【4862号】宣教師からの声 番外編 T・A・パーム 新潟の医療宣教師 山田 耕太 (敬和学園大学学長)

1875年4月15日に、エディンバラ医療宣教会のセオバルド・A・パームが、東京で日本語を学んだ後に新潟に着任した。パームは1848年にセイロン・コロンボで宣教師の子として生まれた。エディンバラ大学医学部を卒業したバプテストの外科医で、大学卒業と同時に結婚した直後の1874年に夫人と共に来日した。パームは医療宣教師のJ・C・ヘボンと相談した上で、五港の中でまだ宣教師がいない「最も困難な土地」を選んだ。新潟に来る3か月前に出産直後の母子を失った中で新潟にやって来た。
パームは東京から同行した料理人の水谷惣五郎・哲子夫妻と日本語教師の陶山昶、通訳として横浜から派遣された雨森信成によって支援された。病院兼自宅は湊町三丁目に建てられたが、1年後に病院を拡張して本町に移転した。パーム病院では、朝9時から集まった患者たちを前に説教がなされ、その後に朝10時から診察と治療が行なわれ、夕方には伝道会が開かれていた。最初は雨森が説教し、パームは診察と治療に努めた。夜の伝道会ではパームが説教し、雨森が通訳した。雨森が横浜に去った後にパームがS・R・ブラウンに懇願して 押川方義が横浜から派遣された。押川はパームの協力者となり、パーム病院は医療と宣教の場ばかりではなく、パームが聖書を教え押川が神学を教えて、地元の伝道者を育成する神学塾も兼ねていた。
1877年には、遠方から患者が来るようになり、また中条、村上、新発田、長岡では蘭学医の要請を受けて、パームは出張医療宣教を始めた。船や人力車や徒歩で出かけ、日中には診察と治療を行い、夜には伝道会を行った。パームは佐渡島を一度、亀田、水原、葛塚、中条、新発田、沼垂、長岡を定期的に訪問するようになった。その頃、吉田亀太郎は石油採掘事業のために中条に来ていたが、押川の伝道説教を聴いて、キリスト教に回心して伝道者となり、押川の協力者となった。
パームは1878年に28人の信者によって新潟で教会が組織されたことを報告している(アメリカン・ボード大阪総会報告書「日本のプロテスタント宣教史」1883年、北日本ミッション「第一次年次報告」1884年度)。パームも押川も超教派主義であり、いずれの教派にも属さない「新潟公会」がこの年に組織された。1879年には中条に講義所が開設され、講義所は次第に増加した。同年にパームは函館の宣教師の娘イサベルと再婚した。
1880年に新潟大火が起こり、パーム病院も焼け落ちてしまった。押川は吉田と共にこの機に、パームの父が牧会するロッテルダム・スコットランド人教会の支援を受けて「日本のスコットランドに」という使命で東北宣教に転じ、宮城県、福島県、山形県などに諸教会を創設し、東北学院と宮城学院を創立した。
1881年にパーム病院が西大畑の南浜通二番町に再建され、その翌年にF・J・ショウが看護婦として着任し、ロンドンの聖トーマス病院でナイティンゲールから学んだ精神と看護方法を日本で最初に伝えた。
1883年にパームは妻の健康のためと休養のために、一時帰国することにした。その間のパーム病院を大和田清晴、虎太郎医師父子に任せ、医療宣教をアメリカンボードに委ねたが、パームは終末論の理解の神学問題で宣教会から来日が認められず、村医としてイギリスに留まった。アメリカン・ボードは医療宣教から新潟女学校・北越学館(敬和学園の精神的前身)を支援する教育宣教へと方針を転じ、その宣教方針の転換と相前後して、「新潟公会」は東中通教会と新潟教会に分かれて行った。
パームは1875年から1883年の8年半の間に、新潟県の下越地方と中越地方で、延べ4万人の人々に医療を施し、150~160人の重症患者に外科手術を施し、眼科の治療でも評判がよく、104人の信者に洗礼を授け、新潟県のプロテスタントの諸教会の背骨を形成した。
(Kyodan Newsletterより)

【4862号】委員会コラム 宣教委員会 スローガン、アドバルーンではなく 米倉美佐男

40総会期の宣教委員会は教憲教規に従って委員会を運営していくことを第1回目の委員会で確認した。
前回の宣教方策会議では、教団の現状を踏まえて「日本基督教団は伝道をどう進めて行くか」を主題として開催した。協力してもらった発題者、講演者は宣教委員会の趣旨を汲み、良い発題、講演をしてくれた。
しかし、会議として十分な対話、討論ができたとは言い難かった。今期の方策会議を実りあるものとするために祈りと知恵を貸してもらいたい。
継続課題であった「牧会者とその家族のための相談室」を設置する準備委員会が稼働し始める。大変大きな課題で手探り状態での発進ではあるが、一日も早く具体化できるように、関係各位の協力を願いたい。
宣教委員会の働きを実質化し、より強くするために、常設専門委員会、自主活動団体とも今以上に密なる関係を築きたい。機構の再構築も視野に置く必要がある。伝道のスローガンを大声で唱え、アドバルーンをどんなに高く掲げても、一生懸命旗を振っても、今のままでは膠着状態を崩すことはできない。
教憲教規の実質化を強く意識するのは、教団が主に喜ばれる教会となるために不可欠だからである。先ずは、信仰告白と教憲教規によって教団とはどのような教会なのかを明確にしていきたい。
時は宗教改革500年である。今こそ教団改革の時である。
(宣教委員長)

【4862号】第30回神学校等人権教育懇談会

3月28日、部落解放センター主催による「第30回神学校等人権教育懇談会」が教団会議室にて開催された。8つの神学校と関係団体から13名の参加があった。農村伝道神学校・大倉一郎氏による開会礼拝に続き、東谷誠部落解放センター運営委員長より現在もなお部落差別事件が頻発している状況が報告され、教師として宣教に仕える人たちへの人権教育の重要性が訴えられた。
その報告を受け、各神学校代表の参加者から、それぞれの取り組みの紹介をしてもらい、人権教育への熱意と取り組みの積み重ねを聞くことができた。
今回のメインプログラムは、日本バプテスト神学校の渡邊さゆり氏による発題「性によって差別することについて~神学教育の中で考えさせられること~」だった。渡邊氏自身の被差別体験、バプテスト神学校での取り組みの実践とその変遷、そして聖書を読む視点まで、丁寧に語られた。
その中で示されたことは、残念ながら教会は今なお差別的な存在であり続けている、ということだ。「マンスプレイニング」男性的視点からの説明・押しつけが、聖書の権威をまとって教会の中に居座り続けている。多くの教会は、それが差別であり間違いであることに気づくことができないでいる。神学校で学び、やがてフィールドに遣わされていく働き人たちが、この現実を変えていく力を備えられるよう願う。各神学校の人権教育への取り組みにもいっそうの期待が寄せられる。
次回の人権教育懇談会は1年後に予定されている。日本基督教団において、同性愛者が教師になることを巡って議論が沸騰してから約20年が経過する。現在はLGBTを巡る社会認識も大きく変化してきた。この課題を今日的視点で捉え直すことを主題として行われる予定である。
(斎藤成二報)

【4862号】▼教憲・教規変更手続検討委員会▲変更議案受理から総会までの手続きを 中心議題として

40総会期教憲・教規変更手続検討委員会は3名の構成で、1月20日に第1回委員会を開催し、組織会を行い、雲然俊美委員長、井田昌之書記、東野尚志委員を選出し、次いで議事に入った。
はじめに、常議員会での委員会設置議案を確認し、検討スケジュール、検討事項について扱った。教憲は「教団総会開会3箇月前に議案を公表し、教団総会において議員総数の3分の2以上が出席し、出席議員の3分の2以上の同意を得なければ、これを変更することができない」という現行の規則について、議案が出る場合の実際の処理上に必要な規定について検討することが課題であることを話し合った。
スケジュールとしては委員会を4回開催し、その中で常議員会への中間報告を2回行い、最後に最終報告をまとめとして、2018年2月の常議員会へ提出する予定とした。
検討事項については、変更手続きに関連する事項が現れている教憲教規・宗教法人規則の条項を確認し、教憲変更議案が提出された場合に、その受理から教団総会に至るまでの手続きを中心議題とすることを話し合った。事務的な受付と「受理」について、現行の規則での総会までの期間を3ヶ月とする規定と教団新報の発行・掲載の関係について、変更議案の内容が関連する他の条項の参照の有無など教憲教規全体の整合性をどう扱うかについても議論された。
第2回委員会は3月21日に開催され、検討項目の整理を行い、当初予定通り、基盤となる共通認識を定めるために中間報告1を作成することとした。中間報告1で扱う内容について議論し、次回常議員会までにメール等も利用してまとめることとした。
次回は、7月常議員会後に開催し、外部有識者の意見聴取を行うなども含めて具体的な案をまとめていく予定である。
(井田昌之報)

【4862号】2017年度教区総会報告

北海教区

牧師不在教会の礼拝支援を決議 三役再選

5月2日~3日にかけて、札幌北光教会を会場に、第77回北海教区定期総会が開催された。開会時の議員数は、125名中101名であった。
組織会において、議場から、推薦議員として積極的に、伝道所の信徒を選出して欲しいとの意見が出された。
組織がされた後、開会礼拝が捧げられ、一同で日本基督教団信仰告白を告白し、聖餐式が執り行われ、更に、准允式が執行され、一人の教師の誕生の喜びを議場が共有した。なお、開会礼拝前に上程された議案「補教師准允に関する件」の採決前に、久世そらち議長が、「現在の教団の二重教職制は現場での矛盾を生み出しており、この問題が解決されることを願う」とコメントした。また、議事の後半では、同じく教団の教師制度改善の思いを持つ、兵庫教区との教区間宣教協約締結への取り組みを開始する議案が可決された。
議長報告では、教区の課題として、小規模教会・伝道所の教勢、財政状況の困難さと、加えて、専任牧師不在教会・伝道所の増加の問題が訴えられたが、しかし、そのような中でも教区全体として様々な工夫をし、特に連帯に関する信徒の積極的な思いが伝道、宣教を支えていると報告された。
この報告の具体的な現われとして、「浦河教会設立に関する件」では、伝道所が教会として新たに歩み出すことが可決され、更に「主任担任教師不在教会の礼拝支援に関する件」についても、教区の「宣教のビジョン」の具体化として、これまでの教職謝儀保証のような生活支援ではなく、礼拝支援の視点からの制度の構築が議論され、可決された。
その他、「テロ等組織犯罪準備法案」「憲法改正」「北海道電力泊原子力発電所再稼動」「沖縄の米軍基地建設」それぞれへの反対と行動を推進する議案や、「天皇の代替わりに伴い大嘗祭を国の行事として行わないことを要請する」議案、「アイヌ民族の権利回復運動を推進する」議案が上程可決され、教区が教会として向き合う諸課題が示された。
教団問安使との質疑応答では、教団議長が言う全教団的という言葉の理解について、教団主導という意味ではなく、全ての教会・伝道所の一致を意味すると雲然俊美教団書記が説明した。
選挙は議長、副議長、常置委員半数改選の選挙であった。それぞれの選挙結果は次の通り。
三役選挙結果
【議長】久世そらち(札幌北部)、【副議長】原和人(手稲はこぶね)、【書記】木村拓己(美唄)
常置委員選挙結果(半数改選)
【教職】韓守賢(旭川豊岡)、指方信平(札幌北光)
【信徒】松尾みつ子(真駒内)、ウィットマー圭子(名寄)
(小林信人報)

大阪教区

伝道資金について議論、申請せず

第62回大阪教区総会が5月3日~4日、大阪女学院ヘールチャペルで、開会時285名中211名の出席で行われた。
常置委員会報告では、小笠原純議長が主たる取り扱い事項を報告。教団伝道資金に関しては、教団に「教区間互助の視点がある制度」、「決められた計算式等で配分される制度」を要望し、2017年度は交付金を申請しない予算案の作成を財務部に依頼したことを報告。教団信仰告白に関する件では問題点を確認し、様々な意見、主張を述べ合った上で継続審議としたことを報告した。
質疑において、伝道資金に関して、財務部提案では交付金を申請する予算案だったこと等を理由に申請を求める意見が出た。信仰告白に関しては、11月の按手礼式では信仰告白が組み入れられたのに対し、今総会では組み入れられない差異について議長の意見が問われた。
小笠原議長は、伝道資金については、拮抗する二つの立場が白熱した議論を行った末、前総会の決議を尊重した経緯を説明。信仰告白については11月も総会も「同じように大切な准允、按手礼式」と述べた上で、式次第については議長と受按者が相談して都度判断していることを説明し、「常置委員会で折り合って行く努力を進めたい」と述べた。
2017年度予算案審議では、伝道資金は申請せず、第二特別資金から210万円を繰り入れる提案がなされた。この案に対し、一昨年の申請予定額と同額の310万円を収入に計上し、増額分は支出の予備費に加え、詳細は常置委員会に任せるとの修正案が出された。「制度に対する意見は述べつつ、既に始まった制度に則って申請すべき」との修正案への賛成意見、「教区が伝道資金の制度自体に反対し声を上げていることが大切」との反対意見があった。修正案は200名中89名の賛成で否決、原案を121名の賛成で可決した。
「教団沖縄宣教連帯金」の減額分の半分を負担する議案においては、「教団の減額分を補うという形ではなく、教区として沖縄を覚えるという形をとるべき」との意見がある一方、「教団との関係の中で、連帯金減額に異を唱えるという意思表示をすべき」との意見があった。179名中112名の賛成で可決した。
北村慈郎教師に対する不当な戒規適用が無効であることの確認をする声明を出す件を、173名中105名で可決した。
教団問安使挨拶では石橋秀雄議長が挨拶文を朗読。質疑においては、「テロ等準備法案に対して反対の意志表示をすべき」、「沖縄宣教連帯金や伝道資金で不誠実な対応をしていながら、教区議長会議で誠実な対話をしたいというのは難しい」、「教団総会で教区提案議案を廃案にせず取り上げてほしい」等の意見があった。
教区議長に小笠原純(高槻日吉台)、副議長に有澤慎一(八尾東)、書記に宮岡真紀子(北千里)を選出した。
常置委員選挙結果
【教職】井口智子(河内松原)、栗原宏介(奈良)、一木千鶴子(高石)、上地武(箕面)、小豆真人(東梅田)、林邦夫(大阪城北)、大澤星一(西大和)、岡村恒(大阪)、中西真二(小阪)、清藤淳(和歌山)、田邊由紀夫(茨木)
【信徒】鈴木惠美子(馬見労祷)、東谷誠(いずみ)、西浜楢和(西大和)、山崎喜美子(愛隣)、黒野忠和(東梅田)、楠原道温(茨木)、筧伸子(キリスト教教育主事・茨木東)、筧正彦(茨木東)
(嶋田恵悟報)

 

 

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