社会事業奨励日メッセージ
「敬神愛人」の人づくり、社会づくり
今から68年前(1956年)、教団が発行した「基督教新報」の論説の中で、野本数男社会委員長は次のように述べている。「今年の十二月二日は社会事業奨励日である。我々はもっと社会事業に関心を持ち、社会事業者に話をする機会を作り、このために献金をし、又見学する等、その教会の事情に応じて実行して頂きたい。教区は教区内の社会事業の施設や実状等を各教会に知らせて連絡を計ってほしい。この方面に献身する人々が起こるよう祈り、協力し、又奨学金制度の活動を希望する」。
あれから68年経った今、教会との連携等、同様のお願いをしたい面もあれば、かなり変化した状況もあるのでお伝えしたい。
まず、「社会事業」という言葉について。この言葉を使った「社会事業法」は1938年に制定されたが、1951年には「社会福祉事業法」になり、2000年には「社会福祉法」に改名されたので、(概念としては通用するが)制度的には今は存在していない。
少子超高齢社会の到来に備えて、法律が次々に改定され、従来の「生活困窮者のための社会事業」は、「(高齢化する)全ての人のための福祉」に位置付けられたのである。
かつて、信仰(祈り)がなければ続けられなかった困難な社会事業は、今では、行政主導の福祉となり、内容の均一化や質の向上、専門性志向が進み、多様な業者が競い合う事業へと進展。いわば、神なしの隣人愛の実践が広範囲に広がっているとも言えよう。
キリスト教精神に立つ社会福祉事業関係者は、そうでない人々の善き働きに敬意を払うとともに、自分たちの働きの源はイエスであり、いつもイエスに立ち返りイエスに導かれながら、「敬神愛人」の人づくり、社会づくりに励みたいと願っている。働き人の確保や育成等、多くの課題に囲まれているが、聖霊の助けを頂いて前進していけるよう、「共生社会形成」という使命を果たしていけるよう、ご加祷をお願いしたい。
2024年12月1日
社会福祉法人牧ノ原やまばと学園 理事長 長澤道子