2024年秋季教師検定試験 補教師9名、正教師33名、他2名
保留が多く、厳しい結果に
9月17日から19日まで、大阪クリスチャンセンターを会場に、2024年度秋季教師検定試験が行われた。秋季は正教師試験の受験者が多い回であり、今回の受験者数は、補教師試験9名、正教師試験33名、他に、補教師復帰試験1名、正教師転入試験1名であった。昨年度の秋季教師検定試験(補教師9名、正教師34名)とほぼ同規模であった。
開会礼拝は「主よ終わりまで」(『讃美歌21』510番)の前奏で開始され、「すべての人に」(『讃美歌21』405番)を歌って主なる神を賛美した。説教は川島直道委員が担当。ヨハネによる福音書1章43〜46節から、これは弟子の召命の記事の一つであるが、「誰かが主イエスのところに連れてくることで弟子としての歩みが始まる。主との『接点』がある者がいることで、人は主のもとに行くことができる。私たちは、主との小さな『接点』となるように召されている」と語った。人々を主イエスのもとにお連れするために主に仕える者となるという召命と献身が強く意識された検定試験となった。
事前に旧約及び新約の説教・釈義と組織神学論文、神学論文が提出されており、会場では、一日目に筆記試験、二日目・三日目に面接試験が行われた。
事前提出物の内、説教ではテキストそのものから語るよりも自分の言いたいことを語っているものが見受けられ、釈義では、語句に丁寧に当たっていないものや一つか二つの注解書のみを浅く取り扱うだけのものが多く見られた。組織神学論文でも参考文献が少なく、独りよがりの主張になってしまっているものが目についた。日本語の文献しか読めなくても、できる限り多くの注解書に当たってテキストに迫ろうという誠実さを身に着けてほしい。
筆記試験では、教憲教規においても旧・新約聖書神学においても、教団の教師への召命が不明瞭なために教憲の相応しい条項が挙げられていなかったり、適切な聖書箇所が挙げられていなかったりする答案が目立った。また、特に教会史では理解が不足しているために設問の意味を捉えていなかったり必要な語句を用いることができなかったりする答案が見受けられた。
面接試験は、教団の教師への召命と献身を問うことを重視して行われた。言葉が整っていなくても教団の教師となる召命が明確な受験者もいれば、教師試験を単なる資格取得のごとく捉えてしまっている者もいた。面接の中で、合否あるいはレポートを課す保留であるかが受験者に告げられる。面接前の全体会において、合格であっても正式には教団総会で決定されるので、受験者には、正式な決定までは教会の週報等で公にすることは控えるようにとの注意が喚起された。また不合格の場合も、どのような形で主に仕えるかを確認するための時かもしれない等と、各自で結果を誠実に受け止めてほしいと勧められた。
全体として、さらなるレポートを課す保留が多く、厳しい結果となった。忙しい中とは思うが、受験者には検定試験に向けてより誠実に準備することを望むとともに、各教会においても祈りと配慮をもって受験者を送り出すよう心がけてほしい。(春原禎光報)
講評
教師検定試験に臨むたびに神がこの時代に日本基督教団という教会を憐れみ、今なお、み言葉を宣べ伝える者を興してくださるのだと胸を熱くする。今回も多くの受験者が与えられたことをまず感謝したい。
一方で試験の結果は残念ながら芳しくなかった。試験の結果から見るに、課された課題の一つ一つが日本基督教団の教師として召されていること、その召しに応える業として受験者の中で結びついていないように見受けられる。
日本基督教団の教師としての召命を問われるのは面接試験だけではない。どの科目も、教団が主の教会として健やかに伝道していくために神が必要とされたのである。その召しに応えるのは受験者一人の業ではない。背後に多くの祈りがあることを覚え備えてほしい。
第42総会期 教師検定委員会 委員長 清藤 淳
2024年秋季・正教師検定試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法(60分)
次の2題について答えてください。
1.教憲は、教団の信仰告白をどのように定めているか、記してください。その上で、教団信仰告白とはどのようなものであるかを説明してください。
2.宗教法人格をもつ二つの教会が合併する場合、教憲・教規と宗教法人法に基づく手続きを、条文を挙げて述べてください。
旧約聖書神学(60分)
次の2題に答えてください。
1.エレミヤ書の「新しい契約」について論じてください。
2.旧約聖書におけるシャローム概念について、聖書箇所を2つ挙げて論じてください。
新約聖書神学(60分)
次の2題に答えてください。
1.パウロの復活理解について、聖書箇所を挙げて論じてください。
2.主の晩餐について、聖書箇所を挙げて論じてください。
教会史(60 分)
以下の3題から2題を選び、語句群の言葉を用いつつ論述してください。語句群は記述の際に、下線を引いて使用してください。
1.ニカイア公会議について述べてください。
語句群 コンスタンティヌス、アレイオス論争、アレクサンドロス、アタナシウス、エウセビオス
2.「ジョン・ウェスレーとメソジスト運動」について述べてください。
語句群 新世界への宣教、モラヴィア派、ジョージ・ホイットフィールド、独立戦争、フランシス・アズベリー、英国国教会
3.「第二ヴァチカン公会議」を説明し、キリスト教的意義について述べてください。
語句群 ヨハネス23世、「アジョルメント(時代への適応)」、パウルス6世、「教会と現代世界の間の架け橋を築こう」、「現代世界憲章」