【4958号】新型コロナウイルス 感染拡大の渦中で 大学で仕える教師の声に聞く

吉松 純 《金城学院大学 宗教主事》

コロナ禍にあるチャレンジと祝福−キリスト教主義学校の存在意義

教育機関の多くがそうであったように、金城学院大学も昨年、新学期を通常通り迎えることができませんでした。ゴールデンウィーク明けに試験的に遠隔授業を始め、6月に本格的に遠隔授業を開始しました。これで授業の体裁は整いましたが、金城の誇りは、何と言っても週5日、毎朝8時45分から9時に行っている礼拝です。木曜日には昼礼拝もあります。学生、教職員と近隣牧師方の協力で守ってきた礼拝をどうするか。私たちは話し合い、動画配信をすることにしました。

5月は無人のチャペルで説教をして動画を製作し、試験的に学生と教職員に配信しました。これは思ったよりも難しいことでした。通常、チャペルで説教をしますと、熱心に耳を傾ける学生もあれば、あくびをする者、居眠りする者などが一目瞭然で分かります。しかし誰もいないチャペルでは、説教を通して御言葉が届いているのか、いないのか分かりません。しかし礼拝の灯を消してはいけない、との思いを抱いています。

6月からは出勤している職員と、実験、実習などで登校している学生にマスク着で対面礼拝を実施しました。通常の10分の1程度の人数でしたが、対人での礼拝の喜びはひとしおでした。一方、礼拝の動画配信も続けましたが、一つ問題が起こりました。例年、キリスト教学の授業の一環として1年生は前・後期15回ずつの礼拝出席を必須にしています。しかし動画配信では回数が分かりません。そこで私たちには負担になりましたが、礼拝動画視聴を前期7回以上、後期10回以上としてレポートを課しました。大学のオンライン掲示板に掲載された何百というレポートを読むのはかなりの作業でしたが、幸い(?)その多くは説教の概要をサラっと書いたものでした。しかし中にはしっかりと御言葉を受け止め、深く考えて応答しているものもあり、それらは私にとって大きな喜びとなりました。

礼拝動画の配信は宗教主事だけでなく、編集を担当したキリスト教センターの職員にもかなりの負担でしたが、昨年度は最後まで継続し、今年度も緊急事態宣言発出中は配信を再開しました。少しでも御言葉を学生と教職員に届けたいという願いからです。

さて、キリスト教主義学校の存在意義はどこにあるでしょうか。勿論、高等教育機関である以上、アカデミックに優れた学び舎であるべきことは言うまでもありません。でもそれだけだったら他の大学と何ら変わりません。では何でしょうか。言うまでもなくキリスト教の信条、教育理念を持ち、間接的また直接的に御言葉を宣べ伝えることです。それなくして何のキリスト教主義でしょう。「御言葉を宣べ伝えなさい。折が良くても悪くても励みなさい…」(二テモテ4・2)。

私はアメリカで四半世紀に渡り牧会し多くの困難や喜びを経験しましたが、金城でも日々新たなチャレンジと祝福を受けています。

五十嵐成見 《聖学院大学 チャプレン》

伝道への柔軟さが問われている

2020年4月、入学式が取りやめとなり講義自体もゴールデンウイーク明けまで休止を余儀なくされた。5月よりオンライン学習支援サイトを全面的に利用した講義が始まり、暗中模索の船出となると共に、寝不足の日々が続いた。

チャプレン会は、礼拝は何としても毎日行い続けることが重要との見解で一致し、「聖学院キリスト教センターフェイスブックページ」を立ち上げ、説教者を映す動画礼拝と文書礼拝(説教をスクロールで流す形式)を発信する方法を採用した。キリスト教音楽会、キリスト教講演会、クリスマスツリー点火祭も全てフェイスブックページを通して配信することとなった。

結果として通常の対面礼拝では40〜50名の出席であるが、1000回を超える再生回を数える礼拝もあるなど、オンラインによるインフルエンスを予期させることとなっている。2021年度は、対面とオンラインのハイフレックス形式を採用しているが、オンラインは常時300回ほどの再生数であり、関心の高さが伺える。率直に言って意外な結果だった。アーカイブスとしても機能しており、気になった礼拝を繰り返し視聴することが可能となっている。

一方で、福音の伝達という形としてのオンラインの効能はあるものの、礼拝のプレゼンスとしてはチャペルでの対面にはやはり敵わない。オルガンやピアノの響き、説教者の表情や仕草、チャペル前方に掲げられた十字架を仰ぐことなど、チャペルに来なくては感じ取ることのできないエートスが、信仰の育みの大事な側面となっていることに気づかされる。また諸教会の礼拝を体験する教会出席レポートも休止を余儀なくされている。

学生のサークル活動も、コロナウイルスは甚大な影響を及ぼしている。通常の勧誘ができないため、サークルの加入者が減って後継者不足に陥り、休止へと追い込まれるサークルが出てきている。

そんな中にあってクリスチャンサークルSCF(Seigakuin Christian Fellowship)は希望のともし火だ。ライン、ツイッター、インスタグラム等の様々なSNSを活用して宣伝を行い、今年度は細心の注意を払い感染対策を行った上、顧問が常駐する形(感染対策指導役)で聖書研究を行い、常時20人近くの学生が集う。しかもノンクリスチャンも多く集っている。伝道の停滞があってはならないと志すクリスチャン学生の祈りと実行力の賜物であり、積極的にツールを活用して着実な活動を展開している。恒例の合宿は今夏もオンラインで行った。対面のリアルな関わり合いには敵わないが、参加する学生の表情は明るく、一緒に参加して励まされた。

結果として、私たちチャプレンは、コロナ禍を通して学生から多くを学ばされている。学生たちの柔軟な姿勢は、現状維持の対応に留まる教会の伝道のあり方に、重要な一石を投じているように思われる。

小﨑 眞 《同志社女子大学 宗教部長》

つながる−予測できない未来を見つめて

2019年度末より続く感染症(COVID−19)拡大の猛威に襲われ、様々な苦境へ対峙しつつ新しい学修を模索する時を強いられた。中止・延期等の対応を余儀なくされたプログラムも多々あったが、学内外の方に支え祈られ、地道な歩みを継続できたことは感謝に堪えない。タイトルに掲げたものは、学内会議で議論を重ね決定した「2021年度宗教部年間テーマ」である。

昨年度春学期、遠隔授業実施に伴い、授業期間中(5日×15週)、毎朝10時30分にネット礼拝を配信した。初挑戦ゆえの苦労もあったが、学外講師をはじめ宗教部スタッフの献身的なサポートに支えられ、多種多様な礼拝(文字原稿提示、賛美の提供、録画・録音配信、ライブ配信等)を滞りなく実施した。「春の宗教教育強調週間」の代替案として「新入生歓迎礼拝」を設定し、厳しい現実を強いられている新入生に向けた励ましのメッセージを届けた。目に見えないが確実に存在する「つながり」の実感を願い、配信を継続した結果、春学期には延べ4万2000回弱の視聴があった。さらに、「パイプオルガン企画」など、コロナ禍ゆえにこそ与えられた掛け替えのない宝があった。

1年半以上にわたる不安と不自由の現実の只中で、多くの気づきや学びがあった。いわゆる「web」システムを用い、物理的隔たりを越えて相互に繋がる喜びを分かち合うこともできた。倫理学者、心理学者のC・ギリガンは女性の具体的な語り(異なる声)の中に、「他者のニーズへの敏感さ」や「ケアに対する責任の引き受け」を読み解き、自らの中に他者の視点を含む「web」関係の意義を明示した。「web=クモの巣」は、弱々しいクモの糸の「つながり」の只中に敏感に共振・共感する有機的応答性、さらに縦横無尽な広がりと世代や時間を越えた拡散を創出する。その関わりは伝統的な正義や権利・義務への同化を前提とした階層的秩序の維持とは異なる視座を提示する(Carol Gill-igan『もうひとつの声』参照)。

同志社の創立者新島襄は「都合の良い合理性」に抗い、同志社を退学させられた「都合の悪い」学生たちに思いを馳せ「人一人ハ大切ナリ」と語った。同調圧力による結束や人間の思いに縛られた団結に対抗し、生命の個別性に敬意を払い続けた。さらに新島は「スピリチャル ・ユニオン」との新たな「つながり」の創出を願った。

分断と対立が加速化する時代状況にあって、既存の価値観から解放され、主にある新たな「つながり(ユニオン)」へ招かれたい。異なる他者との出会いによってこそ、人は想定外の力を与えられるのかもしれない。合目的化されない「弱いつながり=web関係」の只中で、想定外の他者の声に呼び出され、新たな世界に希望を紡ぐ者でありたい。

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