特殊な歴史的事情、再按手はさけるべき
第4回信仰職制委員会が、2月18・19日に全委員と秋山徹総幹事、道家紀一担当幹事、担当職員の出席のもと教団会議室にて開催された。
当委員会が常議員会に求めていた阿部洋治教師の按手について、第6回常議員会にて「常議員会として何らかの判断をすること」が適当でないという結論が出された。それを受け、協議の結果、次の通り答申することを承認した。
《諮問》
関東教区常置委員会、および関東教区総会議長東野尚志より
1.教規124条①に「正教師とは、正教師検定試験に合格し、教区総会の議決を経て、按手礼を領したものとする」と規定されています。そこで改めて確認したいのは、このたびの阿部教師の正教師検定試験合格とは、上記教規124条①に言う「正教師とは、正教師検定試験に合格し」までの状態を満たしたものとして解してよろしいでしょうか。
2.上記の理解が正しいとすると、阿部教師を正教師として登録するためには、教規124条の「教区総会の議決を経て按手礼を領する」ことが必要となりますが、その場合の「教区総会の議決」とは、同教師が1979年5月29日に福音主義教会連合で受けた「按手」を関東教区総会が正式な按手として認めるという議決でも可能なのでしょうか。
それとも、教団信仰職制委員会「教憲教規の解釈に関する答申集」76(1983年9月1日12日付けの答申「『福音主義教会連合』の按手礼は、教憲教規による正規の手続を経てなされたものではない」)に従い、たとえ関東教区総会が当該「按手」を認めたとしてもそれは上記答申76の答申に反したものとして無効でしょうか。
《答申》
1.について
満たしています。
2.について
可能です。
ただし「教憲教規の解釈に関する答申集」76で指摘されている通り、福音主義教会連合の教師検定試験は教規による正規の手続きを経たものではなく、福音主義教会連合が按手礼を執行したことは教規違反にあたります。しかし、当時の教団の教師検定試験は、「さまざまな立場の切り捨てがおこらないような方法で」という基準を含むいわゆる二重基準によって行われており、「教団信仰告白」が基準であることが明確にされておらず、このことは教憲違反に問われる可能性があります。なお、2002年に「信仰告白を基準として教師検定試験を行う」との常議員会決議がなされたことに伴い、この状態は解消されていますが、この間に福音主義教会連合によって行われた教師検定試験、按手礼は、このような教規違反、教憲違反が混在する特殊な歴史的事情のもとでなされたものであることを認識すべきです。
阿部教師は、2018年秋季正教師検定試験を受験し合格して、教団の正教師検定合格者として第41回教団総会においてすでに承認されているので、正規の手続きを経ていると認められます。ゆえに、当該教区で教区総会の議決を経て按手礼を領することができます。しかし、按手は聖礼典ではありませんが、聖霊のご支配による聖なる出来事として重んじられるべきであり、再按手はさけるべきと理解します。
当該教師は1979年に福音主義教会連合で按手を受けており、その按手礼は教団信仰告白のもとで行われたこと、教団教憲教規に従う誓約がなされたことについては、当委員会でも確認しました。ただし、これをもって教団の正式な按手とするには、「教規違反、教憲違反が混在する特殊な歴史的事情」を直視し、悔い改め、二度とそのような混乱状態を生じさせないという強い決意が必要です。(田村 博報)