白壁の土蔵を連想させる、倉敷教会の瀟洒な礼拝堂を会場に、五月二一~二二日、第56回東中国教区定期総会が開催された。明治・大正のロマン薫る「美観地区」もほど近い。
開会時で正議員九七名中六八名が出席した。
宇野稔教区議長は、議長報告で、「教区この一年」を振り返り、特に「教区交換講壇」の実施を上げ、「教会相互、信徒相互の顔の見える関係」づくりを強調し、この三年間は教職のみであった「礼拝交流」を、「信徒が参加することで成果が高められる」と提唱した。
この日の夕食時には、新任教職を迎えての交流会が持たれたが、そこでも、宇野議長の六年間、当初二年は毎週葉書で、後にはB5版で隔週に、各教会への通信が発行されたことに感謝が述べられるなど、四八教会伝道所の「顔の見える関係」構築の努力が偲ばれた。
議長報告ではまた、三三教会一八五名の参加があった「教区の集い」、目標には届かなかった「教会強化献金」と「伝道を考える」が特に項目に上げられた。
一方、「日本基督教団の中での教区としての課題に関して」では、強い調子で教団執行部を批判し、東中国教区は「(沖縄教区との)関係回復を視野に入れながら働きを続けています」とした。
また、別項目で教団総会に言及し、教団議長挨拶中の「荒野の40年」という表現を「一方的な総括の仕方で大変乱暴きわまりない」とし、「たとえ大きな成果はなかったとしても、汗水流して伝道のために働いて来た小さな教会を軽視する言葉だ」と批判した。
更に、39号議案以下が時間切れ廃案になったことについても、議事運営への不満・不信が述べられた。
この問題は、小林眞教団副議長による問安使挨拶でも、複数の議員から指摘されたが、小林問安使は、教団総会の経緯を説明し、また教団議長挨拶についても、事柄の背景を述べた。これに関連して、「体力の落ちた現実では、教会固有の問題に意を注ぐべき、伝道こそ教会の使命」とする立場と、「差別問題等の宣教課題に取り組むことこそ教会の存在理由」との立場とに別れ、いろいろな議事の中で繰り返し議論された。
二日目午前、八束潤一牧師(米子教会)を講師に「教区互助を考える」講演会が持たれたことは特筆すべき。副題は、『あなた方の手でやりなさい』。八束氏は、四国教区での体験を踏まえて、互助制度の歴史、現況、課題を丁寧に語った。特に、互助は単に持てる者の持たざる者への援助ではなく、「第一義的には…教会強化と宣教力強化のための祈りの運動」であるとし、教職間の互助ではなく、信徒による教会間の伝道協力であることを強調した。
常置委員会提案の「国に改憲手続き法(国民投票法)の廃案を求める件」は、五月十四日既に法案が参議院を通過したことを受け、若干の文言を修正の上、アピール扱いとなった。ここでも、教会と平和の問題を巡り、教会固有の課題は何かという議論があった。
三役の選挙では、議長に「宇野議長の方針を踏襲したい」と候補の弁を語った宮﨑達雄氏(倉敷教会)が、副議長には宮川経宣氏(岡山信愛)、書記には指方信平氏が選出された。
教区常置委員選挙結果
【教職】卜部泰之(倉敷水島)、宇野稔(岡山)、八束潤一(米子)、川崎善三(米子錦町)
【信徒】土井しのぶ(高梁)、
牧野卓哉(倉吉)、難波幸矢(光明園家族)
(教団新報編集部報)