安全保障関連法可決に関する議長声明
「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」
(新約聖書 マタイによる福音書5章9節)
去る9月19日、参院本会議において安全保障関連法案が可決されました。この安全保障関連法は立憲主義に反するものであることを深く憂い、抗議すると共に、政府に対して、同法を廃し、憲法の理念に基づく政治に立ち戻ることを強く求めます。
そもそも、この安全保障関連法にはあまりにも多くの問題があります。何よりも同法は憲法に違反しております。そして、これまで戦後70年もの間認めてこなかった集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、自衛隊が他国の戦争に駆り出され得る道を開いてしまいました。
また、国民の多くが同法の成立に反対していたにも関わらず、国民の声や意志を無視して、国会において同法を可決してしまいました。国民の声の高まりは、国会における安全保障関連法案に関する政府の説明が不十分であると共に、その説明内容について国民の理解と同意が得られていないことを表しています。
それゆえ、今この時、安倍晋三首相をはじめとする政治の責任を担っておられる方たちが、この世界における真実の平和の実現にこそ寄与する政治を行うことを強く求めます。また、この度の安全保障関連法が廃止されるために、今後も祈り続け、声を上げてまいります。そして、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」(憲法第9条)、武力の行使によらない平和の実現のために力を尽くします。
また、これからも、アジア・太平洋戦争においてアジア近隣諸国に対して多大な苦しみを与えたことを心からお詫びしつつ、70年前の敗戦とそれに関わる苦難の歴史を決して忘れることなく、聖書の言葉に聞き従って、「平和を実現する」キリスト者としての歩みを続けます。
世界のすべての人々の上に、平和の主イエス・キリストの恵みと導きを祈ります。
2015年10月20日
日本基督教団 総会議長 石 橋 秀 雄