3・11東日本大震災2周年記念礼拝式文
日本基督教団東日本大震災救援対策本部作成
◆式次第
まえがき
前奏
<神の招き>
招きの言葉
讃美:21‐127
<慰めと憐れみ・悔い改め>
連祷①:今も続く震災による痛みの慰めと、我らの憐れみのために
讃美:21‐30~35「キリエ」 or 21-130 ・132(詩42)
交読文:旧約より
連祷②:悔い改め
<神の言葉>
使徒信条
聖書:説教者選(事前にいくつか選んであってもよい)
讃美:21-58
説教・祈祷:(説教がない場合は長い黙祷でも可)
<感謝と信頼>
讃美:21-469 or 528
連祷③:被災者・被災教会・仕える者・それらを支える教会のために
献金:被災教会と被災者支援の業のために
連祷④:感謝と信頼の祈り
主の祈り
<派遣と行動>
連祷⑤:派遣と行動
讃美:頌栄 21-478 1.3.5節 or 21-419
祝祷:
後奏
<まえがき>
3.11の震災より2年がたとうとしています。私たちは、あの痛みの出来事を想い起こし、未だその中に在る方々、また原子力発電所の事故による分断と喪失の中に在る方々を覚え、その方々への必要な支援が与えられ、復興への歩みが一層早く強くされることを願います。そして、復興までその方々を社会にあって無関心・忘却へと決して追いやってはなりません。
主は私たちに、礼拝を通して救いの業を「記念すること」を教えて下さいました。私たちキリスト者は、み言葉を通して神の救いの業を心に抱き、希望を新たにし、今なお苦しんでいらっしゃる方々のために祈りたいと思います。そして、無関心を戒め、隣人への愛に生きるようにとの主の教えに誠実であるように導きを祈りたいと思います。
◆連祷①:今も続く震災による痛みの中にある方々の慰めと助けのために
A:主よ、お聞きください。
B:主よ、私たちの嘆きの祈りを、その憐れみをもってお聞きください。
A:主よ、私たちは2年前のあの時から、多くが変わってしまいました。
B:多くの命が失われ、未だ見つからぬ人も多くいます。未だ多くの人々が、その喪失の深淵から逃れられません。
A:多くの人々が住む場所を追われ、仮住まいの身になりました。
B:命ともいえる土地、あなたからの恵みである財産、誇りとした生業(なりわい)、豊かな隣人との関係、そのすべてを失いました。
A:多くの人々が、不安の中に在ります。
B:自らと家族の生活の未来、放射能による健康被害、続く余震、同様の自然の猛威、未だ、その怖れと不安から逃れる術(すべ)をもちません。
A:震災後、新たな絆(きずな)によって結ばれた私たち。
B:しかし私たちの社会には、そして被災地には、未だ様々な分断が存在します。復興の格差、保障の格差、震災への向き合い方、放射能・原発の考え方、経済の成長と弱者の救済、それらの違いによって、傷つくことがあります。
A:どうぞ主よ、貧しき我らの祈りをお聞きください。
B:愛の主平和の主よ、私たちを憐れんでください。その憐れみをもって、私たちを癒(いや)し正しき道へと導いてください。
C:主よ、どうかこの嘆きの祈りを、憐れみをもってお聞きください。
◆連祷②:悔い改め
A:主よ、お聞きください。
B:主よ、私たちの悔い改めの祈りを、その寛容をもってお聞きください。
A:あなたの御手にあるこの世界には、私たちの力ではどうにもならないことがある現実を、私たちは知っています。
B:しかし私たちは、あなたよりこの世界を委託された者として、その全ての被造物に対して誠実でなかったことを、ここに告白します。自然に対しても他者に対しても、自分たちの文明や武力・原子力などの力をもって制し、結果としてあなたに対して、愛と誠と謙虚さとを欠いていたことを告白しなければなりません。
A:私たちはあの災害を通して、今私たちが恐れる様々な問題の多くが、私たち自身から生じたものであることを知らされました。
B:その震災の以前より、私たちは他者と自然に対して、力に依り頼み傲慢であったこと、愛を欠き、分断と断絶の中にあったことを知らされました。
私たちはあなたに信頼しないで、自らが作り出したものにより頼み、偶像礼拝をもって大丈夫だと驕(おご)り高ぶっていたことを、痛みをもって悔い改めます。どうか憐れんでください。
C:主よ、この悔い改めを受け入れ、お赦しください。
◆連祷③:被災者・被災教会・仕える者・それらを支える教会のために
A:主よ、お聞きください。
B:主よ、私たちの御前での祈りを、慈しみをもってお聞きください。
A:心ならずもあなたの御許へと先立った、全ての犠牲者のことを想います。
B:どうか、あなたの御許(みもと)に在ってその安らかなることを祈ります。
A:未だ癒えることのない痛みと、数々の不自由さ・憤りと怒りの中に在る、全ての被災者のために祈ります。
B:どうか慈しみと愛のあなたが、その一人一人を探し出し抱き上げ、この日常の中を共に歩み続けてください。
A:会堂が傷つき、その枝である会員が痛んでいるあなたの体である教会のために、それに被災の地にあって仕える教区と教会ために祈ります。
B:どうか、その全ての癒(いや)しを乞い願います。その存在と働きとによって、その地域にあなたの慰めと癒(いや)しとが顕わされますように。
仙台・石巻・遠野の地に在って、復興の労苦にある人々に寄り添い続ける、教団・教区の被災者支援の人々のために祈ります。被災地と被災された方々、放射能とそれを取り巻く社会は日々変化し、その中で共に歩むことは、痛みを分かつとともに無力さと憤りとに向き合うことなのでしょう。どうか彼らとともに、あなたがいつも先立って進み、無力さを謙虚さへ、憤りを希望へと導いてください。その業が、御目に豊かに映りますように。
被災教会・被災者支援の業を支える、現地と全国・世界の教会のために祈ります。私たちが祈りと想いを尽くして、その業を支えてゆくことができますように。祈りと捧げものを通して、この業に直接的に関わることが許されますように。
主よ、どうかこの祈りを、慈しみをもってお聞きください。
◆連祷④:感謝と信頼
A:主よ、お聞きください。
B:主よ、私たちの感謝と信頼の祈りを、その御手を広げてお受けください。
この孤独と混乱、不安と絶望の社会の中に在って、私たちはあなたの言葉こそ唯一の導き手として慕い求めます。あなたの言葉は私たちを奮い立たせてくださいます。あきらめの中に再び立ち上がる力を与え、不安がいかに大きくとも、あなたに委(ゆだ)ねることで一歩ずつ歩むことができます。どうか、震災と放射能被害に対する私たちの癒しの業と日々の生活とが、あなたの守りのうちにより豊かにされてゆきますように。
今、あなたへの感謝と信頼の証しとして、捧げものをいたしました。どうか、私たちの祈りと捧げものとが、あなたの助けと導きによって被災教会と被災者支援の業を支えることができますように。祈りを共にすることによって、あなたにあって私たちが一つとされますように。
いつもいつまでもあなたが、被災の地とそこに住む人々、被災地に在る教会と支援者、散らされた寄留の民の上に慈しみと愛の御手でお守りください。
平和の主、イエス・キリストの御名によって祈ります。
◆連祷⑤:派遣と行動
A:主よ、お聞きください。
B:主よ、私たちの派遣と行動の祈りを、その御手をもって導いてください。
私たちは今、この礼拝を通してあなたから新たにされ、派遣されようとしています。
あなたのその強い御手に守られ、あなたの御言葉に導かれ、あなたに在って私たちは、もはや絶望を知りません。
教会と私たち一人一人が、自然と他者と、そしてあなたとの関係を回復する器として用いられますように。あきらめや怒り、立場や考えの違いによる裁きに身を任せることなく、柔和と忍耐とをもって他者と向き合うことができますように。
また、震災というこの大いなる痛みの出来事の前に、私たちの身近な隣人の痛みを忘れることなく敏感ならしめてください。
共に苦しみ共に喜ぶ教団の群れとして、痛みの中に在りその地に仕える被災教区・教会と支援センターとに繋がることで、私たちをも祝しその体を一つとさせてください。
ゲッセマネの主イエスが求められましたように、私たちがこの社会の中に在って目を覚ましていることができますように。どうか、震災より2年を迎えた我々を襲う、逃避と忘却の誘惑からお救いください。この社会に在ってあなたの教会こそが、他者の苦しみ痛みを日々思いやり、寄り添いを続け、希望を見出してゆく群れとされますように。
今、私たちはあなたによって新たにされ、不安とあきらめ、怒りと裁き、逃避と忘却を乗り越え、この社会に派遣されようとしています。私たち一人一人があなたの教会の枝として、日々祈りと讃美をもって、苦難の出来事と社会の混沌とに勝利するあなたを証しする者とさせてください。
私たちの派遣者、勝利の主イエス・キリストの御名によって祈ります。
◆祝祷:
東日本大震災から二年にあたり、痛みに癒しを、悲しみに慰めを、絶望に希望を、忘却に想起を主に祈ります。主イエスキリストの恵み、父なる神の御愛、聖霊の親しき御交わりとが、いつまでもあなた方とともにあるように。
アーメン