【4587号】教育現場への「国旗、国歌」強制の中止を求める要請

内閣総理大臣小泉純一郎様
文部科学大臣 中山成彬様
一九九九年「国旗、国歌法」の成立以来、それまでにもまして全国各地で、学校儀式などにおける「国旗、国歌」の強制が強まっています。
とりわけ東京都では二〇〇四年春の卒業式、入学式での処分が二〇〇名を超え、二〇〇五年も処分者が六三名に及んでいます。このような力による「国旗、国歌」の強制は、法制定時の国会答弁に反するのみならず学校現場に無用の混乱をもたらし、多くの教職員が強いストレスによって心を病み、休職者や早期退職者が増加するという事態を引き起こしています。
天皇への賛歌でもある「君が代」の伴奏を信仰上、あるいは音楽的な理由から拒否した音楽の教師たちが処分に追い込まれ司法の場に問題が提起されています。
また、公立学校のみならず私学に対しても地方自治体当局から「国旗の掲揚、国歌の斉唱」についての通達という形で、圧力が強まっています。
こうした圧力に対して東京や神奈川では「思想、良心の自由」を確保するため「起立、唱和する義務」の不存在確認の提訴を始めています。こうした現場の混乱の原因が「国旗、国歌を指導しなければならない」とした「学習指導要領」にあることは明らかであり、このように教育の内容に関わって国家が教育に介入することはもはや「政治的介入」であることは明らかです。
この点は教育基本法に反しているのみならず、「教育の政治的中立」を原則とする近代国家のあり方から大きく逸脱しているといわざるを得ません。
何よりも「健全な愛国心」がこのような形で、子ども、若者の間に育つはずはありません。教育に携わるものは、この問題を契機に「教育と国家」の関係に深く思いを致し、教育現場を覆っている深い無力感を取り払い、活き活きとした学校を回復することこそ使命というべきです。中央と地方に関わらず、およそ教育行政の衝に当たる人々は、いまこのことを第一の課題とし、現場の混乱を解決するべきであります。
私たちはこのような観点から貴職に対し、教育現場への「国旗、国歌」の強制の動きをやめていただくよう要請いたします。
二〇〇五年八月一〇日
全国キリスト教学校人権教育研究協議会

【4587号】牧師のパートナー

新しい人として
的場 武彦
(下田教会員)

二〇歳で受洗したが社会に出ると会社人間となり、娘の受洗まで教会とは長いご無沙汰期間があった。献身しても妻は妻、自分は自分の生活だったが、四年半前に下田教会から牧師である妻に招聘があったとき主の導きと信じ、妻と共に下田へ移り下田教会員となる決意をした。
◇◇◇
今回振り返ってみて自分が教会員・牧師パートナー・社会奉仕と三つも中心点を持って生活していることに気づかされた。
教会から「一信徒として牧師と一緒に来て下さい」と言われ、そのつもりで生活し始めた頃「分区牧師夫人の会」の案内状を受け取った。慣例として新任牧師の伴侶へ出した案内状であったかも知れないが、「新しい道を行け」と主が示してくださった気がして出席した。この会に参加したことで牧師夫人の担う役割の多様性や複雑さに気づかされたのが、会社人間からの脱皮の始まりだった。わたしに始まり男性の増加が予想されることもあって会の名称が「牧師パートナーの会」に改定された。「牧師パートナーの会」に参加しない方もおられるが、わたし自身は分区内にある教会それぞれの牧師パートナーと共に歩んでいると感じられる交わりとなっている。
現在、教会内では「広報担当」「会計補佐」を、教区では「財務委員(書記・会計)」をしている。
「広報担当」の仕事は、特伝・クリスマスのチラシ・ポスターづくりやポスター貼り、新聞社・有線テレビ局回りなどである。身近な存在としての教会と教会の活動を町の多くの人に知ってもらうために店に飛び込み、話し込み、自分自身が広告塔のつもりで歩き回っている。報道関係の方達からは、他の地域でも行われているように「教会さんはお寺さんと同じ扱いをします」と言ってもらえるようになった。
牧師から「広報担当係り」を置ける教会は少ないと言われたが、交流のある教会からは「下田教会の広報さん」と呼ばれたりしている。
パートナーが按手を受けたころ教友から、勧められ加入した「ワイズメンズクラブ」(信徒運動から始まり、YMCAをサポートし、青少年育成・地域奉仕の団体)が下田にもあり、引越しと同時に横浜から移籍した。下田のクラブメンバーを通して短期間に地域事情を知り交友関係が増えた。
クラブの活動範囲が教区と重なることもあり、分区・教区の信徒同士の交流の輪も広がり、伝道について、教会生活のあり方について、よい刺激を受けている。
◇◇◇
パートナーが牧師になると判っていたら結婚したろうか? と問われると唸るところだが、パートナーが牧師になったからこそ、教会員・牧師のパートナー・ワイズメンの三つの活動が重なり合う豊かな生活になっているし、一人の人間として私に主が与えてくださった使命、宣教活動の役割が見えてきたのだと思う。
パートナーが牧師になる以前の自分とは全く違う「新しい人としての人生」が展開されており、迷い出ることの多かった弟子を用いてくださる主の恵みを実感している。

【4587号】消息

ウィリアム・H・W・ジャクソン 氏(神愛教会牧師)

六月二四日、逝去。八六歳。北アイルランドに生まれる。一九四九年英国エマヌエル聖書神学校卒業後、五三年来日。六八年上山教会に赴任。七二年から神愛教会牧師を務めた。遺族は妻の信(ノブ)F.さん。連絡先/静岡市清水区沼田町8-5

【4587号】教区コラム 東京教区

今年度の東京教区の取り組み
木下宣世

二〇〇五年度、東京教区が特に力を入れて取組もうとしていることがある。
それは教区内の教会・伝道所に対する助成制度の整備に関することである。
これまで東京教区には「教会強化のための支援要網」というものがあった。これは比較的短期間に自立する可能性のある教会を対象としたもので、例えばこの支援により教師がアルバイト等から解放され、牧会・伝道に専念できれば教会の強化につながるのではないか、というのが当初の意図であった。
しかし、この要網が実施されたのは一九六九年であり、その後起こった長期に亘る紛争のため実際にはこの要網は有効に機能することはなかった。
また、今日となってみると時代の変化により、実情に合わない面も出てきている。
そこで、この要網を見直し、今日の実情に合ったものを作ろうというわけである。
加えて東京教区には「教会設立および伝道所開設等の審査基準-内規」というものもあるがこれも前記要網と密接な関わりがあるので、この際両者を合わせて検討し、新しい制度を求めていこうと考えたのである。
そのため、この度「教会設立および伝道所開設等の審査基準」ならびに「教会強化のための支援要網」検討委員会、が設けられた。
教区内諸教会の強化につながる良い制度の誕生が期待される。
(東京教区総会副議長)

【4587号】弱さの中にこそイエス様が 日本キリスト教海外医療協力会

「日本キリスト教海外医療協力会・JOCSは、『お金や物を安易に送るのではなく、人を派遣することを通して共に生きる』ことをモットーに活動しているNGOです」小冊子に記されている通りに、計七年以上バングラデシュで活動し、様々な障碍を持つ人々と「共に生きて」きた岩本直美さんの報告会が、去る七月二三日、玉川教会を会場に行われた。
北海道くらいの面積に一億五千万の人口、高い山が迫り人が住める所は限られている、ドラム缶をひっくり返したような雨、講演は国土と気候についての説明で始められた。何より、私たちがいかにこの国について無知であり、無関心であったかを教えられた。それは、イスラム教徒についても同様だ。断食月の厳格さは聞いていても、厳密な人は唾も飲まないというのには驚いた。
もっと驚き深刻に受け止めたのは、親がいても放置され、自ら家を出、路上や駅で生活する子供たちの実態だ。希望のない生活の現実、麻薬に走り、ただ目的なくうろつく。写真を通して見ても心が痛む光景だ。
その一方、イスラム国家が誕生した時に移住出来なかった、貧しい人々の末裔であるヒンズー教徒の夫婦が紹介された。夫婦は、「アウトカースト故に、むしろ貧しく小さい人々に仕える姿勢を持つ。本人はそのことを意識してもいない。特別のトレーニングは受けていないが、貧しい人々に向かい合う姿勢が素晴らしい。尊敬している」岩本さんの説明を聞くと、写真で見る夫婦に親しみを覚える。
女性差別の凄まじい現実とそれへの対応にも触れられた。女性は結婚しないと天国に行けないというコーランに基づかない信仰、持参金が必要な結婚、女の赤ちゃんが生まれると食べ物も満足に上げないという女性蔑視。何より、結果的に女性自身が自らを無価値なものだと思いこんでいる。家に閉じこもっている女性たちへの辛抱強い働きかけが行われた。女性たちは自分が間違ってはいなかったということを発見する。そうして、教育を受けていない人達が自分の言葉で語り始める。
ある少年は、父親に腰の骨を折られて下半身不随となったが、家族は病院に入れようとしない。彼を助けることでもっと生活が困難になるからだ。JOCSの支えにより、少年は専門の病院で一〇ヶ月の治療を受け、スラムに戻った。車いすの生活だ。どうしてこんなにひどくなったのかという周囲の問に、この子は決して答えない。聞こえないふりをする。父に放り投げられたことは言わない。赦せないとしか思えない出来事があった。しかし少年は父も家族をも赦している。このような出来事でもなお消えることのない家族への愛が存在するのだ。
「貧しいバングラデシュの人々のただ中に、私たちが人らしく生きる道筋がある。私たち一人ひとりの場合にも自分の弱さの中にこそ、イエス様が現存していて下さる、ありのままに自分を差し出して行けば良いと思う」こう結んで、岩本さんの講演は閉じられた。
深い余韻が残った。

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