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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4917・18号】社会事業奨励日メッセージ

2019年12月21日

 この夏は、2年ぶりに訪れたアウグスブルク(ドイツ)で、前回果たせなかったフッガーライ訪問を叶えることができた。

 フッガーライは1521年にアウグスブルクの豪商ヤコブ・フッガーが資金を提供し生活に困っている貧しい市民のために建設された。当時52軒、第二次世界大戦当時の被災後なお再建され、67軒の棟に現在140のアパート、150名の入居者が生活している。世界最古の社会住宅として知られ、当時も今も年間家賃1ライン・グルテン(現在の0・88ユーロ)のままで入居できる。モーツアルトの曾おじいさんが住んでいたことでも知られている。500年前とはまさに宗教改革の当時だが、フッガー家は自己の財的拡張にのみ拘泥するのではなく、きちんと社会に還元することを果たしていた。その姿勢は戦後も崩されることはなかった。入居者は高齢者が多いが、人に優しく配慮された設備が当時のコンセプトのまま現在も用いられている。

 わが国の国法に定められている社会福祉の根拠(憲法第25条)あるいは『福祉六法』(老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法)に基づき、現在実に多くの社会福祉事業団体が活動しているが、これらを支える社会の仕組みや行政の基盤の脆弱さゆえ、多くの問題をも抱えている。私どもはこうした世の中にあって、これらの団体の働きを覚えつつも、そこにキリストへの信仰にある祈りと願いがますます重要であることを思う。

 今年も12月第1主日の「キリスト教社会事業を覚えて祈る日」を迎えようとしている。教育・医療・福祉などさまざまな分野におけるキリスト教社会事業のこれまでの社会貢献に感謝をするとともに、これからの時代に、さらに「心」を込めた務めが大切であることを世に知らせる重要な働きを多くの人々に分かち、なおいっそうの手本となって示し続けていただきたいと願っている。キリスト教社会事業に関わるすべての方々の働きに共に祈りを合わせていきたい。

2019年12月1日

第41総会期日本基督教団

社会委員会委員長

森下 耕

教団新報
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