11:1 エッサイの株からひとつの芽が萌えいで/その根からひとつの若枝が育ち
11:2 その上に主の霊がとどまる。知恵と識別の霊/思慮と勇気の霊/主を知り、畏れ敬う霊。
11:3 彼は主を畏れ敬う霊に満たされる。目に見えるところによって裁きを行わず/耳にするところによって弁護することはない。
11:4 弱い人のために正当な裁きを行い/この地の貧しい人を公平に弁護する。その口の鞭をもって地を打ち/唇の勢いをもって逆らう者を死に至らせる。
11:5 正義をその腰の帯とし/真実をその身に帯びる。
11:6 狼は小羊と共に宿り/豹は子山羊と共に伏す。子牛は若獅子と共に育ち/小さい子供がそれらを導く。
11:7 牛も熊も共に草をはみ/その子らは共に伏し/獅子も牛もひとしく干し草を食らう。
11:8 乳飲み子は毒蛇の穴に戯れ/幼子は蝮の巣に手を入れる。
11:9 わたしの聖なる山においては/何ものも害を加えず、滅ぼすこともない。水が海を覆っているように/大地は主を知る知識で満たされる。
11:10 その日が来れば/エッサイの根は/すべての民の旗印として立てられ/国々はそれを求めて集う。そのとどまるところは栄光に輝く。
東ベルリンで祝われた降誕祭
「慰めよ、わたしの民を慰めよと/あなたたちの神は言われる」(イザヤ書第40章1節)。
ヘンデルの「メサイア」は、柔和な、しかし、透徹する、このイザヤの言葉を歌うテナーの歌声に始まる。捕囚期の預言者第二イザヤが預言した慰めの時が遂に来たのだと告げる。今来られる主のために道を備えよ、と呼びかける(3節)。
1966年、降誕の祝いの食事に、私は、他の日本やアフリカからのドイツ留学生たちと共に、東ベルリンのある家庭に招かれていた。その最中に牧師が訪ねてきた。開口一番、「遂にやりました。今年はゼロです!」と叫んだ。家族は口を揃えて喜びに溢れて答えた。「そうですか。よかった! よかった!」。
ベルリンの壁が構築され、東ベルリンはいきなり、西に住む家族、友人たちから遮断された。特に高齢者たちが孤立した。壁が造られた年、降誕祭の夜、教会堂にひとが溢れ、家族が団らんを楽しんだ夜、牧師館の前で何かがどさっと墜ちる音がした。牧師が飛び出してみると、向かいの住宅から飛び降りたひとだったそうである。次の年も同じように自死するひとが出た。牧師は、教会が問われていると思った。はなやかな祝いの時に、絶望の極みに耐えられなくなった教会の仲間がみずからいのちを断つ。降誕の歌声が届かない隣人がいる。どうしたらよいのか。
教会の仲間と語り合い、クリスマスが近づくと、孤独、悲しみ、痛みのなかにいると思う隣人を訪ねた。祝いの食卓に招いた。壁ができてから5年、遂に自死するひとがひとりもいなくなった。牧師と教会員が手を取り合って喜んだのは、そのためであった。
外国に留学すると他人に言えないような惨めな思いをすることもあり、孤独な思いも深まる。そのとき、慰めの主のご降誕の祝いの席に私たちを招いてくれたのは、豊かな西の人びとではなかった。閉ざされた、しかも物質的には遥かに貧しい東ベルリンのキリスト者たちであったのである。
死に打ち勝つ慰めに生かされて
来年は敗戦後70年を迎える。いつであったか雑誌「信徒の友」から敗戦の年のクリスマスの思い出を書いてほしいと言われ、少々困惑したことがある。敗戦がもたらした絶望と虚脱の思いは、物質的な貧しさ、飢餓の現実と重なり、単純な解放感の満ちた降誕祭などとは程遠いものであった。語るべきものは何もなかったとしか言えなかった。
しかし、ただひとつ今なお鮮明におぼえていることがある。誰かがもみの小さな木を手に入れてきた。牧師の妻はアメリカ人の元宣教師であった。ドイツ系の家庭の人であり、故国から届いたというデコレーションの箱を開けてくれた。まことに簡素な金と銀のモールだけのようであった。その糸をかけるとそれでおしまいかと思ったら、夫人は、これが私たちの慣習なのよ、と言って、もうひとつ箱から小さな木製の素朴な十字架を取り出して、木の根元に置いた。まだ旧制中学の4年生であった私は胸を突かれた。敗戦の故に心身深く傷付いているところで、思いがけずクリスマスの小さなツリーの根元に置かれた茶色の十字架が示す恵みの光が少しまぶしいとさえ思ったのである。
イザヤ書第40章に始まる第二イザヤの文章は、4つの苦難の僕の歌を含んでいる。その代表的なものは第53章である。「彼は軽蔑され、人々に見捨てられ/多くの痛みを負い、病を知っている。彼はわたしたちに顔を隠し/わたしたちは彼を軽蔑し、無視していた。彼が担ったのはわたしたちの病/彼が負ったのはわたしたちの痛みであったのに/わたしたちは思っていた/神の手にかかり、打たれたから/彼は苦しんでいるのだ、と。彼が刺し貫かれたのは/わたしたちの背きのためであり/彼が打ち砕かれたのは/わたしたちの咎のためであった。彼の受けた懲らしめによって/わたしたちに平和が与えられ/彼の受けた傷によって、わたしたちはいやされた」(3~5節)。
私たちが隣人の痛みにこころを開くのは、この僕の歌が、私たちが誕生を祝う方によって現実となったことを知っているからである。ベツレヘムの馬小屋に生まれた幼子は、天上天下唯我独尊と唱えられたわけではない。ただ貧しい大工の倅であられただけでもない。私たちもまた、「ああ、神にさえ捨てられ、打たれている」と思ってしまった方となられた。だが、驚くべきことにそこで担われているのは、私たちの病、悲惨、私たちの罪であった。
私は、十字架を掲げる私たちの教会の建物を見て、いつも不思議に思う。死刑のための処刑具ではないか。そこで死刑にされたひとを示すものではないか。だが、私たちは、改革者ルターにならって、ここで私たちは死んだのだと宣言している。ここで死なれた方とともに私たちは罪に死んだのです、と告げる。そして私たちの罪が生んだ悲惨、孤独から救い出されたのです。私たちは癒されているのです。死に打ち勝つ慰めに生かされ、その証しをしているのです。
「彼が自らをなげうち、死んで/罪人のひとりに数えられたからだ。多くの人の過ちを担い/背いた者のために執り成しをしたのは/この人であった」(同前12節)。ここに私たち自身が慰めを得ている。だから、この慰めに生き、慰めを伝えざるを得ない。そうではないか。
「信徒の友」12月号で私は提案した。喪中欠礼という慣習をなぜ牧師まで守るのか。私は今、58年間共に生きた妻を喪い、喪中にある。しかし、ただ悲しんではいない。今年こそ、深い悲しみのなかで、妻とともにクリスマスの祝いにひとを招き続け、この慰めを携え、ひとを尋ね続けた伝道者であり得たことをさいわいなことであったと改めて深く思う。今こそ、罪と死に勝ってくださった主の誕生を祝い、クリスマスおめでとう!と叫ぶ。そのことを許されている。喪中欠礼を告げる代わりに、悲しみのなかで、孤独のなかでこそ改めて知る深い恵みをほめたたえる。そこで知る慰めにひとを招きたい。そこにこそ、慰めの共同体・教会の姿があるのである。
(隠退教師・神学者)
「処女マリヤより生まれ」人知を超えた神の御業を、マリアもヨセフも受け入れた。信仰により受け入れた。だが神の御業を受け入れるまでの葛藤があった。ガブリエルの言葉の前にたじろぐマリア。許婚の変化に戸惑うヨセフ。しかし、救いの御業を受け入れてのち、神にすべてを委ねる。マリアは、わたしたちの不信仰を蹴散らすかのように力強く神を賛美し、ヨセフは、生まれ来た幼子と妻を全力で守る。▼子供たちのクリスマス・ページェントの準備が始まった。子供たちは、ヨセフやマリアの躊躇を理解するにまだ幼い。結婚を大切にするゆえ、救い主の父母となる二人が真剣に悩んだことを大人となって知ってゆく。それで良い。教会に、結婚をしていない者だけでなく、結婚が壊れてしまった者たちも、また既に妻に夫に先立たれた者たちもいる。必ずしも、マリアやヨセフの結婚への思いと同じではないかもしれない。▼しかし、たとえ結婚の祝福と困難を知らない子供たちでも、結婚していようといまいと、ひとつの信仰により同じことを一緒に覚えることができる。救い主が、あなたのため、わたしのため生まれてくださった、ということ。それゆえ最初のクリスマスに立ち合った人々、代々の教会と共に、わたしたちも、今年、もう一度、クリスマスを祝うことができる。
伝道資金申請・交付のための手続きを決定
ここ数総会期で最も早い11月開催の第1回常議員会となった。伝道資金交付を15年度に控え早急に運用手続を開始しなくてはならないことによる。39教団総会にて決議された規則に則り運用方法詳細を決定し、小委員会を立ち上げた。東日本大震災救援対策、教師養成制度検討、キリスト教会館工事、前総会期から継続の課題もある。また新しく、2017年の宗教改革500周年記念事業、教団将来構想の検討も新しくはじまる。諸委員会の選考報告を受け、今総会期取組むべき課題が示された。
第39総会期第1回常議員会は、11月18日から2日間、教団事務局一時移転先近くの日本福音ルーテル東京教会会議室で開催され、常議員27人全員が出席した。
石橋秀雄議長の説教による開会礼拝後、議事に入り、要請陪席者として、沖縄教区を除く、16教区議長・議長代理が陪席した。
石橋秀雄議長は、「今総会期、『伝道する教団』を第一の使命と掲げたが、信仰の一致と教会の一致が求められ、伝道は一致して取り組まねばならない」と挨拶した。
総幹事報告で、長崎哲夫総幹事は、「東日本大震災募金に1億円を上回る献金を献げてくれた合同メソジスト教会救援対策委員会(UMCOR)のエイミック副総幹事が来日し、被災地訪問後、総幹事室で災害の救援等に関して協議した。
日本キリスト教会館10オーナーの管理組合臨時総会が11月7日開催され、会館耐震改修工事の基本設計を2億5千万円で一粒社ヴォーリズに発注することが決まった」と報告した。
第1回常議員会は人事案件が多く、殆ど原案通り承認されたが、東日本大震災救援対策本部委員は、1人増員の修正案が可決され、9人体制となった。
《常任常議員》 石橋秀雄、佐々木美知夫、雲然俊美、長山信夫、高橋和人、藤掛順一、高橋潤、鈴木功男、朝岡瑞子、河田直子
《会館問題特別委員会》
石橋秀雄、佐々木美知夫、雲然俊美、岡本知之、長山信夫、小橋孝一、鈴木功男、岡田義信、望月克仁、予算決算委員長
《東日本大震災救援対策本部》 石橋秀雄、佐々木美知夫、雲然俊美、藤掛順一、佐久間文雄、高橋和人、真壁巌、朝岡瑞子、岡本知之
《常設委員会・常設専門委員会各委員会の招集者》は次の通り。
宣教委員会・米倉美佐男、教師委員会・菅原力、信仰職制委員会・藤盛勇紀、教師検定委員会・鷹澤匠、予算決算委員会・愛澤豊重、世界宣教委員会・秋山徹、伝道委員会・成田いうし、教育委員会・具志堅篤、社会委員会・芳澤信、宣教研究所委員会・松井睦、伝道推進室委員・石橋秀雄
人事案件が順調に進み、2日目午後に予定されていた「伝道資金運用に関する件」の審議まで進み、各教区の意見・反論が続いたところで、会場の都合により、午後4時35分、1日目の審議を終了し、同案件を2日目に持ち越した。(永井清陽報)
会館耐震工事費・約2億5千万円
常議員会1日目、会館問題特別委員会の報告があった。
鈴木功男特別委員会書記が、「会館管理組合が設置した、『日本キリスト教会館 耐震・改修工事検討委員会』が、各団体の意向、各団体が表明した負担上限額(教団は、全面改修、負担上限2億円)に基づき、『最小補修案』(工事費2億5千万円、借入8千万円、10年返済、15年後に建替、2015年から積立開始)を提示した」ことを報告した。更に、この状況を踏まえ、「教団の会館問題特別委員会は、第1回委員会(11月4日)を開催し、教団の姿勢を検討し、基本設計発注につき、補強部分を最低限満足させ、必要な改修工事を行ってもらうこと、総工事費2億5千万円にはこだわらないことを提案する他、会館管理組合法人設立の検討を始めることに賛成する」としたことを報告した。
以上の報告に加え、管理組合臨時総会(11月6日)に出席した長崎哲夫総幹事は、総会において、一粒社ヴォーリズに基本設計発注を決議したこと、総工事費2億5千万円程の工事をする場合、教団が持つべき額は約5千万円であること、更に今後のことを検討する「耐震改修工事委員会」が新たに設置され、教団から総幹事が出席することを説明した。
これらの報告に対して、「法人化の内容」、「2億5千万円にこだわらないとした背景」、「今後、総工事費についての検証はどこで行うのか」等について質問があった。
鈴木書記は、「こだわらない」について、今後、設備補修の内容が検討されるが、2億5千万円を上回る可能性もあるという趣旨であると説明した。
長崎総幹事は、法人化について、今までよりも幅広い会館利用の在り方を検討し、更には、対外的な交渉を円滑にするためとした。
また岡本知之常議員は、総工事費については、耐震改修工事委員会とヴォーリズが話し合って決定して行くと説明した。
石橋秀雄議長は、実施設計に入って行く中で金額が変わることもあり得ることに触れ、教団としての、「最終的な決定は、臨時常議員会を開催する」と述べた。(嶋田恵悟報)
伝道資金小委員会立ち上げ
教団総会にて可決された伝道資金規則に基づいて、石橋秀雄議長が15年度交付のための具体的運用について提案、議論した。
「14年12月末までに各教区から申請を受け付け、15年1月末までに交付決定する」との日程提案にまず意見が相次いだ。既に年内の教区常置委員会開催の予定がない、各教会の決定が困難、教区総会を経る必要などが訴えられた。さらに申請、交付決定における伝道交付金(教会に交付)、伝道方策交付金(教区に交付)の種別や使途が不明瞭、伝道資金総額が提示されていないことに意見があった。
鈴木功男前連帯金検討委員会書記は「伝道の定義が多義に亘り使途等を詳細に明示するのは困難」とした。計良祐時財務幹事は「資金総額は2012年度報告に基づき5869万円となる」と答弁した。
「15年度交付決定を常任常議員会に付託する」との提案には反対意見が述べられ、「常議員会にて決定」との修正案を賛成多数で可決した。日程原案にはなかった2月10日に、第2回常議員会を開催、交付決定することとなった。
伝道資金小委員会から審査報告を受ける2月常議員会に向け申請日程は弾力的に運用される。各教区の資金使途を常議員会に報告することも決定した。小委員会委員に、招集者・佐々木美知夫副議長、高橋和人、高橋潤、鈴木功男各常議員、邑原宗男(奥羽)、木下宣世(東京)、井ノ川勝(中部)各教区議長を選出した。
38総会期、教師養成制度検討会議が石橋議長に提出した答申を踏まえて、議長は、教団として具体的取組み検討、推進のため常議員会のもとに特設委員会設置することを提案、可決した。招集者・石橋議長、佐々木副議長、岡本知之、東野尚志各常議員、教師委員長を選出した。
岡村恒常議員が次の3案を提案した。
2017年に迎える宗教改革500周年記念のため事業準備委員会を組織、教団記念行事、福音主義教会、超教派の事業・活動を計画準備することとなった。石橋議長が招集し計5名の委員会となる。
39総会期に教団に託された使命を覚え、あるべき教団の姿を描き出してゆくために、教団の将来構想を検討する委員会を設置することを27名中15名の賛成で可決した。佐々木副議長が招集者となり、計5名で委員会を構成する。
教団が委託し各教区で行われる准允式、按手礼式で日本基督教団信仰告白が唱和告白されることを確認し、適切な実行を求めることを賛成多数で決定した。(新報編集室報)
第38回総会期第6回宣教委員会は10月6日〜8日、台北(台湾)にて開催された。
初日は2つの教会を訪問。先ず、昨年2013年に創立百周年を迎えた雙連教会を訪ねた。陳文欽(主任)牧師と長老たちから教会の歴史とその働きを伺った。その後、台北の古いアパート群の一角で開拓伝道が開始され、今年創立55周年を迎えた大安教会を訪問。大安教会はこの5月に4回目の会堂(地下4階、地上8階)を献堂。羅聯昇(主任)牧師から活発な宣教活動、特にマラウイ(アフリカ)の教会への支援活動を一教会で行う大安教会の宣教力に圧倒される思いで伺った。
2日目は、台湾北部で伝道を開始したカナダ長老教会のマカイ宣教師由来の馬偕病院を訪問した。馬偕病院は創立以来、台湾における医療のパイオニア的存在として地域社会に貢献し続けている。それから、PCT総会(台湾基督長老教会本部)を訪問。林芳仲総幹事によるPCT紹介を伺った。PCTは2015年に宣教150周年を迎える。数年程前から「一領一新倍加 門徒培育プログラム」(信徒訓練)を実施している。
その後、マカイ宣教師が最初に上陸した淡水へ向かい淡水中学校(幼稚園〜高等学校)、真理大学、淡水教会を訪問。
最終日は、台湾神学院を訪問。宣教学担当教師と懇談の時を持った。
それから、神学院の一室を借用し委員会を開催。諸報告を受け、次期総会期への申し送り事項について協議。張田眞委員長は次のようにコメント。「当委員会の課題の一つは教団の宣教方策に取り組むことである。グローバル化に伴う社会変化に着目し、それに対応できる態勢を整えるための研究の継続が求められている」。
第38期宣教委員会は、左記の7つの申し送り事項を確認した。①キリスト教社会事業同盟、キリスト教保育所同盟との連携強化。②「障がい」を考える小委員会の継続。③「牧会者とその家族のための相談室」の設置。④幼稚園、保育園問題の課題(伝道協力)。⑤グローバル化時代の宣教態勢の研究。⑥「宣教方策会議」の開催。⑦「宣教方策」の取組みの開始。
最後に通訳奉仕をされた蔡恩慈氏に感謝の意を表し、黙祷をもって閉会した。(具志堅篤報)
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