▼一昨年だったか、「おもてなし」がブームだった頃に、ふと気付いた。「表なしか、裏ばっかりだ」。勿論、お「もてなし」だから、「裏ばかり」は間違いだが、一端そう考えたら、「おもてなし」がうさんくさく感じられて仕方がなかった。観光とか商売上の「おもてなし」は、実際、裏ばっかりかも知れない。▼「裏表がない」とは、理屈から言ったら、表裏が全く同じ、究極のリバーシブルのことか。全く同じでは、そもそもリバーシブルの意味がない。まん丸の球体ならば、表裏も、上下も、左右も、何もない、だが中心と周辺は残る。いっそ何もなければ、表裏もない。「裏表がない」とは、中身がないことか。▼しっかりと「裏付けを取る」という言い回しも、この頃の流行だ。初動捜査が甘いために冤罪が起こると、指摘される。▼贅沢禁止令が出た江戸時代には、裏地や下着に凝ることが、最高のおしゃれだったと聞く。▼昔、日本海側は、裏日本と言われた。差別的だとして使われなくなったが、裏日本が元気にならなければ、日本経済の再生はないとも言われる。多分教団も。▼ところで、日本海側にこそ、「おもてなし」が行き届く、そういう人情が残っている。