング宣教師はアメリカ・ドイツ改革派教会「外国伝道局」が日本に最初に派遣した宣教師だ。
同教会の「外国伝道局」については、宮城学院元理事長出村彰先生が「合衆国改革派外国伝道局50年略史」を翻訳され、宮城学院資料室年報に掲載してくださり、「外国伝道局」の働きとグリング宣教師について詳しく知ることができた。
伝道局の目的が3項目あげられているが、その第一に「外国伝道局の目的は、異教徒の間にキリストの福音を広めることにある。それは福音の説教、学校教育、出版物の刊行による」と記されている。
東京、埼玉と伝道し、その後、仙台に拠点をおいて東北伝道を開始する。伝道の最も困難な貧しい農村地域で、その痛みを背負いながら次々と教会を設立し、山形まで教会を設立していく、学校教育にも力を注ぎ、東北学院、宮城学院を設立する。
日本伝道のために次々と宣教師が日本に派遣されてくる。当時の合衆国改革派教会は信徒数20万人、経済力に乏しい教会が驚くべき伝道力を発揮する。
東北学院には、仙台に派遣された宣教師たちと本国の教会とが「もっと資金を送れ」「送る資金はない」との激しいやりとりをする手紙が残っていると聞いた。
本国の教会では教会学校の子供たちまでが日本伝道のために献金を献げたという。
この驚くべき伝道力は「主の伝道命令に忠実に従い外国伝道を」(50年略史)と主から教会に与えられている第一の使命に服従するところから発揮されていることを知らされた。
ほぼ日本基督教団と同じ規模の教会のこの伝道の業に刺激を受けている。
主の命と力を受ける
わたしたちの教会も、最初に伝道命令を聞いた11名の弟子たちのように、内にユダ的破れを持ち、疑う者もいる群れである。
しかし、わたしたちは、復活の主に、神に出会う。十字架の贖いの福音に救われたわたしたちに圧倒的な主の伝道命令の言葉が、響きわたる。
「彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、 あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい」。
神の民が増えることは教会の大きな喜びだ。何よりも「大きな喜びが天にある」(ルカ15章7節)と主が語られている。
伝道は主の業である。聖霊なる神が伝道の道を切り開いてくださる。この主の伝道命令に忠実に従う時、主の命と力を受けることができる。
主イエスは「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる」と、主の伝道命令に従う者を励まし、伝道力の命と力を与え続けてくださるのだ。(第40教団総会議長・越谷教会牧師)
年末、一人の姉妹の葬儀があった。彼女は12月初めに病床で洗礼を受けた。キリスト者として、教会員としての生活は1ヶ月にもならない。友人が仕える教会でも、年明け洗礼を受けて月の半ばに召された兄弟がいたと聞いた。病床での立派な洗礼誓約だった、と言う。どの教会においてもこのような兄弟姉妹との交わりの経験が多かれ少なかれあろう。▼教会との接点が幾つかありながら、これまで洗礼には至らなかった。人生の最後、これに至った喜びは大きかった。彼女は自分が属する教会の礼拝堂に生前来ることもなかったけれども、静かな、しかし強い印象を家族だけでなく、教会員たちにも残していった。まだ会ったことのない姉妹の葬儀に教会員の出席も少なくなかった。▼/生涯の日を正しく数えるように教えてください。/知恵ある心を得ることができますように。/人間の浅はかな知恵では生涯を見極めることができない。神に教えていただくほかない。同じ詩編にこうもある。/千年といえども御目には/昨日が今日へと移る夜の一時にすぎません。/信仰の量によるのではない。今日、ここで同じ信仰に生かされているか、なのだ。
福音伝道推進契機の年に-宗教改革500周年
第40総会期第1回常議員会は、12月12・13両日、教団会議室で、30人全員が出席して開催された。
石橋秀雄教団議長による開会礼拝で、石橋議長は、説教の中で、「第40回総会は、教団の危機的状況を共有する総会だった。機構改正、財政改革が、今総会期の大きな課題として与えられた」と述べた。
道家紀一総幹事事務取扱が行った総幹事報告に対し、梅崎浩二九州教区議長は、「40回総会で石橋議長が九州教区への謝罪文を約束してくれたが、先の新報掲載文は謝罪になっていない。⑴提案理由の掲載、⑵教憲変更手続の確定、⑶2種教職制についての協議、について明らかにしてもらいたい」と意見した。
これに対し、⑴について、道家総幹事事務取扱が、「新報紙上で再度訂正文を掲載する」と約し、⑵、⑶について石橋議長は、「検討する」と答えた。
東日本大震災救援対策本部報告で、雲然俊美書記は、「10月31日現在で、国内募金10億2705万1046円、海外4億811万2041円、貸付残高2億8145万8031円」と報告した。
東日本大震災救援対策本部は、本年3月末で幕を閉じるが、貸付金処理事業が残るため、東日本大震災救援対策継続事業委員会設置が可決承認された。委員は、佐々木美知夫(招集者)、保科隆、真壁巌、佐久間文雄の4委員。
熊本・大分地震被災教会会堂等再建支援委員会を39総会期に引き続き継続設置し委員5名を選任した。
2017年の宗教改革500周年を教団は、「福音伝道を推進する契機の年」とし、6月22日の教団宗教改革500周年記念礼拝(富士見町教会)を皮切りに、以下の諸行事が可決承認された。
教会中高生大会
8月9日〜11日
教会青年大会
2018年3月22日
日独ユースミッション派遣
記念事業献金
目標1075万円
常任常議員選出では、三役提案の石橋秀雄、佐々木美知夫、雲然俊美、保科隆、藤掛順一、真壁巌、宮本義弘、望月克仁、鈴木功男、中嶌曉彦の10議員を承認した。
幹事任用では、3月末で任期満了となる計良祐時財務幹事の後任に、百瀬一成出版局前次長の任用を承認。大三島義孝幹事(宣教)、加藤誠幹事(世界宣教)、石田真一郎幹事(伝道推進室)を嘱託幹事(任期1年)として再任した。
教憲・教規変更手続検討委員会設置議案では、構成員に信仰職制委員長を含めた原案が、検討過程で信仰職制委員会に諮問する可能性があるとの指摘から、信仰職制委員長を外し、雲然俊美書記、東野尚志、井田昌之の3委員となった。(永井清陽報)
伝道力を高める体制を整えるため対策検討委員会設置
常議員会2日目、石橋秀雄議長提案の、議事第27号「教団伝道対策検討委員会設置に関する件」が上程され、活発な意見交換がされた。
議案説明の中で、この委員会は、教団の教勢・財政危機への対策について、教団組織と財政のあり方の見直しを含め、教会・教区・教団の伝道力を高める体制を整えることを検討する委員会であり、委員として、三役、常議員5名、教区議長8名の計16名に加え、予算決算委員長や諸幹事が常時陪席すること、活動期間は第40総会期であることが説明された。
冒頭議案提案者である石橋議長が「現在教団において伝道について議論ができるようになっていることは感謝である。伝道理解の相違はあるが、お互いに聞き合い、理解し合い、議論を更に深めたい。教団の危機的状況の中で、全教団的に議論をし、教規の変更等も視野に入れつつ、この委員会において伝道体制を整えていきたいと願う」と意見表明をし、議論が始められた。
質問として、この委員会は、洗礼者を生み出すための方策を考える委員会なのか、それとも教団の組織改革のための委員会なのか、という問いに対して、洗礼者を生み出すための組織改革を検討する委員会であると議長は応じた。
将来構想検討委員会の報告との関連について問ういくつかの声に対し、基本的には関連しているが、報告については引き継ぐことができるものとそうでないものがある、と答えた。
全教団的な議論とするためには教区議長8名は少なすぎるという声が複数聞かれたが、費用等を考えると8名が妥当。各教区議長には新たに全教区議長が集まる議長会を立ち上げ共有するようなことや、可能であれば全教団的な協議会の開催等も考えている、と答えた。
その後、委員の中から教区議長8名を削除し、毎回の常議員会後に教区議長会を行うという文言を追記するという修正案と、それに加えて、宣教委員会委員長の常時陪席を加えるという修正案が出され採決に入った。結果、2つの修正案は否決され、原案が26名の賛成で可決された。
その後、委員選任について三役に加えて5名の常議員として東野尚志、望月克仁、佐久間文雄、遠藤道雄、中嶌曉彦各氏が、8教区議長として北海、東北、関東、東京、中部、大阪、四国、九州の各議長が提案され、議場は承認した。
なお、常議員会1日目の議事終了後に、三役並びに常議員のみによる非公開の懇談会が開催され、意見交換がなされた。
(小林信人報)
人事案件、原案通り承認
第1回常議員会は人事案件が多かったものの、原案通り承認された。
《熊本・大分地震被災教会会堂等再建支援委員会》高橋潤、横山良樹、田中かおる、望月克仁、稲松義人。
《伝道資金小委員会》佐々木美知夫、高橋潤、宣教委員長、伝道委員長、東北教区議長、東京教区議長、四国教区議長。
《宗教改革500周年記念事業準備委員会》石橋秀雄、岡村恒、小橋孝一、中嶌曉彦、物井惠一。
《教師養成制度検討委員会》石橋秀雄、佐々木美知夫、東野尚志、小宮山剛、教師委員長。
《在日大韓基督教会と日本基督教団との宣教協力委員会》石橋秀雄、佐々木美知夫、雲然俊美、宣教委員長、在日韓国朝鮮人連帯特設委員長。
《在日韓国朝鮮人連帯特設委員会》小橋孝一、宮本義弘、大友英樹、中嶌曉彦、豊川昭夫。
《東日本大震災救援対策本部》石橋秀雄、佐々木美知夫、雲然俊美、保科隆、藤掛順一、真壁巌、佐久間文雄、八嶋由里子、日本キリスト教社会事業同盟、宣教協力学校協議会。但し、救援対策本部は2017年3月31日まで。
《常設委員会・常設専門委員会各委員会の招集者》は次の通り。
宣教委員会・米倉美佐男、教師委員会・菅原力、信仰職制委員会・藤盛勇紀、教師検定委員会・服部修、予算決算委員会・愛澤豊重、世界宣教委員会・秋山徹、伝道委員会・小宮山剛、教育委員会・具志堅篤、社会委員会・芳澤信、宣教研究所委員会・小堀康彦、伝道推進室・石橋秀雄。
(佐藤 進報)
伝道-私たちは何を信じ、何を伝えるのか
2016年11月19日〜21日にかけて「北関東伝道キャラバン」が開催された。今回のキャラバンは、特に東日本大震災の被災から全面的な会堂再建を遂げた栃木県と群馬県の教会を覚える中で行われた。伝道推進室の7名の教職、また東京神学大学の神学生7名がそれぞれ派遣された。
初日、キャラバン隊は第1陣と第2陣に分かれて東神大を出発した。第1陣は、まず宇都宮東伝道所でのトラクト配布を行った。第2陣の合流後、宇都宮教会において開会祈祷が行われた。その後、場所を宇都宮上町教会に移し、伝道推進室と栃木地区教師との懇談会が開催された。栃木地区の教会の現状が率直に分かち合われる時となった。
翌日は、前記以外の5教会(上三川、塩谷一粒、伊勢崎、群馬町伝道所、原市)にも教職、神学生が派遣され、それぞれ主の日の礼拝がささげられた。夕方からは、深井智朗教授(東洋英和女学院)による講演会が開催された。「伝道-私たちは何を信じ、何を伝えるのか」との講演を通して、61名の参加者がそれぞれ伝道への意欲を駆り立てられた。
最終日は、塩谷一粒教会でのトラクト配布、また、上三川幼児園とみふみ認定子ども園で子どもたちとの交わりを持った。最後の閉会祈祷では、参加者全員が与えられた恵みを分かち合い、祈りをささげた。「わたしがあなたと共にいる。…この町には、わたしの民が大勢いるからだ」(使徒言行録18章10節) との御言葉を改めて確信させられ、さらに伝道に燃える心を与えられるキャラバンとなった。
(木村太郎報)
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