召命を問い、不足を自覚する場として
2022年春季教師検定試験は2月8日よりレポート提出による学科試験、2月23・24日にズームを用いてのオンライン面接試験として実施された。未だ感染拡大が危惧されるコロナ禍にあって4回目のオンラインでの試験となった。オンラインでの面接試験は過去3回は全体会と面接のみで実施されたが、今回は全体で礼拝を捧げた。受験者も検定委員も共に神のみ言葉の前にひれ伏し、改めて教師検定試験が主の教会の業として行われていることを確認するときとされた。
春の教師検定試験は神学校を卒業し、全国の教会へと派遣されていく補教師が中心となる。補教師検定試験受験者はCコース継続者を含め39名、正教師試験受験者が6名、教師転入審査受験者が1名であった。それぞれの受験者が祈りをもって試験に臨んできたことが、提出された答案および面接での受け答えにもよく表れていた。
教師検定試験は献身と召命を問い、また教会に仕えていくのに必要な神学的素養を確認する場である。試験に合格することもさることながら、自分の不足を自覚し今後の課題とすることが求められる。今回は補教師中心ということもあるが、提出試験の旧約・新約いずれの説教も語りかける会衆や教会の姿が見えないものが多かった。まだ教師として教会に仕えておらずとも、これまで教会生活を送ってきたはずである。そうした教会の交わりのなかで説教者自身が、聖書のみ言葉に聞き、その恵みと喜びを分かち合うような説教が求められる。今回の課題となった聖書の箇所は、いずれも説教者自身の実存を問われる箇所であった。しかしながら試験であることを意識したのだろうか、注解書に基づいた聖書の解説に終始し、黙想が深められていないものも少なくなかった。
学科試験科目では特に「教憲教規・宗教法人法」において、主の主権のもとにある教会法と世俗法としての宗教法人法の区別がつかない受験者が大変多かった。キリストの権能から教会法を理解するという観点が乏しいのである。また「旧約聖書神学」では、罪理解が不十分であることを多くの受験者が指摘された。罪そのものが不明瞭であるために、罪の赦しを論じることが不十分な解答が少なくなかった。贖罪信仰とつながる重要な課題として、十分意識してもらいたい。
面接試験では、伝道者として主のために仕えていきたいという言葉がそれぞれに聞けたのは心強い。しかし教会に仕えていきたいと述べつつも、特に公同教会の理解が曖昧な受験者が多い。信仰告白、教憲・教規、説教・聖礼典などが公同教会との結びつきにあることが身につくよう期待したい。教会を愛し仕えていくことと、受験した一つ一つの科目が不可分であることを受け止め、派遣される伝道地での活躍を祈るものである。
教師検定試験と合わせてCコース受験志願者の認定面接が行われた。残念ながら召命、献身がはっきりしないまま面接を受けられた方もある。教師試験は在宅で取得できる資格試験などではない。教師を志すことは、その身を主のために、日本基督教団という教会のために献げる業であることを明確にしつつ志願されることを願う。
教師検定試験終了後、第17回教師検定委員会を開催した。今回の教師検定試験の合否確定を含む振り返りを行い、2022年秋季教師検定試験の予定の確認、各委員の担当確認、提出試験の課題の確定などを行った。(清藤 淳報)
講評
今季の教師検定試験も、新型コロナウイルス感染症拡大のため、学科試験はレポート、面接試験はオンラインで行われた。このような形の試験は今回で4回目だが、課題点もある。レポートに書かれた神学的内容が真実に身に着いているかどうか。オンラインの面接試験で、どこまで召命を問うことができたのか。
春季は神学校卒業予定者が受験されたが、例年に比べ受験者の人数が減少している。しかし、困難な時代の中で、一人一人を召してくださった主の御業に触れることができ、畏れと感謝に満ちた。教師検定試験は主の御前で、召命を問う試験である。学科試験と面接試験を通して示された課題と向き合い、主の召しに応えて、主に遣わされた場所で伝道者として喜んで伝道に励んでほしいと願っている。背後に教会、神学校の祈りがあることをいつも心に留めてほしい。
第41総会期 教師検定委員長 井ノ川 勝
2022年春季(レポート試験)・補教師試験問題
教憲教規および諸規則・宗教法人法
次の2題に答えてください。(両方で1000字程度)
1.教憲・教規に規定されている役員会の権能と責務について述べてください。
2.宗教法人法上の責任役員の職務と権限について、教憲・教規における役員との違いに留意しながら述べてください。
旧約聖書神学
次の2題を、旧約聖書の聖書箇所をいくつか挙げつつ、それぞれ1500字程度で神学的に論じてください。
1.旧約における罪と、罪の赦しについて述べてください。
2.ヒゼキヤ王とヨシヤ王の宗教改革の類似点と相違点を挙げ、ヨシヤ王の宗教改革を神学的に考察してください。
新約聖書神学
次の2題を、新約聖書の聖書箇所をいくつか挙げつつ、それぞれ1500字程度で神学的に論じてください。
1.マルコ福音書における「神の子」理解について述べてください。
2.新約聖書における「教会」の理解を、主にパウロ書簡を踏まえて述べてください。