【4582号】伝道のともしび

地方伝道の喜び

室戸教会牧師 土肥 聡

室戸教会は、雄大な海、真っ青の空という恵まれた自然の中に立っている。室戸と言えば、すぐに台風が連想される。昨年には台風の高波により堤防が破壊されて、尊い命が奪われた災害が起こった。しかし、自然の厳しさだけでなく、教会を取り巻いている状況もますます厳しさを増している。合併話が出てこないほど町は疲弊しきっている。一言で言えばお先真っ暗。
その町にある教会の伝道の困難も数えると切りがない。教会の戸を叩いて訪ねてくる人は滅多にいないし、若者もいない。しかし、教会は五五年間室戸の地にしっかりと立ち続けてきた。多くの祈りと献身、伝道の労苦がなければ、とっくに教会は消えていたにちがいない。また、この小さい群れが今まで導かれるために、周りから暖かい支えの手が添えられてきた。四国教区の互助による謝儀援助を二一年に亘って受けることによって、牧師が腰を据えて伝道に専念することができた。それに加え、香長伝道圏という教会の交わりがあった。高知県東部から徳島県南部に点在する一二教会が協力しながら伝道を進めている。そこから経済的な支援を含めて具体的に支えられてきた。しかし、今、教会は、経済的に自立して伝道を進めている。それは、目に見えて教勢が上向いたとか、経済的に恵まれたからではなく、信仰の決断をもって自立へと一歩踏み出したとき、すべて必要が満たされたからである。その経験は、わたしたちの教会をさらに伝道へと押し出す原動力となったように思える。
今、室戸教会は、香長伝道圏の応援の中で「中芸」という教会のない地域で開拓伝道を進めている。毎週日曜日、午後には室戸から車で三〇分離れたその地に出かけて行って礼拝を守っている。夏には多くの奉仕者を得て、三五〇〇軒にトラクトを配布している。神の民が起こされるように祈りつつ伝道を進めている。もう一つの祈りの課題は老朽化した会堂を建て直すことである。五月に隣接地に一二四坪の土地を得、その費用を完済した。三年後にこの地の伝道拠点となる新会堂の完成を望み見て、みんなで祈っている。会員一九名の群れにとって途方もない業であるが、すべてを成し遂げられる主に委ねて進んでいこうと願っている。
わたしが神学校時代、夏期伝道実習に香長伝道圏へ派遣されたとき、この地の伝道者が生き生きと働いている姿を見せられて、赴任希望を地方教会と定めた。室戸教会に遣わされて、はや一六年目を迎えた。教勢や教会の置かれた状況は相変わらず厳しい中にあって、多くの神様のみ業を見させていただいた。地方伝道の喜びは、小さな出来事の中に生ける神のみ業が見えてくることである。昨年のクリスマスには今まで妻の信仰に反対であった方が思いがけなく洗礼を受け、教会は大きな喜びに溢れた。十年ぶりの洗礼式であった。そのようなみ業に大いに励まされ、現在に至っている。
地方伝道に特別な方策があるわけではない。どんな状況であっても、まことの神を神として礼拝し、御言葉に生かされること、牧師は御言葉を通して、福音の喜びを説き明かすことが、何よりも大切である。小さい町では、キリスト者であることはだれからも周知の事実であり、信仰を隠すことは不可能である。礼拝から始まる信仰の生活は、そのまま周りへの証しとなる。御言葉によって生かされるその姿が、キリストを指し示すのである。その証しが用いられて、聖書に関心を持つ人も出てきている。室戸岬には暗い海を照らす灯台が立っている。教会もたゆまず福音の光を大きく照らす世の灯台としての使命に生きる群れでありたいと願っている。

【4582号】消息

小川 居氏(大阪四貫島教会牧師)

四月一七日、逝去。七三歳。北海道に生まれる。一九五七年同志社大学大学院修了後、広島流川教会に赴任。その後、同志社大学神学部に奉職、六六年から大阪四貫島教会牧師を務めた。遺族は妻の佐和子さん。

【4582号】訂正

四五八一号二面、西東京教区総会記事欄、「久山康平議長」を「久山庫平議長」にお詫びして、訂正いたします。

【4582号】催し

☆東京教区原理問題相談会

/時=7月15日(金)13時~15時

/所=日本キリスト教会館四階会議室

/問合せ=東京教区事務所☎03-3203-4270

【4582号】教区コラム 大阪教区

実りある交わりを求めて
村山盛芳

大阪教区には一四九の教会・伝道所があります。大阪台湾教会もそのうちの一つです。一九九〇年四月一日に設立され、一九九八年に教団加入申請が受理されて大阪教区の群れに加わってくださいました。
今年の教区総会開会礼拝の聖餐式は台湾語で行われました。今年が「日本基督教団と台湾基督長老教会の協約」改定二〇周年にあたることを記念したからです。普段教区内に台湾語を使って教会活動を行っている群れがあることを意識することはあまりありません。しかし、主の食卓にあずかる時に、日頃馴染みのない言葉が使われることによって、教区内に台湾教会があること、教団と台湾基督長老教会の間に協約が結ばれていることを改めて実感する時となりました。総会の時間的制約と、聖餐式の流れを重視したため、通訳を置くことをせず、台湾語の式文を日本語に訳したものを全員に配り、聖餐式を守りました。評価は色々ありましたし、反省すべき点もありますが、同じ主を信じる者として言葉は違っても、共にひとつの食卓を囲むことができたことは本当に感謝であり、恵みの時でした。
協約が政治的に、あるいは持論の展開のために利用されることが多い現実ですが、教会同士の交わりが実を結び、それぞれの教会につながっている人同士の痛みや喜びが共有できることを心から願っています。大阪教区に台湾教会が加わってくださっていることを心から感謝しています。
(大阪教区総会副議長)

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