一九六七年に佐古純一郎氏に替わって高見澤潤子氏が編集委員長となり、また石井錦一牧師が一九七二年から原田洋一氏に替わって編集長を務めた。教団紛争が渦巻く時代であったが、高見澤・石井時代は、編集委員たちの協力も得て教団内で様々な立場が林立する中で教団政治に直接関わることはできるだけ避け、信徒の信仰生活にもっぱら焦点を当てて霊性が養われるようにとの使命を自覚し編集されてきたと言えよう。その特集テーマを拾いあげてみてもこの傾向を確認することができる。
『信徒の友』の歴史はよき執筆者によって支えられてきた歩みであることを痛感する。三浦綾子氏の『塩狩峠』をはじめ、辻宣道氏による『教会生活の処方箋』、石井錦一氏の巻頭の祈りをまとめた『祈れない日のために』等誌上連載から単行本にまとめられたものも多数挙げることができる。連載がそれぞれの教会で話題になり、それだけ信徒の信仰生活に深く関わっている月刊誌となっていることがうかがえる。
特集テーマの選定もこれまで重要視されてきた。一方に教会暦などをふまえ教会生活の基本に立つことを据え、また他方マンネリ化しないように様々な展開が工夫されてきた。編集する側から一方的に読者に伝えるのではなく、いかにして読者の信仰生活に密着できるかが課題とされ、そこから信徒の生の信仰生活からの証しが大事な展開として採り上げられてきている。
一九九五年石井錦一編集長に替わって大宮溥氏が編集長に就任、同じく高見澤潤子氏に替わって小中陽太郎氏が編集委員長となった。この時代、より広い視点に立ち、総合雑誌的な性格をもつことが今まで以上に検討されていった時期となる。
今日一般的に書籍離れの傾向が指摘されている中で『信徒の友』の中心読者層は調査によると五十代以上の女性の信徒である。高齢化の現実が及んでいる中でいかに次世代の定期購読者を維持するかが課題となっている。
本誌が諸教会とのつながりを大切にしてきた点から言うと写真入りで掲載している「ここに教会がある」を挙げることができる。他の特集は変遷があるが、このコーナーはもっとも長く続けられ好評を得ている。一七〇〇を越える教団諸教会等の中で取材した教会はまだ半数ほど、今後もこれは継続される。
これからも本誌が諸教会の信徒に愛読され、それぞれの教会がキリストの体として成長し、信仰生活が豊かなものとされるよう願っている。また『信徒の友』に結集されたそれぞれの信仰に裏打ちされた力が、さらに日本の社会に広くキリスト教文化を造り上げていくことに貢献できるよう願っている。
(『信徒の友』編集長 古屋治雄)