宣教研究所委員会
「協働」の実質化に向けて
9月22日にオンラインで第3回宣教研究所委員会が行われた。
まず『宣教の未来(以下『未来』)Ⅱ』の発刊について報告と反省があった。8月に諸教会に発送され、また店頭や教団事務局等で販売されている。教団における宣教を学術的水準で論じる同書に、意欲的な論文を数多く掲載できたことを、委員等関係者全員で喜んでいる。
現在、『未来Ⅲ』の刊行準備を進めており、基調論文並びに応答論文(計5編)の依頼を行った。体調等の問題で自力での完成が難しいと思われるケースへの対応について話し合った。状況を確認しての次回委員会開催となる。他に、締め切りを柔軟にする編集態勢へ切り替えることとする。
また、前総会期には発行しなかった「宣研だより」について、AIに関する展開が著しいことを受け、2名の委員が論じた文章を掲載したものを刊行する予定があり、仮レイアウトが示された。
他に本委員会がこれらの事業の主体となっているが、クレジットが「宣教研究所」か「同委員会」かが議論された。教規によれば本委員会とは別に研究所に所長を立てることになる。これは宣教研究所が(職業)研究者によって実質的に運営されていた時期以来の伝統であり、教規通りにするなら委員会としての活動が全てではないことになる。
前回委員会から話題になっている『信仰の手引き』品切れ対応について、単に再版するのではなく、「信仰問答」としての体裁を整えるという課題があるほか、ギリシア語(新約)聖書の書の順序が近く変更になるなど、宣教と教会を取り巻く環境の変化への対応が必要である。『未来』を継続的に発刊する態勢作りという課題と併せ、実務的な話し合いとは別に、懇談協議の場が必要になっている、という認識を共有した。
いずれも『未来Ⅲ』の主題である「協働」に関わっており、改めて委員会の使命の重さを思わされた。
(上田 彰報)
全国キリスト教学校人権教育セミナー
「今、わたしにできることを」を主題に
昨夏、全国高等学校野球選手権(いわゆる「夏の甲子園」)は熱戦の末、見事、京都国際高校が初優勝を飾った。いわゆる在日コリアンのための学校として始まったこの高校の初優勝に、心からの拍手を送ったものだ。ところが、世の中の反応は必ずしもそうではない。とくにネットでの反応は、いわゆるヘイトとも思えるようなひどいものもあった。その姿に日本の歴史教育の浅薄さを感じさせられるとともに、人権教育の大切さを思わされたものである。
第35回全国キリスト教学校人権教育セミナーが8月11日、12日両日、大阪、関西学院大学梅田キャンパスにて開催された。今回の主題は「今、わたしにできることを−いのち・平和・人権」であった。
開会礼拝後にもたれた主題講演は、認定NPO法人Homedoorを立ち上げた川口加奈さんによる「14歳でホームレス問題に出会って、19歳で起業して−誰もが何度でもやり直せる社会を目指して」であった。その活動は「ホームレスにならないですむこと」「ホームレス状態から脱出したければ脱出できること」を目指し「とりあえずあそこに行けばなんとかなる」ことが実現することを目指す働きであった。主題講演後、鳥井新平さんによる聖書研究を聞いて後、総会を行った。
総会ではいわゆる法定議案に加えて、多くの人権問題に声明を出すことが採択された。
二日目は5つの分科会であった。①「どうすればいきいきした人権学習の授業ができる?」、②「在日コリアン×女性−複合差別を生きる」、③「戦争を予防するマインドを創る−平和学ワークショップ」、④「ノンバイナリー・インクルーシヴな場所づくり−「女」「男」に当てはまらない人々の経験から」、⑤歩く分科会「部落差別をなくす食肉のまちづくりに学ぶ」。それぞれの課題を共有した。
(岸 憲秀報)






