▼乗車率150%、立錐の余地がないとまでは言えないが、相当に混んでいる電車、優先席の前。80歳に近いと見える婦人が、乗り込んで来た。リュックを背負い、左手には大きなバック、右手にはビニール袋2つ。空席は勿論ない。左右合わせれば、若い女性が3人座っていたが、誰も席を譲ろうとはしない。▼「どなたか席を譲っていただけませんか」と声をかけようと思うが、その声が出ない。出掛かったものを何度も飲み込んでしまった。過去の似たような経験が邪魔をする。催促された人は反発するだろう。素直に応ずるような人は、群衆の前で指摘されて、傷つくかも知れない。露骨に歯をむいて噛み付いて来る人もあるだろう。ほぼ確実に周囲にいる全ての人が、不愉快な思いをする。▼老婦人は身長140無いかも知れない。ふと、ジブリのアニメに準主役級で登場するお婆さんキャラを連想した。彼女なら「席を替わってもらう程年寄りじゃないよ」と啖呵を切るかも知れない。▼乗り換えた電車、やはり優先席前、若い女性が、携帯電話でメール中、ゲーム中、一人は何と会話中。▼若い人にだって、それぞれ事情も背景もあるだろう。疲れてもいるだろう。しかし電車の中では電車のルールを守らなくては、切符があっても電車に乗る資格はない。