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日本基督教団 The United Church of Christ in Japan

【4886・87号】2018年 在日大韓基督教会 日本基督教団 平和メッセージ

2018年8月4日

2018年平和聖日

日本基督教団 総会議長 石橋秀雄

在日大韓基督教会総会長 金 鐘 賢

平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。 (マタイによる福音書5章9節)

 わたしたちは、主イエス・キリストを救い主として、世にあって教会に呼び集められ、そして主イエス・キリストの名によってこの世に「平和を実現する」(マタイ5・9)使命を帯びて遣わされている教会であります。この信仰的自覚に立ちつつ、わたしたちは、今遣わされているこの時代の世にあって、国家の政治の道が聖書の指し示す平和の道に反すると判断した時、黙認することなく、預言者の心をもって警鐘の声を挙げずにはおられません。

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 共謀罪について
 「剣を打ち直して鋤とし 槍を打ち直して鎌とする。」(旧約聖書イザヤ書2章4節)

 衆院・参院本会議において、多くの反対の意見が表明されている中、十分な審議の時間を持つことなく、組織的犯罪処罰法改正案を可決した(2017年6月)ことに強く抗議します。

 同改正において新設される「テロ等準備罪」の実質的な内容は、過去三度廃案となった「共謀罪」そのものです。そもそも同改正自体、憲法第31条に謳われている罪刑法定主義に反しています。また、その内容については、処罰の対象者が極めてあいまいで、一般人が処罰の対象となる可能性を排除することはできません。

 さらに、この改正により、いわゆる「監視社会」体制作りが進められることが懸念されるほか、個人の内心の自由の侵害が現実のものとなること、また、市民の自主的で自由な活動が委縮してしまうことが予想されます。

 わたしたちは、日本が、「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」との聖書の教えに学び、世界の国々相互の信頼関係を構築し、積極的に平和を実現していくための不断の努力と取り組みを続けることを強く求めます。

大嘗祭について
 来る2019年4月に現天皇が退位し、5月に新天皇が即位します。わたしたちは、天皇の代替わりに伴う儀式として予定されている大嘗祭について、以下の点から反対を表明します。

 わたしたちは聖書の教えと信仰告白に従って、ただひとりの神を信じます。「あなたには、わたしをおいてほかに神があってはならない。」(出エジプト記20章3節) 従って、天皇を神格化するような祭祀を認めることはできません。

 大嘗祭を国による行為として行なうことは、日本国憲法の保障する信教の自由、政教分離の原則に違反します。

 前回の大嘗祭には、国費が支出され、三権の長が出席しました。国事と皇室祭祀とは明確に区別すべきです。

憲法改正について
 過去四半世紀の日本の政治の流れを振り返るとき、わたしたちは大きな危惧を抱かずにおれません。

 特に、今日では憲法第9条をはじめとする改憲の動きを一層強めています。安倍政権は、『教育勅語』の学校教育教材採用を容認する答弁書を閣議決定しました。さらに、戦前に国民の内心の自由、表現の自由、集会結社の自由を脅かす弾圧装置として機能した治安維持法と酷似する「テロ等準備罪」(共謀罪)法案を成立させ、それは施行されることになりました。

 これら一連の政治の動きを通して、基本的人権と平和主義の理念に立つ現行憲法に支えられてきたこの日本は今、自由と人権を尊重する民主主義と平和主義、そして国家権力の暴走を防ぐ立憲主義を崩壊させつつあると、わたしたちは認識し、強い危機意識を持つと共に、憲法改正の動きに反対します。

ヘイトスピーチ根絶に向けて
 現在日本に住む外国籍住民は200万人を超えています。またグローバル化の時代、旅行者だけ数えても、日本から海外へ行く人々は一年間に2000万人近く、逆に日本を訪れる外国人は3000万人に迫ろうとしています。このことは、日本、そして世界は様々な局面で外との交流なしには成り立たないということの証左であります。

 そのような中、日本の国内では、相も変わらず在日コリアンをはじめとする在留外国人、特にアジア人に向けての偏見に満ちたヘイトスピーチが止みません。二年前に「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律」(いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」)が施行されたものの、法律自体が何の罰則を科さないものであり、そのすきを突くような形でヘイトスピーチは巧妙化しています。

 神は人をその姿に似せて作られたと聖書にあります。ヘイトスピーチはその人間の尊厳、霊的な部分を深く傷つける罪に他なりません。一日も早く、このような愚かな行為が日本、そして世界から根絶されるよう、わたしたちは祈りと必要な行動を共にして行きます。

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 日本基督教団と在日大韓基督教会は、以上のような信仰的立場を共有しながら、1984年2月に和解と協力の宣教協約を締結し、今日に至るまで、福音伝道に協力し合いながら世の平和に仕え歩んでまいりました。今後もわたしたちは、朝鮮半島において和解と平和を希求する活動に対して積極的に呼応しながら世界の平和、核兵器の無い平和な世界を目指します。

 主イエス・キリストの恵みと平和が、すべての人の上にありますように。

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