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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4915号】母国語で福音を聞く恵み 在外宣教師活動報告

2019年11月23日

移住地で受け継がれた信仰

ピラポ自由メソジスト教会  パラグアイ

 2019年5月に、パラグアイのピラポ移住地のピラポ自由メソジスト教会に赴任しました。2015年に知花スガ子宣教師が神様の導きによってこの教会の信徒と劇的な出会いをし、40年間ほぼ無牧だった教会に常駐の牧師として遣わされました。知花牧師は4年の間に土地を購入して新会堂を建築しました。その後任として着任し、6月23日にパラグアイ各地とブラジルからの参列者35人を与えられて、喜びの献堂式を執り行いました。

 ピラポ移住地は、1960年8月2日から入植が始まり、別の移住地から移ってきたJICA職員でキリスト教徒の酒井夫妻が教会を建てて礼拝を始めました。自由メソジスト教団からエンカルナシオン教会に派遣された塚本登牧師が、ピラポ教会で毎月礼拝を献げるようになりました。塚本牧師は長くパラグアイにいて多くの日本人移住者に授洗し、最盛期にはピラポ教会に20名近い信徒がいたそうです。1980年代半ばに塚本牧師が去った後、様々な教派の牧師が巡回して牧会しました。

 1990年代にJICAがパラグアイから撤退したとき、教会の土地はJICA所有で宗教団体に寄贈できず、ピラポ市に移譲されました。建物はそれまで通り使用可との約束でしたが、やがて使用が困難になって、23KM地区の旧小学校寄宿舎を借りて礼拝をするようになりました。知花牧師が出会ったときには、教会員は数名でしたが、その方々は毎週日曜日に集まって、礼拝説教のテープを聞いていました。

 現在の礼拝出席者は5名です。ピラポ移住地は人口移動が少なく、人間関係も固定化しているため、これまで何十年も付き合ってきた人を急に教会に誘うことは大変難しい状況があります。また、日曜日に日本人会の行事があることも多く、付き合いがあるので教会員も参加します。

 パラグアイには自由メソジストの日系教会が3つあり、首都アスンシオンの日系自由メソジスト教会がブラジル自由メソジスト教団日系年会パラグアイ支部の法人化手続きをしています。しかしピラポ教会の信徒はブラジルの教会への所属に抵抗感があり、単立のプロテスタント教会として新しい一歩を踏み出そうとしています。そのための法人化手続きが今後の課題です。

 また、イグアス移住地にも信徒がおり、信徒の家の離れで礼拝を守っていましたが、10年以上前にこの方が帰国してからは場所もなく、集会もなくなりました。ここでも9月から礼拝を守ることにしました。ピラポからはバスで3時間以上かかるため、昼頃着いて一緒に食事をしてから礼拝を守り、お茶を飲みながら交わりをしました。その晩は宿泊したので夕食も一緒にしました。これから毎月礼拝を守る予定で、クリスマスやイースターにはピラポ教会で一緒に礼拝と聖餐をしたいと願っています。どうぞ覚えてお祈りください。

(江原有輝子報/ピラポ自由メソジスト教会牧師)

 

現地のコミュニティと連携して

ユニオン日本語教会  アメリカ

 ユニオン日本語教会はニューヨーク州スカースデールにある日本語教会です。1989年9月、日本語による福音宣教を始め、今年9月に創立30周年を迎えました。創立以来ヒッチコック長老派教会に礼拝する場所を提供してもらい活動を続けています。

 ニューヨークには多くの在留邦人が住んでいます。現在でも多くの日系企業が進出しています。しかし、ひとたび国境を越えれば、そこはアメリカです。別の言葉が話され、別の文化があります。言葉や生活習慣の異なる社会の中で暮らしていると、日々の緊張感からいつの間にか疲労が蓄積しています。また同じ言語や文化に生まれ育った者にしか分からない苦労もあります。

 そのような信仰者たちが教会に集まって主の食卓を囲み、母国語で語られる福音を聞くことのできる主の日の礼拝は、み恵みに満ちた特別なひと時です。

 アメリカの教会の伝道はアウトリーチと呼ばれています。外に向かって大きく手を差し伸べる、という意味の言葉です。人びとを教会に招くだけでなく、こちらから積極的に出て行って人びとに福音を伝えています。

 具体的には地域社会への奉仕活動のことで、ユニオン日本語教会でも現地のコミュニティと連携して様々なアウトリーチ活動を行っています。「絵本の会」(子供のための英語絵本読み聞かせの会)、「リビングインアメリカ」(大人のための英会話教室)、「スープキッチン」、これらに加えて年4回、「ワークショップ@ユニオン」を開いています。これは季節のクラフトづくりの会で、世界の様々な国や地域出身の方が参加している国際色豊かなプログラムです。この秋からは教育相談ワークショップを始めました。日本からの子供たちが現地の学校に適応して楽しく過ごせるよう、お手伝いできればと考えています。

 このように、慣れない文化や言葉の違いのため、異国の地にあって周囲とのつながりが持てず、孤独感を味わっている方々に、人とつながり、現地のコミュニティにつながれるような交わりの場を提供するのも教会の大切な活動の一つです。地域の方々にも広く開かれたアウトリーチ活動を通して、ニューヨークで日本語による宣教活動をすることを多くの人に理解してもらい、これからも地域の人びとに愛され、信頼してもらえる教会に成長できればと願っています。

 ユニオン日本語教会に与えられている大切な役割はアメリカと日本の教会の橋渡しをすることです。日本基督教団と宣教協約を結んでいるアメリカの諸教会との相互理解の促進と関係強化のために、今後ともわたしたちの教会が用いられたらと願っています。

(上田容功報/ユニオン日本語教会牧師)

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